僕の一族は、「魔の一族」とされているらしい。
そのおかげで父が悪魔で、母が人間というなんともよく分からない両親で、悪魔と人間のハーフという僕の存在もよく分からないのである。
この家族なので、母は魔女として殺され、父は呪われて寝たきり。
ちなみに僕はかなり精度の高い呪いを掛けられたらしい。
それなのに。
僕は王女様のロゼとして働いている。
『どうして』と聞くと、『心が月のように綺麗だから』らしい。
確かに王女様は色々と心が見えたり見透かしたりできるけど、、、
「ネネ様、エム様がいらっしゃっておりますが……通してよろしいでしょうか?」
『通して』
「分かりました。」
今は王宮の門の前に居る。
ネネ様の妹のエム様を見て、OKサインを出す。
そして門を開け、案内する。
コンコンコン、と3回ノックをして、ネネ様の部屋の重い扉を開く。
「ネネ様。」
「ロゼ、今日はもう休んで。」
「分かりました。」
部屋を出て扉を閉めると、『お姉ちゃーんっ!』という声とガラガラガラ、と物が崩れる音がして、「あぁ、また突撃したんだなぁ、」と察する。微笑ましい姉妹のやり取りが聞こえ、ふふ、と笑いが零れてしまう。
「あれ、騎士団長様?」
「む、ロゼか?」
黄色にピンクがかったグラデーションを見つけ、呼ぶ。
明るい外を眺め、「綺麗ですね、」と呟く。
2階のため、少し下から笑い声と盛んな街が見える。
「オレは、戦争は嫌いだ。」
「…そうですね、騎士団長様は種族、老若男女問わず笑顔になればいい、と仰っていらしましたものね。」
「……はぁ、オレも外すから敬語は外せと言ったはずだが、」
「すみません、癖になっているようで、」
騎士団長様……いや、シュヴァリエは人の笑顔が好きらしく、時間を見つけては人々にちょっとしたショーなど、色々と道具を使ったりして笑顔を保っているそうだ。
シュヴァリエは妹のサキくんが病弱で、ショーやらをする帰りに病院が近くにあると寄ってから帰ってきているらしい。(お土産もある)
〜〜
あれからシュヴァリエと散々話したので、部屋に戻る。
最近忙しかったからか、ベットに横になるとすぐ眠れた。
「ルイ」
「なに?お父さん」
「…このクォーツ、ルイにやるよ」
「え?いいの!?でも、半分に割れてるのはどうして?」
「こっちは俺の形見。こっちはお前が運命だと思った人に渡すんだぞ!」
「分かった!大切にするね!」
「父さん、起きてよ、父さん!!」
「僕、独りで生きていけないよ、」
「ねぇ父さん、寂しいよ、」
「父さん、どうして…父さん……っ、」
「父さん、今日は友達が出来たんだ、「ミズキ」って言うんだけどね、僕と同じで国の魔法軍を目指してるんだって、」
「父さん、父さんは、天国でも元気で居てね。」
「父さん、今日はミズキと勉強したんだ、ミズキはとっても頭が良くて、今日たくさん教えて貰っちゃったよ、」
「父さん、今日は何もなかったよ、ミズキも休んでたから、勉強しか出来なかったんだ、」
「父さん、あの日の事、覚えてる?」
「僕は、クォーツをミズキに渡そうと思うんだ」
「“明日、渡すんだ。”楽しみだな、どんな反応してくれるんだろう」
「なんで、ミズキも僕を置いて行っちゃうんだろう、僕は、“魔の一族”だから?」
「っ!」
懐かしい夢を見た。
父さんがクォーツを渡してくれた日のこと。
父さんが寝たきりになった日のこと。
ミズキが友達になった日のこと。
ミズキも居なくて虐められてばかりで、そんな環境で勉強してた日のこと。
“明日渡す”と楽しみになっていた日のこと。
ミズキもまた、“魔女”として呪われ、仮死状態になってしまった日のこと。
なんでだろう
くるしい
つらい
いきができない
どうして
助けて、ミズキ_________
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