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それから数日が経った頃。俺は仕事終わり、冬馬さんの家に行くために冬馬さんと一緒に会社を出ると、目の前に一人の男性が立つ。その男性を見て、冬馬さんが言う。
「…大和先輩」
「また来ちゃった」
大和先輩はそう言ってニヤッと笑った後、俺をチラッと見る。
「こんばんは。後輩くん」
「…こんばんは」
「また二人で用事?」
「そうですけど」
俺がそう言うと、大和先輩は俺に微笑みながら言う。
「悪いけど、その予定は無しにしてもらうね」
そう言った後、大和先輩は冬馬さんの腕を掴み、歩き出そうとする。冬馬さんはそんな大和先輩の腕を振り払った。
「嫌です。俺は行きません」
「また真面目ぶっちゃって。でも、嫌がってる冬馬いじめんのもありかも。ほら、こっち来て」
大和先輩はそう言って再び冬馬さんの腕を掴み、歩き出そうとする。
「嫌だ…!」
そう言いながら嫌がる冬馬さんを見て、俺は大和先輩の腕を掴む。大和先輩が立ち止まると、その場に俺の低い声が響く。
「…冬馬さんに気安く触らないでください」
「え?何?」
大和先輩はそう言って手を離した後、俺の方を見る。そんな大和先輩を前に俺は冬馬さんを引き寄せる。
「冬馬さん、俺のなんで。もう冬馬さんに構わないでください」
その場に沈黙が走る。少しして大和先輩がハハッと笑った。
「それはどうもすみませんね」
大和先輩はそう言って、その場を去ろうとする。だが、途中で足を止め、振り向いて俺を見た。
「もう冬馬には会いに来ないから。安心して」
俺はそう言う大和先輩に威嚇するようにジッと目線を送る。そんな俺を見た後、ニコッと笑い、冬馬さんを見る。
「冬馬。良かったな。いい恋人が出来て」
「…ありがとうございます」
冬馬さんはそう言って照れたような顔をする。
「ん。じゃあな」
大和先輩はそう言って手を振った後、その場を去っていった。
「あの…春人…」
冬馬さんのその言葉で俺は冬馬さんの方を見る。すると、すぐ近くで目が合った。さっきからずっと、冬馬さんを引き寄せたままだった。
「あっ、すみません」
俺はそう言いながら慌てて冬馬さんから離れる。冬馬さんは俺を見て、恥ずかしそうに言う。
「…春人、ありがとう」
俺はそんな冬馬さんに微笑んだ後、冬馬さんに手を差し出す。
「行きましょう」
「…うん」
冬馬さんは頬を赤くしてそう言った後、俺の手を取る。そんな冬馬さんと手を繋ぎ、俺達は歩き出した。
窓から見える空がゆっくりと黒く染まって行く中、ベットに座った冬馬さんが両手を広げながら言う。
「春人、おいで?」
俺はそんな冬馬さんの元へ行き、ぎゅっと抱きしめた後、顔をあげる。
「冬馬さん。そんな可愛いことしたら、俺が狼になっちゃいますよ?」
「…なっていいよ。狼。俺、狼な春人も好きだし」
少し頬を赤くしてそう言う冬馬さんを俺は優しく押し倒す。そしてそのままキスをした。
「…冬馬さん」
「何?」
「好きです」
そう言って俺が微笑むと、冬馬さんも微笑み返す。
「俺も好きだよ」
そう言う冬馬さんにもう一度キスをする。何度か唇が触れた後、顔を離すと、冬馬さんの手が俺の頬に触れる。
「今日は優しい狼さんなんだね」
「優しい狼は好みじゃないですか?」
「ううん。大好き」
そう言って冬馬さんは俺に微笑む。
「じゃあ、優しい狼が美味しく食べますね」
俺はそう言った後、冬馬さんにキスをした。
「冬馬さん。大好きです」
「俺も大好きだよ。春人」
冬馬さんはそう言って俺に笑いかける。
その笑顔を見て、胸の奥が、じんわりと温かく満ちていく。
窓の外に見える空には綺麗な星が輝いていた。
翌日。出勤して冬馬さんに挨拶をする。
「おはようございます。冬馬さん」
「おはよう。春人」
冬馬さんはそう言ってニコッと笑う。そんな俺達の元へ尾崎さんが来る。
「ちょっと待って。今柳くん冬馬の事なんて呼んだ?」
「冬馬さんです」
「はいはいはい。で、冬馬は?」
「春人だけど?」
「なるほどなるほど。遂に昔から仲良かったの隠すのやめた訳だ」
「そうじゃなくて、俺と冬馬さんが付き合ってる事を隠すのやめたって感じですかね〜」
俺が少し自慢げにそう言うと、冬馬さんが嬉しそうに言う。
「別に付き合ってるとは言わなくてもいいのに〜」
「あぁ、すみません」
俺がそう言って頭をかくと、尾崎さんは慌てた様子で言う。
「待って待って。って事は、噂の冬馬の恋人って…」
「俺です」
俺がそう言って冬馬さんの頬にキスをすると、冬馬さんの頬が赤く染まる。
「…もう。春人。急に人前で大胆になり過ぎだよ」
「嫌でした?じゃあ今まで通り佐野さんって呼びますね」
「嫌なんて言ってないよ。冬馬って呼んで?」
冬馬さんはそう言って目をキラキラさせる。
「わかりましたよ。冬馬さん」
「も〜、春人大好き〜」
冬馬さんはそう言って俺に抱きつく。
「わっ。ちょっと冬馬さん、それは流石に…」
「キスしてきたくせに何言ってんの〜」
そう言って俺をぎゅっと抱きしめる冬馬さんに俺はふふっと笑う。
「しょうがないですね。冬馬さんは」
俺はそう言いながら冬馬さんをぎゅっと抱きしめた。
「はいはい。イチャイチャしてないで仕事の準備してね〜」
尾崎さんにそう言われ俺が手を離すと、冬馬さんも手を離し、俺から離れる。
「そうだよ春人。早く準備して〜」
「お前もだよ」
そう言って尾崎さんは冬馬さんの頭をポンと叩く。
「いてっ。はいはい」
冬馬さんはそう言ってデスクに座った。それに続いて俺もデスクに座る。そして、2人顔を見合わせてふふっと笑う。
ふと見えた窓の外は青い空に包まれていた。