夜の森は静けさの中にわずかな音だけが響いていた。遠くから風が木々を揺らす音、そして小屋の中で寝息を立てる仲間たちの気配が交じり合う。萌香は一度目を閉じたものの、何かに誘われるように目を覚ました。
「…喉、渇いたな。」
軽くため息をつきながら、水を飲もうと起き上がり、小屋を抜け出す。外はひんやりとした空気が漂い、夜露に濡れた草の匂いが漂っている。そんな中、ふと視界の隅に動く人影が見えた。
「あれ…誰か起きてる?」
視線をそちらに向けると、月明かりに照らされた背の高いいさなの姿が目に入った。どうやら彼も小屋を出て、用を足しているようだった。背中を丸め、軽く息を吐きながら事を済ませている姿は、普段の堂々とした雰囲気とは違い、少し無防備でどこかおかしい。
「……えっ。」
何か言おうとしたが、声を出す前に、突然聞こえた音に言葉を失った。
チョロチョロチョロ…
夜の静寂の中に、いさなの放尿音が響き渡る。萌香は思わず目を逸らそうとするも、好奇心が勝り、視線がそのまま釘付けになってしまう。
「…こんなに大きいんだ。」
そんなことを考えた瞬間、自分が何を見ているのかに気づき、心臓がドクンと音を立てた。頬が熱くなり、反射的に一歩後ずさる。しかし、その拍子に小枝を踏んでしまった。
パキッ
「えっ、誰だ!?」
いさなが振り向き、そのまま動きを止める。月明かりの下、いさなの顔は驚きと羞恥で真っ赤になっていた。
「…萌香?」
「ご、ごめんなさい!そんなつもりじゃなくて…!」
慌てて手を振りながら謝る萌香。しかし、足元に草が絡まりバランスを崩し、その場で転んでしまった。その結果…。
ピシャッ!
「…うわっ!」
不運にも、軌道が微妙に萌香の顔にかかってしまったのだ。
「ご、ごめん!本当にごめん!」いさなは顔を真っ赤にしながら必死に謝る。
「も、もういい!とにかく拭かせて!」萌香も顔を覆いながら答えるが、その声には怒りというよりも恥ずかしさの方が色濃く滲んでいた。
何とかその場を落ち着かせ、二人は一緒に近くの水場で事後処理を済ませることに。萌香は小声で言った。
「…ねぇ、これ、絶対に他の二人には言わないでね。」
「ああ、もちろん。こんな恥ずかしいこと、誰にも話すわけないだろ!」いさなは力強く答えた。
「ならいいけど…ほんと、いさなってたまに抜けてるよね。」萌香は苦笑しつつも、どこか親しみのこもった声で言った。
「まあな。でも、こんな形で秘密ができるとは思わなかったよ。」
二人は少し照れくさそうに笑い合いながら、静かに小屋へ戻った。
その夜の出来事は、彼らの中で決して語られることのない秘密として心に刻まれた。夜明けまで、二人はそれぞれ思い返しながら眠りについたのだった。
コメント
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これちょいエロか、今気づいた
草