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令嬢の妹視点
「親衛隊、行くぞ。」
カッカッ
私を合わせて4人の足音が聞こえる。
「門番、情報を。」
「ハッ!ハンターは私のコートとバトラーの制服を取って行きました。変装している可能性が高いでしょう。」
門番が私の質問にすぐに応答する。
まずは図書館から。
「あのハンターが来る前からここの警備は厳重になっていたはずなのに、その警備を通り抜けられるなんてね。」
「門番様は気配などは感じませんでしたか?」
門番は首を横にふる。
気配は感じなかったららしい。
「……そう、相手は実力者らしいわね。」
「!バトラー、魔道士様はどこへ?」
バトラーがあたり見回す。
私も見てみたが、どこにも見当たらない。
「魔道士様?先に行ってしまったのでしょうか。」
門番があたりを気にしながら行った。
……気配は感じない。
「気配は感じません。先に上へ行ったとしか……」
門番も魔道士の気配を読めなかったらしい。
「バトラー。あなたなら魔道士様の魔力の流れがわかるでしょう?」
私は、バトラーに魔道士様の魔力の流れをきいてみた。
「か、感じません!私が魔道士様の魔力を間違う訳ありませんし……それに、魔道士様は自分の魔力を体力の方に回されているから、私がいないと魔力がすぐに枯渇して……」
バトラーが焦った表情で言った。
門番がそれをなぐさめるようにして…
「大丈夫ですよ。急に消えるなんてありません。きっと先に行ったんですよ。」
門番はバトラーの背中をぽんっと叩き、笑いながら言った。
バトラーもそれで希望を取り戻したらしく…
「……はい、はい!そうですよね!きっと魔道士様は無事ですよね!」
バトラーは門番に笑いかけると再び前を向く。
私達は再び前を向き、図書館を歩いていく。
しばらくして…
突然門番がピタリと止まる。
「!バトラー!」
門番がくるりと後ろを向く……が…少し遅かったようだ。そこにバトラーの姿はなかった。
「バトラー!?バトラー!」
私は精一杯叫んだ。
でも返事は帰ってこない。
「そんな……魔道士様や、バトラーまで…くっ…ここでくじけていてはいけませんね。先を急ぎましょう。」
門番が真剣な眼差しを私に見せる。
門番は覚悟が決まったようだ。
玄関前…
「ここらへんから気配がするわ。」
私は少し油断してしまった。
「!門番」
急に頭がズキリと痛む、
『妹様、侵入者は、私が一時的に止めています。少し侵入を防いでいる程度なので、すぐに突破されてしまいます。その……あ…いだに準備を…』
脳内に語りかけてきた声を最後に門番の声は聞こえなくなった。
「……皆……よく…頑張った。最後は私がみんなの思いを背負う。絶対に勝つわ。」
私は硬い意志を持つと、外へ出る。
外は強い風が吹いていた。
「最終決戦にふさわしい場所ね。」
そうつぶやくとともに、よりいっそう強い風が吹いた。
ヒュォォー
「ふん、大したことなかったわね。最後のやつ以外抵抗できずに死んだ。容易いものだ。」
そこにはローブをまとった、灰色の髪の女性が立っていた。
ヒュォォー!
また強い風が吹く。
「……我が妹……」
「お姉様?!どうしてここに…」
お姉様が疲れたような様子で私の前に現れる。
「あれは…じゅ、じゅる。人…間じゅる、ジュル……」
「ふふっいいわ、少し待ってあげる。あなたが来るようなら…吸血鬼対策のナイフ…これで終わりよ…」
ローブをまとった女性がナイフを突き出す。
「うっううううう………」
お姉様が悲鳴に近い声を上げる。
「ふふっ。遠慮しなくていい。来い。」
ローブの女性がまくし立て、腕を突き出す。
私は動けなかった。ただ立っていることしかできなかった。
「ほ…本当に?ジュル…」
「ああ。」
ローブの女性は不気味な笑顔を作り答える。
「うっ…ジュルじゅる…うっううううう…」
お姉様はピクリと動きを止める。そして、一歩後ろに下がると…
「いいえ。」
「お姉様!」
お姉様はなんとか発作に耐えたようだ。
「私はずっと…ずっと逃げてきた。運命からも、人生からも。」
お姉様は辛そうに目を閉じ、語る。
「前の環境は、私に合わなかった。そして…ある発作をわずらった。私の運命の糸は、何者かに断ち切られた。人生から逃げてきた私には当然の報いよね?
もしかしたら、別の世界線ではあなたと私は、家族だったんじゃないかしら?」
お姉様はそこで言葉を飲み込んだ。
「お姉様は、断ち切られた運命に耐えてきた。これを乗り越えられれば、私達は報われる。この楽園に認めてもらえる。」
私は、お姉様に言葉を投げかける。
お姉様は決心がついたようだ。
「私の…私達の。運命を断ち切った報い。ここで返す!」
お姉様はそう言って、ローブの女性を見る。
「……最後に名前を聞くわ。」
私は真正面からローブの女性を見る。
「…いいだろう。どうせお前らは死ぬからな。私は十六夜咲夜。吸血鬼ハンターを生業としている。」
「…□□、□□◻□□、□□□、□□□・□□□□□□□□□。」
私は一人一人の名前を呼ぶと咲夜の前に手を伸ばし…
「あなたの運命は真紅に染まる!」