テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
23
36
◆第3話(少しだけ独占)
階段で3人で話してるとき。
下の廊下から声がした。
「けちゃー!」
振り向くと、同じクラスのぷりっつ。
「今日のプリントさ——」
「あ、今行く!」
けちゃは立ち上がって、階段を少し降りる。
普通の会話。
ただ、それだけなのに——
上から見てる2人の空気が、少しだけ変わる。
「……ぷりっつ、距離近くない?」
まぜたがぼそっと言う。
「クラスメイトだしね」
あっとくんは軽く返すけど、視線は下のまま。
下では、けちゃが笑ってる。
その顔を見て——
「……あの顔、俺らの前であんまりしないよね」
あっとくんが小さく言う。
「……やだな」
まぜたが短く返す。
⸻
「ありがとうございました!」
話を終えて戻ろうとした瞬間——
腕を引かれる。
「え、っ……?」
そのまま軽く引き寄せられて、距離が一気に縮まる。
「……まぜた先輩?」
顔を上げると、まぜた。
少しだけ無表情。
でも、いつもより近い。
「もういいの?」
低く聞かれる。
「え、はい……」
戸惑ってると、
「なら、こっち来て」
そのまま階段の上に戻される。
距離、近いまま。
「……どうしたんですか」
小さく聞くと、
「別に」
即答。
でも——
「ぷりっつと、楽しそうだったから」
ぽつっと本音。
「え?」
予想外で固まる。
その横から、
「ほんとだよ」
あっとくんが苦笑する。
「けちゃ、ああいう顔もするんだね」
優しい声なのに、ちょっとだけ違う。
「……ダメでした?」
不安になって聞くと、
2人とも一瞬止まって——
「ダメじゃない」
「けど」
言葉が重なる。
そのあと、まぜたが一歩近づく。
「俺らの前でもして」
「え……?」
「さっきみたいに笑うの」
逃げ場を塞ぐみたいに距離が詰まる。
反対側から、
「ね、見せてよ」
あっとくんも覗き込む。
(なにこれ……)
挟まれて、逃げられない。
でも——
2人の目、ちょっと真剣。
「……ちゃんと笑ってます」
小さく言うと、
「違う」
まぜたが即答。
「もっと無防備なやつ」
さっきの顔、見てたんだ。
「それ、俺らにも見せて」
あっとくんが優しく言う。
でもその手、軽く腕を掴んで離さない。
(ずるい……)
こんなの断れない。
「……じゃあ、ちょっとだけ」
恥ずかしくて、少しだけ笑う。
その瞬間——
「……やっぱ無理」
まぜたがぼそっと言う。
「ぷりっつには見せんなよ」
そのまま軽く引き寄せられる。
「え、っ……」
一気に距離ゼロ。
反対側で、
「独占強すぎ」
あっとくんが笑いながらも、
「でも同意」
って小さく言う。
「けちゃ、その顔反則」
優しく頬に触れられる。
「俺らの前だけでいい」
2人とも同じこと言う。
(これ……)
ただの嫉妬なのに、
めちゃくちゃ甘い。
「……わかりました」
小さく頷くと、
2人とも少し満足そうに笑う。
でも——
距離は戻らないまま。