まずは死ぬ前の話から始めようか
そう、まだ暑い夏の日のことだった
一生忘れもしないあの日は
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莉「ねぇころちゃん!早く行こ!」
『莉犬くん、そんな急がなくてもまだまだ遊園地が開く時間に間に合うよ?w』
赤髪でオッドアイの可愛い君
そんな君と初めてのおでかけ
そこで僕は今日行く遊園地の後にお洒落な
お店に行って君に好きだと告白するんだ
莉「どうせなら一番乗りに行きたいじゃん!」
『わからなくも無いけどさ〜』
『…っ!』
横断歩道を渡っていると横から車のブレーキ音が聞こえて、思わず身構える
バンッ
…君は走って渡り終えたと思ったから
油断してたんだ
僕にはぶつかった衝撃も痛みもなかった
瞑った目を開けると
『…はっ、?』
少し血生臭い匂いと真っ赤になって僕の前に倒れた君
直ぐに分かった
君が僕を庇ってはねられたんだ
『り、莉犬くんっ!』
手を握るとまだ暖かく、息もしている
僕は直ぐに救急車を呼んだ
自分から溢れる涙が
君の顔にぽたぽたと落ちていく
莉「こ…ろちゃん、泣か…ないで」
『無理して喋らないで良いからっ今救急車読んだからね!』
莉「大、好き…だよ…あり、がと」
『…っ、僕も大好きだから最後みたいな事
言わないでよ…』
君に大好きと言われても嬉しいという感情より焦りと悲しみが溢れてしょうがないんだ…
莉「あ、と…これ」
そう言って君が震える手で渡してきたのは
『え、ネックレス…?』
青い宝石が埋まった綺麗なネックレス
莉「今日、ね…ころちゃんにあげよ、うと思っ…てたネックレスだ…よ」
莉「ころちゃ…みたいで…綺麗で、しょ?」
ぎゅっと握りしめていた君の手が少しずつ冷たくなっていく
『…っ、莉犬くん、莉犬くん!』
莉「ころ…ちゃ、ん。ありがと…」
君の体は完全に冷たくなって相変わらず真っ赤に染っていた
『…大好きだよ』
そう言って僕は君の冷えた唇に
ちゅっとキスをした
…聞いたことがあるんだ
ファーストキスは甘い蜜の味がするんだって
でもそんなのデタラメじゃん
だって僕のファーストキスは
嫌な血の味だった