濡れた服を洗濯機に放り込んで、シャワーを浴びて、布団に潜り込む。
あぁ、スニーカー洗っとかないとな。
もう、明日でいいや。
アイツのことなんか、知らん。
布団を頭までかぶって、雨の音を子守唄に。
目を閉じて、眠れるように努力する。
なんだか、寝たんだか、寝てないんだか。
雨は夜のうちに上がったらしい。
起きてすぐする、スマホチェック。
元貴からの着信がずらっと並んでて、慌てて飛び起きた。
「何事!」
『オレの方が何事だよ!』
電話に出た元貴に怒鳴られる。
『ずぶ濡れで泥だらけのりょうちゃんが来たかと思ったら、泣きながら泊めてって。若井を怒らせちゃったから、同棲解消かも、ごめんねって…。何が起きてるの?』
「え…あ…いや…。」
言えるかよ、あんなこと。
結局、俺じゃなくて、元貴を頼ったのかよ。
俺はその程度の存在ってことだろ。
電話の向こうで、わざとらしいくらいの、大きなため息がする。
『りょうちゃんなら、案の定、熱出して、今寝込んでるから。下がるまではそっちに帰せない。』
だから風邪引くっつってんのに。
「あの、バカ。」
『馬鹿はお前だろ。』
電話越しの呟きは、聞かれてたらしい。
『りょうちゃんの着替え、持ってきて。何日寝込むかは分からないけど、三日分もあればいいかな。』
「分かった。」
『あなたと彼の話し合いは、治ってから!ちゃんと向き合いなさーい!』
向き合うって、何を。
『ん…もと…き?』
電話越しの遠い向こうで、熱を帯びた声がする。
『あぁ、起きちゃった?ごめんね、ちょっと待ってて、りょうちゃん。』
『ん…。水…。』
『薬も飲めるかなぁ。じゃっ!着替えよろしく!』
慌てたように、電話は切れた。
着替え…ねぇ。
入っていいのか、あの部屋。
『ごめんね』
絵文字も何も無い、アイツからのメールが一通だけ届いてて。
それが何だか、無性に腹立だしかった。
コメント
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りょうちゃん‥🥺
続きが楽しみ!