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視点:須藤亜樹 11月14日
僕は、親が嫌いだ。親という存在なら等しく全てが嫌いだ。優しい親、厳しい親、仕事に追われ育児に参加しない親、子供と仲睦まじく生活している親、全てが嫌いだ。
自分の親だからと言って嫌いではないわけではない。というより、この世の親という存在の中で一番嫌いなのが自分の親である。なぜかって?答えは簡単だ。息子に暴力、暴言、をする親を好きになれるわけがないからだ。ただ、最近まではこれが普通だと思っていた。そう、自分がーアダルトチルドレンーだと気付くまでは。
視点:愛染優里 同日
「きゃー!今日も亜樹に会えたー!嬉しー!」
そう枕に顔を埋めて私は叫ぶ。何を隠そう私は幼馴染である須藤亜樹が好きなのだ。好きになった理由は単純だ。ずっと、一緒にいたからである。幼稚園からの付き合いで、亜樹の性格、身長体重スリーサイズ、黒子の数、血液型、恥ずかしがっている時の仕草まで知っている。だが、これを言ってしまうと、周りからも、 当の本人の亜樹にも嫌われてしまいそうなので、心の内に留めている。まぁ、来る者拒まずな性格の亜樹なら受け入れてくれそうなのは分かっているが、亜樹の優しさに甘えるのは違うと思い打ち明けていない。
「あぁ〜、それにしても亜樹にいい事あった?って聞いたら、優里に会えたことなんて言われるとは思ってなかったなぁ、、、、ボソッ反則だよ//」
すると携帯のアラームが鳴る。
「あ!そろそろ配信始めなきゃ!」
そう言い慌ただしく配信の準備を済ませ、パソコンの前に座る。
「やぁ〜!こんゆき〜!スユキだよ!」
そう元気に前にあるモニターに喋りかけ、私は配信を始めた。
視点:須藤亜樹 11月15日
東から差し込む鬱陶しいほどの光に思わず目が覚める。
「んんん…ふわぁ〜」
そんな気が抜けた欠伸をする。パチパチと瞬きをすると、目の周りについていたであろう目脂がパリパリと剥がれる。
今日は父は家にいないらしい。よかった、と胸を撫で下ろし、リビングへと向かう。
朝ごはんを食べようと思っていると、何も食べ物がないことに気付く。
あぁそうか、一昨日父が持って行った食べ物をまだ戻していないのか、と納得し、早めに家を出てコンビニで何かを買おうと思い、学校へ行く準備を始めると、突然家の扉が勢いよく開く。
「クソッ!何で俺が振られないといけないんだ!クソッ!クソッ!クソッ!これも全部お前のせいだ!」
そう言い父は俺に掴み掛かり、腹へ二発、両腕に二発ずつ殴られた。殴られた部分が熱く感じる。痛みに耐えられず食べ物が一切混じっていない比較的綺麗な吐瀉物を床にぶちまけた。
「クソッ!クソッ!」
そう言いながら満身創痍の僕の腹を何度も蹴り、足も蹴られた。
3分ほど一通り殴られ蹴られ、父はやっと落ち着いたのか僕への攻撃をやめ、勢いよく部屋を出て行った。
「ハァハァハァ….グッ..」
肩で息をしながら、何とか壁に手を当て、立ち上がる。だが、思うように力が入らずその場にへたりこむ。そこで、今まで感じたことのない憎悪が腹の底から込み上げてくる。
(なんで、僕がこんな思いをしなきゃなんないんだ…!)
それから10分ほどしてようやく痛みが引いてきた。
ようやく立ち上がり、何とか準備を済ませて家を出る。もちろんもうコンビニへ寄る時間などない。
道を歩いていると、突然声をかけられ後ろを向くとやはり彼女はそこにいた。
「おっはよ〜!亜樹!」
優里だ。彼女の明るさに少し心が軽くなった気がした。そう、気がしただけだ。
「ねぇ、朝何かラッキーな事あった?」
そう聞かれるが、
「ん、あぁ、いや、」
そう元気のない返事が思わず出てしまう。
「え、亜樹大丈夫?具合悪いの?」
そう優里は心配してくれる、優しいなと思いながら返事をする。
「あぁ、大丈夫だ、少し眠いだけだよ。」
そう言いながら僕は耳たぶを触る。
「なぁ〜んだ!心配して損した!」
「おい、損とはなんだ損とは。」
「えっへへ〜」
「まぁいいや、時間もやばいし、早く学校行くぞ。」
「はーい!」
…さっき感じた憎悪は何だったのだろう…
視点:愛染優里 同日
私はとても心配だった。その理由はもちろん亜樹がとても体調が悪そうだったからだ。…というよりか、何かを抱えているようだった。そして嘘をついていた。亜樹の耳たぶを触る癖は嘘をつくときに出る物だ。つまり、少し眠いだけ、という言葉は嘘になる。
(何をそんなに隠したいんだろう?)
そう思い、私はベッドの上で私1人では解決しない問題を悶々と考えながら深い眠りの中に落ちていった。