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「よし。寝るか」
って先生…翔太くんが言ってきたけど、
ご飯食べ終わってからずっとゴロゴロしてる
『ですねー』
旅館、で寝るのが初めてだから緊張してたけど思ったより、狭い。
先生との距離が、近い。
「なぁ明日さ」
そんなこと考えてたら、先生が話しかけてきた。
『明日⋯』
「〇〇の行きたいとこ行かせてよ」
『私の行きたいとこ…』
「お前さ、全然本音言わないでしょ」
『本音くらい、言ってますよ』
「じゃあどこ行きたいの」
『⋯どこでも』
「ふふっ、それを聞いてんのー」
だって、行きたいとこ行って、つまんなくて嫌われちゃうのが怖いんだもん。
だから、行きたいとこ言えない。
怖いから。
『私はっ、先生に振り回されたいんです!』
言ってしまった。
思ってたことだけど、恥ずかしい。
きっと、今、顔が真っ赤っか
なのに先生は、顔色を変えない
「じゃあ動物園でも?」
『いいですよ』
「水族館とか」
『行きます』
「んじゃ、家くる?」
『はい!?それは⋯』
「嫌なんじゃん 笑」
『嫌、ではないです、』
「まあ、いろんなとこ行こっか」
『はい』
翔太くんを、困らせてしまった。
と不安になったけど、明日、精一杯楽しむ
それから、おやすみ の会話だけ交わして、きっと先生の方が早く眠りについた。
そんな私は、1人で先生をチラチラ見ながら寝た。
・
「おい、起きてー」
『⋯先生 ?』
「朝だぞー」
『早いんですね、先生は。』
「まぁ、教師だからな」
「ほら、早く支度して行くぞー」
『はぁーい』
2日間あるから、服の系統すごい迷って。
金曜日に、いっつも着てるジーンズに足を通してみたけど、
やっぱ違う方がいいのかな なんて考えたから
今日は、ロングスカート。
久しぶりに着たけど。
『終わりました。支度』
「⋯いつもと、雰囲気違うなぁ」
『やっぱ変でした!?』
「変、なんか言ってないでしょ。」
たしかに、言われてないけど。
似合ってない、のかな。
「ほら、すぐ顔にでる。」
『え、?』
「似合ってる、って言おうとしたんだけどなー」
『えっー!言ってくださいよ』
「嫌だよー、早く行くぞ」
『えぇー』
よかった。
時間の無駄だったね。
でも、似合ってる、って言ってもらいたい。
やっぱり
「じゃ、深澤。またな」
『ありがとうございました』
深澤先生に別れを告げてから、先生の車に行って、助手席に乗った。
『ねぇ先生。もう1回言ってくださいよー』
「ええー?何を」
『似合ってる、って。』
「嫌だよー。勝手な解釈して勝手に落ち込む子には言いませんー」
『だって⋯』
「だって、?」
『何もないです、』
先生に少しでもいいって思われたくてやった、なんて言えないんだもん。
「ほら、また本音隠す」
「だって何もないです なんておかしいでしょ」
『⋯気持ち悪いです』
「だったら教えて。続き」
『先生に、可愛いって思われたかったから』
一気に言って、すぐ窓を見た。
窓の外を見たまま、ゆっくりと話す。
「ふふっ、じゃあ何故彼女は勝手な解釈をしてしまうのか。」
『だって⋯まだ、先生とお付き合いしてるって言う自覚がなくて…』
『ちょっとのことも気になって、意識しちゃうんです⋯』
これって、面倒臭い?
私って、先生からしたら面倒臭い女なの?
そう思われたくなくて、いつも泣くのだって我慢してきたのに。
『あ⋯って言うのは嘘っていうか⋯嘘じゃないんだけど⋯』
自分でも混乱しちゃう。
「お前は、俺の言うことだけ信じたらいーの」
『えっ?』
「だけ は良くないか、言い方変える」
先生のさっきまで堅かった口調が、急に柔らかくなった。
「オレのこと、信じたらいいよ。」
「だから何も気にしなくていいの、意識はちょっとしてもらいたいけど。」
心臓が、今まで無かったくらいに響いてる。
・
先生はまず、綺麗な公園に連れて行ってくれた
タンポポが春の訪れを告げてる。
「あら?渡辺先生じゃない」
歳が上の女の人が先生に話しかけてきた。
左の薬指は、輝いていた。
「あー、こんにちは」
先生は、挨拶を交わす。
「先生、お元気でした?」
「もう全然。」
先生は、私がなんか言った時に使う笑い方じゃなくて、飾ってる。
「じゃあ、彼女がまってるので」
彼女⋯
女の人が行ってから、先生に『お知り合いですか?』って聞いてみた。
「うん。教え子のお母さん。」
『えっ!?いいんですか⋯?』
「何で」
『だって、』
しまった、また だって を使っちゃった。
先生もそれに気づいたのか、右眉を少しあげて「ん?」って顔をする。
『先生が教師って知ってる人に、彼女 なんて言っていいのかなって⋯』
「オレらは隠さないといけない関係?」
『えっ?』
「ちょっと歳が離れてるだけでしょうが。」
ちょっと、ではないか って先生が笑う。
『私、教え子なんですよ?』
「だな」
『良いの?』
「いいから一緒にいんのー」
先生が、頭を撫でた。
あの時の、感触
「ほんっとお前は、」
嫌
ウンザリされた?
「言わなくていーことは言うのに、言わなきゃわかんないことは言わねーよなぁ。」
先生が、遠くを見ながら話す。
「お前は、オレに会いたくなかった?」
『え⋯?』
「全然、会いたい って言わねぇーじゃん」
手が置かれていた私の頭から、先生が離れていく。
「お前が言うのは時々なの。連れ回されたい とかさ」
『あっ⋯』
昨日の夜のこと。
思い出すだけで、恥ずかしい
「あれ、俺はキュンってきたけどねぇ」
『えっ!?』
先生が、私にキュン、って!?
『嘘だ !』
「オレのいうことは?」
『⋯信じる』
「正解」
また、今を撫でてくれた。
「もっと、オレはお前にドキドキしてるから」
「本音、見せてよ。 」
先生が、少し寂しそうな顔をした。
だから、頭の上に置かれていた手を軽く握った。
コメント
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てーんーさーいーーーー!!!!
あぁー‼️めちゃくちゃキュン💘だぁぁぁあ(〃艸〃)( *´艸`)