episode 6 鏡のような眼
「唯一言うとすれば…」
「彩使いの彩を映す,でしょうか」
「おそらく、無彩の彩映さん。」
「彩を映す事が能力かもしれませんね。」
「その硝子玉のような、水晶玉のような。」
*「*鏡のような、その眼は。」
「なぁなぁ紫苑〜」
『…兄貴、?』
黒い髪に、黄色の眼。
俺、黒瀬紫苑の実兄
黒瀬黄蘭。
俺とは歳が一つだけ離れていて、
性格も真反対。
兄貴はまあ…、クラスの人気者みたいなヤツだ。
紫と、黄色
言ってみれば俺は陰、兄貴は光。
「で、あの子?」
「無彩ってのは。」
『まあ、そうだけど…』
「で、あんたの彩がバレた、と…。」
『……なんで分かったんだ…?』
「ははっ、分かってたら今悩んでないだろ?」
『…ま、それもそうか。』
…アイツの眼。
一瞬、水色を映していたような気がした。
仮に、アイツの能力が「他人の彩が見える」としよう。
他人だけではなく、自分自身の彩も映すとしたら?
ただ、あいつは無彩だ。
水色なんて、映さない。
ならなんだ?
……!
『…自分自身の、心?』
「ん、どうしたんだ?」
俺自身の呟きに反応した兄貴に、
自分の考えを話す。
「なるほどなぁ…」
「つまりは、あの子の感情の彩を映してる…て事か。」
「…ありえるな。」
下校途中
『…なあ、兄貴』
「…ん、どした?」
『…水色って、どんな感情を表してるんだ?』
水色。
…素が寒色の青だ。
悲しみでも表しているのだろうか。
「…俺は…。」
「泣いているんだと思うぞ、心が。」
『…泣いている、?』
「透明な瞳に水色、」
「俺は涙を表しているんじゃないか…、そう思う。」
…そうだ。
あいつは階段で、笑っていた。
それでも悲しそうな…、
すぐにでも泣いてしまいそうな眼をしていたんだ。
瞳を震わして、逃げるように帰っていったんだ。
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Snowdrop! 茶柱や…覚えてるか?
たのしみすぎる