テラーノベル
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冷水が肌を突き刺し、泥の匂いが鼻をつく。もがきながらなんとか岸辺に這い上がると、全身は泥と雪で汚れていた。震える体で白川家を見ると、遠くからパトカーのサイレンが聞こえ、家宅捜査の警察の姿が目に入った。心臓が飛び跳ねるほどの恐怖が、はじめの体を支配した。「見つからないな!はじめはどこだ!」
「毒島はじめ!殺人や放火の罪で現行犯逮捕する!」
警察官たちの緊迫した声が、森の中にこだまする。はじめは、恐怖と怒りが入り混じった感情を押し殺し、近くの大木に身を潜めた。彼女が完璧な人間関係を築くための舞台だった白川家を台無しにしたフィンリーに対する憎悪が、沸々と胸の内で燃え上がる。やがて、遠ざかる足音を聞き、警察が去ったことを確信すると、彼女は再び、家の中へと忍び込んだ。
愛が向かったのは、白川愛として過ごした自分の部屋だった。鏡に映る泥だらけの顔に、ニヤリと笑みが浮かぶ。手早く化粧品を取り出し、汚れた顔を完璧な無垢な少女の顔に塗り替えた。首についた殴打の痕を隠すために、原宿で買ってきた綺麗なタートルネックのついた白いロリータファッションを身につけるのだった。それは、完璧な十歳の女の子を演じるための、彼女にとっての神聖な儀式だった。
「これで、誰にも気づかれない」
愛は、自分の変装に満足げな笑みを浮かべ、家を出ると、公園へと向かうタクシーに乗り込んだ。「おじさん、親がいなくて迷子なの。公園へ連れて行ってくれる?」と、すすり泣く声で完璧な嘘を紡いだ。
愛の心の声「さっきのママの言葉、ロシア語だったよね….そっか、フィンリーママはロシア系アメリカ人だからってこと?ロシア語の中では汚いニュアンスみたいだったけどどういう意味だった?」
と疑心暗鬼になりながら「ありがとう、おじさん!」
感謝を口にしていた。愛は心の中で嘲笑を繰り返した。「私はもう三十四歳なのに。ちょろいもんね、この見た目に騙されちゃって」
愛は公園でタクシーを降りると、迷子の十歳の孤児としてブランコに座った。寂しそうにブランコをこぎ、涙を拭う仕草を見せる。完璧に演じきった結果、彼女は警察に保護され、再び児童養護施設へ入ることになった。
児童養護施設、新たな出会い。
児童養護施設での6年間は、愛にとって退屈な時間だった。2016年、40歳になっていた愛は、外見は10歳のままだったが、その大人びた振る舞い、変わった服を着ていたこと、1人で美術室で趣味の木彫りを彫刻刀で彫り続けていたこと、 養子として引き取ってくれる里親がいなくて6年が経過していたので、愛にとっては退屈な時間だった。しかも、友人は一人もできなかった。彼女は、美術室で「理想の父」を彫り続ける日々を送っていた。里親として引き取ってくれる者はおらず、孤独と退屈が彼女を蝕んでいく。彼女の心には、一家の養子になって裕福な父親と結婚したいという渇望が渦巻いていた。
愛の心の声「私は生まれつきウィリアムズ症候群を抱え、実のママから暴力振るわれて、社会に馴染めずこの子どもみたいな見た目を生かして養子として転々としてたわ。もちろん白のロリータファッションも使って金銭奪いたかったけど、うまくいかず殺して家を燃やして逮捕もされた。それで私はストレスが溜まって暴れてしまって身体拘束を受けた時の傷跡が生々しかった。だからタートルネックで隠すしかなかった。それから34歳の時には白川愛として養子になったけど、今度は失敗した。養母に蹴られて湖に落ちてしまった。警察に見つからないように逃げて無事に保護されてここに来た。」
そんな時、6歳から孤児だったT(9歳。128cm)とロシア人女性のエカチェリーナ(9歳。178cm)。が美術室を訪れていた。
Tの心の声「愛って女の子は子どもにしては何か変だよね。いつも一人で美術室で木彫り彫ってるけど。」
T「エカチェリーナさん。私を連れて大丈夫なんですか?思ったんですが、あなたはクラスのマドンナとしてどうですか?私は地味ですよ?」
エカチェリーナ「私は学校でも施設でもあなただけは唯一の友だちなんだから、ねっ?あなたこそ唯一の支えだし、あなたがいないと寂しいわ。だから一緒に美術室に行こう?」と休み時間に「カッ!カッ!」と上履きの音が地面に響きながら美術室に向かう2人だった。
Tの心の声「エカチェリーナは友だちだけど、何か重荷を感じるなぁ。地面な私なんてマドンナの彼女となんて釣り合わないな。エカチェリーナの身長が178cm?そりゃぁマドンナ扱いされてもおかしくないよね。」と考え込むのだった。
エカチェリーナ「ねぇ愛。何の木彫りを彫ってるの?」
愛「これ?私の理想のパパを彫ってるの。私も早く里親ゲットしてかっこいいパパが欲しいなぁ。ねぇかっこいいでしょ、エカチェリーナ?」
エカチェリーナ「フフッ…子どもとは思えないくらい素敵な木彫りね。木彫師になれるんじゃないかしら。」とクラスのマドンナみたいに明るく気さくに友だちのように接するのだった。
愛「本当に?嬉しいなぁ!T君もそう思うでしょ?」とはしゃぐのだった。
T「まぁっ…凄いですよ」と驚愕し過ぎて少し引き気味な様子だった。
愛の心の声「バカな2人。私が本当は40歳の大人の女性だってことに気づけないことが奇跡よ…でも友だちみたいに接してくれるから嬉しいわ。」
コメント
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うわ、第9話めっちゃ重い展開だったな…! 愛の変装シーン、タートルネックで傷跡隠してロリータファッションで無垢な少女演じるところ、背筋冷たくなったわ。しかも「私はもう34歳なのに」って内心で嘲笑ってるのヤバすぎる。新キャラのエカチェリーナ、9歳で178cmってなんやねん!笑 でもTとの距離感とか、愛が「友だちみたいに接してくれるから嬉しい」って本音漏らしたところにちょっとグッときた。次が気になりすぎる🔥