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「さて、まずは夜を迎えよう。夜の時間には、人狼は誰を襲うかを決め、占い師や騎士はそれぞれの役割を果たす。だが、夜明けと共に一人がこの場から消えるだろう。それでは、夜を始める。」
その言葉を合図に、部屋全体が暗闇に包まれた。
カイトは胸が高鳴るのを感じながら、何をするべきか考えた。
彼には「裏占い師」として、誰かを占うという選択肢がある。
だが、占った結果が嘘である以上、その人物を信じて良いのか、それとも疑うべきなのかが全く分からない。
「誰を占うべきか……」
カイトは心の中で葛藤していた。
もし誤った判断をすれば、無実の村人を疑い、処刑する結果になるかもしれない。
だが、何もしなければ人狼に襲われるリスクが高まるだけだ。
夜の時間が終わると、再び部屋に薄明かりが灯った。
誰もが恐る恐る顔を見合わせていた。
何が起こったのか、誰が襲われたのか、まだ誰にも分からない。
カイトは一晩中、自分の能力をどう使うべきか悩み続けたが、結果的に彼は誰も占うことができなかった。
「夜が明けた。だが、一人がこの場から消えた。」
スピーカーの声が再び響く。
カイトは息を詰めてその言葉を待った。
誰が犠牲になったのか、その瞬間がやってきた。
「犠牲者は……アヤだ。」
その言葉と共に、テーブルの端に座っていた少女の姿が消えていた。
まるで最初からそこに存在しなかったかのように、彼女の席は空っぽになっていた。
カイトは息を呑んだ。
アヤはゲームが始まる前、怯えた表情で自分に話しかけてきた少女だった。
「……嘘だろ?」
カイトの隣に座っていたリョウが低く呟いた。
彼もまた、アヤの消失に動揺を隠せていない。
彼女は本当に「消えた」のだ。
このゲームが冗談ではないことを、誰もが理解した瞬間だった。
「これで一人が消えた。次は昼の議論だ。君たちは誰が人狼かを推理し、投票で処刑する者を決めなければならない。」
スピーカーの声が冷たく響く。
全員がその場に立ち尽くし、誰が何をするべきか分からないまま、重たい沈黙が広がっていた。
「まずは、話し合おう。」リョウが口を開いた。「このままじゃ誰も信じられないが、誰かが人狼だ。何かヒントはないのか?」
だが、誰も何も言わなかった。
全員が不安と恐怖に苛まれており、誰もが互いを疑い始めていた。
カイトもまた、誰が信じられるのか分からない。
ただ、確かなのは一つだ。このゲームで生き残るためには、誰かを疑わなければならないということだった。
「……僕が占い師だ。」