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イタリアがシャワーを浴びている間。
ひまわり畑での出来事のあと、三人の男たちは静かなリビングに集められていた。
「……まさか、あんな展開になるとはなぁ〜?」
フランスは肘をついてソファにもたれ、にやにやしながら紅茶を飲んでいる。
「まったく……おふたりとも、ひまわりの中でなにをやっておられるのかと思いましたよ」
イギリスは手にしたカップを静かに置いてから、ドイツに視線を向ける。
「……す、すまない。あれは事故だった。わざとじゃ、ない」
ドイツは耳まで真っ赤にして背筋を伸ばしている。
「うんうん、わざとじゃないってことにしとくよ〜? でもまあ、狙いどおり……だったんじゃない?」
「狙い……とは?」
「だって、僕たち、言ったでしょ? “ひまわり畑で写真撮ろう” とか言って自然にふたりきりにさせたじゃん?」
「……っ」
ドイツが少しだけ肩をすくめた。
「それで、イタリアくんが転んで、ドイツさんが受け止めて……なんかそのまま見つめ合っておられましたよね」
イギリスが控えめに咳払いをして、言いにくそうに目を伏せる。
「な、なぜ見ていた……!?」
「確認です。確認。介抱が必要かもしれないでしょう」
「うわ、絶対わざと遅れて来たでしょイギリス!」
「それは……否定しません」
イギリスがちょっとだけ口元を緩めた。珍しく、いたずらっぽい顔だ。
「……けれど、あんなに見つめ合ってらっしゃるとは、想定以上でした。まるで……」
「映画のワンシーン、だったよねぇ」
フランスが嬉しそうに言う。
「で? どうなのドイツ。アレは、どういう気持ちだったの?」
「……ど、どういう、とは……」
「キスするんじゃないかって思っちゃった〜?w」
「っ! ……そ、そんなこと、考えてない……いや、少し、は……」
ガタン、とドイツが立ち上がる。
「す、すまない、少し頭を冷やしてくる……!」
逃げるように部屋を出ていったその背中を見送りながら、フランスとイギリスは目を合わせる。
「ねぇ、イギリス」
「なんですか」
「これもう、すぐだと思わない?」
「……ええ。次は、きっと自分の意思で抱きしめると思いますよ。あの人」
「う〜ん、初々しいね!」
「まったくです……」