テラーノベル
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そんなある日、職員が愛の不自然なタートルネックに触れようとした。その瞬間、愛は「バレたらまずい」と思い、「キィィィィィィィィッ!!!」と金切り声を上げて近くの男性職員を殴りつけ、窓から脱走した。それは、この施設での生活が、彼女の次の計画に支障をきたすと判断したからだった。夜の公園で再び孤児を装い、別の施設に保護された愛は、相変わらず孤独だった。しかし、彼女の木彫りのテーマは変わっていた。2017年、41歳の時、街で偶然見かけた不気味な女の子に心惹かれたのだ。愛は、その女の子が自分に似ていると感じ、「理想の姉」としてその姿ばかりを彫り続けた。その女の子の名は東京フリーク区に住む黒井カラスだった。
愛「あのガキ、東京フリーク区に住んでそうな雰囲気だ…私もそこへ移住しよう…あんなノーミー世界に住むのはウンザリだ…」と呟きながら黒井カラスとその家族たちの後をついて行き、タクシーを利用して江戸川区の橋を跨ぎ、東京フリーク区という巨大な人工島へ向かったのだった。
その時にあることに気づいた。
フリーク区の入居審査があることだった。
愛「ここが入居審査か…!」と慌てふそのお化け屋敷とは歴史直視型の『ジャッジメント・デイ・ジャパン〜日の本の正義と哀しみ〜』というアトラクションに行くのだったのだ。
愛「すみません!このお化け屋敷、フリーク区の住人たちは全員参加されてるんですか?」と質問を投げかけるのだった。
店員さんが笑みを浮かべながら愛に淡々とこう話すのだった。「フフっ。さようでございます。フリーク区に住む方々は子どもと大人関係なく、誰しもがこのお化け屋敷を体験された方です。この体験は目を疑いたくなるような光景や耳を突き刺すと言った声が多いですが、皆さんは恐怖を経験したからこそ真実から目を背けずに生きておられます。ただ、観光や遊び目的で行かれるようであればこのお化け屋敷に行かれるのは免除されます。」
そしてさらに表情が強張り、淡々と説明するのでした。「一つ忠告があります。フリーク区に住む住人たちは白い目で見られることを嫌います。他にも、彼らはラベルで判断されることも嫌うので相手に敬意を払った呼び名で呼ぶようにしていただければさようです。それから、フリーク区とこのお化け屋敷については決して一般社会に口外しないようにお願いいたします。たとえ、一般社会に住むノーミーたちに口外したとしても理解はされないと思いますので。」
愛「わかりました。では、参加させていただきます」と料金を支払ってお化け屋敷に入るのだった。
入り口から漂うジメジメとした雰囲気に怯えながらも進むのだった。サン・フェリペ号事件と書いてある文字を見つけるのだった。
船員の古い船から来るカビ臭さが空気感を漂うのでした。愛「……うっ、喉がヒリつく……これが、フリーク区が言う『歴史の重み』なのか?」
愛「サン・フェリペ号事件?歴史のお勉強のお化け屋敷って訳?」と疑心暗鬼になるのだった。
船員人形「どんな計画かを教えます。まずはスペイン帝国が宣教師を派遣して、キリスト教を広めさせる。それが成功したら、軍隊を派遣して植民地支配をする。これまでメキシコやフィリピンを手に入れたのは、そのためです。」
豊臣秀吉人形「何?キリストの教えとやらは、この日の本を切り取らん(征服せん)がための計略であったか! おのれ、虚け(うつけ)おって!! これ以上、フィリピンとメキシコの二の舞にされてたまるか! ええい、九州におる伴天連(バテレン)どもを一人残らず叩き出せ!!」
家臣人形「ははっ!!」
秀吉の心の声「わしは信じておったのじゃ……(少し声を震わせる)。だが、裏で牙を剥いておったとはな! 日の本は、わしが守らねばならんのじゃ!!」
愛はあることを確信した。「他にも、九州で農民たちが奴隷商人たちによって売られたと聞いたことがあるな。まさか…これもスペイン帝国の影響力もあるから、秀吉は国のためにバテレン追放令を出したんだね。」
そう言って、次のフロアに向かうのだった。
愛「次は?なんか鉄が錆びついたような匂いがする…って何これ?」と宣教師と信徒たちが削ぎ落とされた鼻と左の耳たぶがあちらこちらに地面に落ちていたのだった。そして、日本二十六聖人人形が磔の刑にされる様子を目の当たりにしたのだった。
宣教師人形「なぜ…私たちはこのありがたい教えを広めようとしただけなのに…」
宣教師人形B「スペインに帰りたいのに、秀吉様の命令で…殺されるなんて…」
信徒人形「もうダメじゃ。お国のために死ぬのは嫌じゃ…」
家臣人形「これは秀吉様の命令じゃ!!今すぐ処刑せよ!!」
処刑人人形たち「ははっ!!」と言って持っている槍で磔にされた宣教師と信徒たちのお腹を突き刺すのでした。
磔にされた人形たち「ぐわぁぁぁぁっ!!!!」と血しぶきが飛ぶのでした。
生々しい音声を聞いた愛は「うぇっ!!」と地面に蹲り、嘔吐してしまうのだった。
またその次のフロアに行く時はある音楽が流れるのでした。
愛「何?なぜモーツァルトのレクイエムの怒りの日が流れているの?」と先を進むとある衝撃な物を目の当たりにするのでした。
殺されて骸骨となり、亡霊となった宣教師人形たちと信徒たち人形が跪いて両手を握ってお祈りしながらあることを呟いた。「なぜ神様は私たちを救っては下さらぬのですか?一体なぜですか?!!教えを守っているはずなのになぜ殺されなければならないのですか?!!」
その亡霊たちの嘆きを聞いた愛は次のフロアに進んだ。
次のフロアでは亡霊人形たちがこう叫んだのだった。「私たちは神様を信じたのに殺された!!この痛み、この歴史を決して忘れるな!!」
愛は優雅に前に進みながら出口にあるある文章を読み上げるのだった。
愛「『このお化け屋敷は…特定の宗教を批判するために作られた訳ではありません。支配の正義と守る正義の両方の視点を見ていただくためのテーマでもあります。つまり、主役と悪役は…いません。この歴史をただ単に学ぶだけでなく、真実から目を背けずに….自分の内面と深く向き合って…このフリーク区に住んで下さい…合格おめでとうございます。』私は…クリアしたのね。」無事に外に出るのだった。
はじめがお化け屋敷の出口の外に出ると街は変わり者たちが平和的に楽しく過ごす様子が目に浮かんでいた。
はじめの心の声「さっきまで嗅いでいた鉄の匂いが、まだ鼻の奥に残っている。生々しかったなぁ」
中には猫にリードをつけて散歩している変わり者もいれば、全身虹色の服を着ている男性もいたり、個性豊かな人たちがマナーを守りつつ仲良く暮らしているのだった。
愛はそれから東京フリーク区にある児童養護施設へ向かい、無事に職員たちに保護されて生活をするのだった。
コメント
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わあ、第10話、一気に世界観が広がりましたね…!「ジャッジメント・デイ・ジャパン」のお化け屋敷を通した入居審査、すごく重厚で引き込まれました。サン・フェリペ号事件や二十六聖人の刑をテーマにしていて、ただ怖いだけじゃなく「真実から目を背けずに生きる」というフリーク区の理念が伝わってくる構成が印象的です。愛が嘔吐しながらも前に進む姿勢に、彼女の執着や覚悟みたいなものを感じました。第二章、楽しみにしてますね🌷