さもさんの様子がおかしい
そう思うようになったのは、つい最近のことだ。
うたいさんと話してるとき、さもさんが辛そうな顔で俺を見てくる。
…そういえばさもさん、手首をよく隠す気がする。
袖が上にずれそうになると、慌てて手首を隠す。
………さもさん、もしかして…
最悪の想像をするようになったのも最近だ。
心配になって声をかけると、余計辛そうな顔をして、「大丈夫」と言う。
さもさんが引きこもったことを知ったとき、無力な自分を殴りたかった。
………………どうすれば…?
さもさんの家に行く…は、ちょっと勇気が出ないな…
電話?けど何を話せばいいんだろ…L○NEもなあ…
さもさんが何でああなったのか…心当たりは、あるかもしれない。
さもさんは、俺のことが好きなのかもしれない。
さっき言ったとおり、さもさんは俺がうたいさんと話してるときに辛そうな顔をしてる。
だから、俺のことが好きで、嫉妬みたいなのしちゃってるんじゃないかって…
…………………正直、俺はさもさんのことが好きだ。
けど、そんなこと言えるわけがない。
俺のせいで、さもさんの心を壊してしまった。
そんな俺が、さもさんに相応しいわけがない。
もやもやした気分のまま、一ヶ月が過ぎてしまった。
相変わらずさもさんは家に籠もってるらしい。
………流石に行ったほうがいいか?心配過ぎて胸が苦しい。
でも俺なんかが…
そんな時、うたいさんから電話がかかってきた。
さもさんが引きこもってから、なんとなくうたいさんとは疎遠になっていた。
「……………うたいさん」
「凸さん、一緒にさもさんの家行こうよ。」
うたいさんの声は、なんとなく弱々しい気がした。
「…でも」
「さもさんがああなっちゃったの、僕のせいでもあるし…」
「そんな…うたいさんは何も悪くな」
「それでも…それでも行かないと、僕も凸さんも…さもさんも、心の整理がつかない。」
…そうだ、このままじゃいけない。
前を…向かなきゃいけない。
「………………行こう。うたいさん」
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