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「あ、雫」
放課後。
校門の前で待つ私に手を振ってきた、一人の男子。
「お疲れ様、岬」
私は、目の前まで来たその男子――岬の頭をわしわしとなでる。
「うわ、らんぼー」
「アルチュール?」
「ちがうっ!」
なんだ、違うのか。
てっきり、「アルチュール・ランボー」かと思った。
「わー、相変わらず仲良しさんだー」
一通り、岬の頭をなでた私は、彼の後ろに見慣れた姿を見つけた。
「こんにちはー」
両の手を合わせて、ふんわりと花のように笑う女の子。
岬に恋する乙女こと、茨城蓮実ちゃんだ。
「こんにちは、蓮実ちゃん。じゃあ、岬、帰ろうか」
「おー」
私は一度だけ蓮実ちゃんに微笑んで、岬の腕に自分の腕を絡めた。
後ろからの黒い視線には気づかないふりをする。
「じゃあな、茨城」
「あ、うん! またねっ!」
後ろから、甘い甘い、砂糖菓子みたいな声がした。
私がいるのに、自分に好意を抱いている女子にあいさつする岬は仏だと思う。
本当に。
「今日は?」
「宮から呼び出し」
……本当に、
「んー」
……どうして、
「じゃ、混ぜるか」
「っ、うん」
なんでみんな、
「接吻でもする?」
「ここじゃなくていいでしょ……」
”こんなヤツ”を好きになるんだろうか――
――「時神恋異伝」、開幕。
コメント
1件
「おつかれ、岬」からの頭なで、腕組んで拉致ってく感じ、この二人の距離感めっちゃツボでした。蓮実ちゃんがいる前で平然と接吻?とか言っちゃう雫の軽さと、最後の「なんでこんなヤツを好きになるんだろう」の落差が良すぎる。アルチュール・ランボーのボケにも笑った。続き気になります🔥