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声にならない声で囁いてみる。

誰もいない場所で呟いたところで意味はないのだけれど。

わたしにとってここは、いつまで経っても慣れ親しめない異世界のままだ。たとえそこにいるのが自分の意志ではなくても、結局のところは自分が存在していることに変わりはないから。自分の意志でない以上、自分が望んでここに来たわけではないことは確かなわけだから。……あーぁ、早く帰ってベッドでゆっくり眠りたいよぉ。このままここで朝を迎えて、学校に行って、またお家に帰るまでの道程を思うと気分が重くなる。だって、帰ったらお母さんと妹に叱られるもん。きっと晩ご飯抜きだよぅ。今日に限って、なんでよりによってこんな日だったんだろう。ついてないよ。ついてなさすぎる! どうしてもっとちゃんと断らなかったんだろうって、自分で自分に呆れるばかり。やっぱりわたし、駄目だよね……。ううん、本当はわかっているんだ。わたしなんかが断れないことも全部。わたしが悪いんだよ。わたしが臆病で弱いせいなんだってことは。

だけどね。ほんとはずっと、あの人に話しかけたかったんだよ? こうやって手を繋いで歩いているだけで、どきどきして嬉しくて、幸せいっぱいだったんだから。

初めて出会ったとき、いきなり腕を引っ張られて抱きしめられたときは本当に驚いたけど、それからずっと一緒に居てくれたことが嬉しかったの。最初はただ怖い人だと思ったんだけど、本当はすっごく優しい人で、それにすごく強くてカッコよくて。いつも助けてくれて守ってくれたから大好きになったの。

わたしね、あなたみたいになりたいなって思ったんだぁ。わたしは戦うことができないけれど、その代わりに他の人ができないことなら何でもできたりとかできるんじゃないかなぁって考えてみたの。例えば、怪我をして動けない人を治したりだとかね?……えへへ、どうかな? もしよかったら、あなたの弟子にしてくれないかなぁなんて思ってたり思わなかったりっていうのもあるんだけどさ。ほらだって、弟子になったらいろいろとあなたのこと教えてもらえそうだし……それにね、やっぱりいろんなことを知っておかないと旅を続けることはできないと思うんだよねぇ~。うんうん。

というわけでどうでしょう師匠。こんなところで私と一緒に修行してみるというのは!あはははっ!いいよねいいよね!?じゃあいったいなにするのかというとお医者さんごっこだよぉ♪なんせ私は治療系の魔法が得意ですからねぇ。お姉さんの身体を見てあげることもできる

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