ある日、唐突に目覚めたら、記憶もなにもかも失くした少年・真人。そして彼は同じく目覚めていたヒロインと共に謎の怪物から人々を守る為、戦う道へと踏み出すのだった……。 - 第2話『出会い』 - ンッン~…やっぱこの味だねぇ! - ンは今日も今日とて学食で昼ご飯を食べておりまする。 「はむっ……!うん、美味しい!」 今日の日替わり定食メニューであるサバ味噌煮定食を食べながら満足そうに頷く真人の前に座っていた少女も同じように食事を進めている。彼女は今を時めくカリスマモデルにして人気アイドルの【白鳥ひめ】であり、また真人にとって最も付き合いが長い親友でもあった。「ふふっ、良かったぁ」 そんな彼女とは反対に、ひめの前で食事をしている真人はどこか浮かない顔を浮かべていた。その証拠にいつもの半分しか進んでいないのだ。「どうしたの?もしかして嫌いなものでも入ってた?」「ううん、そうじゃないよ」 心配そうに訊ねてくるひめの気遣いに対し、真人は首を横に振って否定し、鯖味噌を口に運ぶ。「……夢の事が気になってさ」「ああ……」 そう言って、真人は今朝見た夢を語り始めた―― 真人が今朝見た夢の内容はこうであった。 見知らぬ場所。そこで出会った一人の青年(以下、aとする)aが真人に言った。『君の願い事は?』 aの問いに、真人はこう答えた。『この世界で一番美しくなること』 その瞬間、視界が光に包まれ真人とaは気がつくと病院のベッドに寝ていて、二人はお互いの姿を見て驚愕する。何故なら二人の姿は“逆さま”だったのだから……。 この奇妙な体験をきっかけに二人の生活が始まったのだが……現在に至るまでaが目を覚ます気配はないらしい。 「――というのが僕の夢の中で見た夢の内容なんだけど…」「なるほど……それで最近元気がなかったんだね」 一通り話し終えたところで真人がそう言うと、それを聞いたひめが納得した様子で頷いた後、再び箸を動かして食事を再開しようとしたその時…… 《緊急速報です。現在○○県冬木市で原因不明の大きな揺れが発生しています。市民の皆様はすぐに避難してください》 突然の警報音に驚いた二人が辺りを見回してみると、食堂にいる生徒達はそのほとんどが慌ただしくなっており、我先にと慌てて教室を出ていっている