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『恋人ってこんなんだっけ?』
tg視点
昼休み。
「なあちぐ、弁当一緒に食お」
「……え、いつも別じゃん」
「恋人やろ?」
はい出ました。
万能ワード。
「……それもう魔法の言葉みたいに使ってない?」
「便利やで」
にやって笑う。
ほんと腹立つ。
でも。
「……まあ、いいけど」
断る理由もない。
っていうか——
ちょっとだけ、嬉しい自分がいるのがムカつく。
屋上。
人少なくて、風ちょっと強くて。
なんか、静かで。
「ここ来たことあったっけ」
「ないかも」
「ほな初デートやな」
「違う」
即否定。
でもその言い方、
ちょっとだけドキッとした。
「はい、隣」
ぽんぽん、って床叩かれる。
「……はいはい」
座った瞬間——
「近」
「遠いほうが不自然やろ」
じわっと距離詰められる。
肩、軽く当たる。
「……これも演技?」
「せやな」
即答。
なのに。
その距離、妙に自然で。
変に意識する。
「ちぐ、それなに」
「唐揚げ」
「一個ちょうだい」
「は?」
「恋人やろ?」
「それ関係ある?」
「ある」
ない。
絶対ない。
「……はい」
しぶしぶ差し出す。
その瞬間——
ぱく。
「え」
箸ごと、食われた。
「ちょ、ぷりちゃん!?」
「うま」
「いやそうじゃなくて!!」
なんで普通に食べてんの。
なんで俺の箸で食べてんの。
「……それ、普通しないでしょ」
「恋人やったらするやろ」
「しないから!」
「するって」
「しない!!」
言い合い。
なのに。
ぷりちゃん、ちょっと笑ってる。
楽しそうに。
「……ちぐ」
「なに」
「顔、真っ赤やで」
「赤くない!!」
「いや赤い」
うるさい。
ほんとに。
少し沈黙。
風の音だけ聞こえる。
「……ねえ」
「ん?」
「恋人って、こんなんだっけ?」
ぽつって、思わず出た。
「どんなん想像してたん」
「もっと……なんていうか……」
言葉に詰まる。
「普通?」
「……うん」
「ほなこれは普通ちゃうん?」
「……わかんない」
わかんない。
ほんとに。
距離近くて。
触れてきて。
からかってきて。
なのに、たまに優しくて。
こんなの、
知らない。
「ほな、教えたるわ」
「……なにを」
「恋人ってやつ」
そう言って——
ぽん。
頭、軽く撫でられた。
「……っ!?」
一瞬で固まる。
「な、なにしてんの」
「これも普通やで」
「普通じゃない!!」
心臓やばい。
ほんとにやばい。
「ちぐ、かわええな」
「やめて」
即答。
でも声、ちょっと弱い。
「なんで」
「……なんでも」
顔、見れない。
見たら絶対バレる。
「ふーん」
絶対わかってる顔してる。
帰り道。
「じゃあな、ちぐ」
「……うん」
いつも通りのはずなのに。
なんか違う。
ちょっとだけ、名残惜しい。
「明日も恋人やで」
「……期限あるからね」
「せやな」
軽く言う。
でもその一瞬、
少しだけ——
寂しそうに見えた気がした。
「……また明日」
「おう」
手、軽く振られる。
それだけなのに。
なんか。
少しだけ、
足りない気がした。
——これ、ほんとに。
“罰ゲーム”なんだよね。
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💬⇒4
コメント
7件
てえてえ🫶
ちょいツンデレtgちゃん可愛いっす💕 この2人をずっと見守ってたい(もちろん遠くから…)