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「俺!芽依と結婚するから!」
あれは小学校入る前だったかな。たしか,そんな事言った気がする。
5,6歳の頃の俺はみんなに結婚するって言いふらしてた。けど,芽依は違ったみたいだ。
「意味わかんない!私は強くてかっこいい高身長と結婚するの!」
この頃の俺は病気がちで,よく寝込んでいた。しかも身長は芽依より低かった。今の俺は全然芽依より身長が高くて,そんなに寝込まなくなった。小学生になると結婚とかの話はできなくなって,芽依ともクラスが離れた。5年の頃同じクラスになったけど,その時の俺はかなり変わっていて別人のようだった。
「黒川って人殺したことあるらしいよ。」
クラスではそんな噂も立ってしまった。そうだ,他人から見れば毎日喧嘩ばっかりして,血だらけになった俺は殺人鬼に見えなくもない。
「…。」
クラスが俺の敵だった。けど,あいつだけはいつになっても俺の味方であった。
「ほら。」
傘を返しに来たついでに人の家上がってリンゴを剝いてる。俺の好きなものを完璧に覚えてくれていた。そんなあいつが好きだ。だから俺は強くなった。いや,なりすぎたのかもしれないな。
「…ん。」
あいつは昔,制服なんてまともに着なかった。暴れん坊で,人の話を聞かなくて。時間が経つにつれて変わってしまった。授業をまともに聞いて,休み時間では遊ばずに勉強して。昔のあいつはきれいさっぱりいなくなってしまった。
「なぁ,芽依って…変わったよな。」
「榎煉がそれ言う?」
「はっ,そうだな。」
二人でリンゴを食べているとき,つい俺は口に出して本音を言ってしまった。
「俺,今の芽依も昔の芽依も好きだよ。」
「…え?」
数分の沈黙があった。これは無理だなとか思ったが,そんなことはなかった。
「言うの遅いよ。…私もそうに決まってんじゃん。」
「え,じゃあ付き合ってくれる?」
「もちろん。」
俺の,長年の片思いが叶った。この日,嬉しすぎてほとんどそのあとは覚えてない
。