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巫女の仕事は、いつも大変だ。
毎朝6時に起きて巫女服に着替えて境内の掃除、それから境内の掃除…あと境内の掃除。
つまり暇なのだ。観光客は疎か地元の人間すら来ない。何故毎朝6時に起きなきゃ行けないのか疑問なくらい人が来ない。
「掃除屋かて…」とツッコミを入れるが、もはや毎朝の恒例行事になってしまっている。
今日もいつも通り髪をサイドに結び、身なりを整えて神社に向かう。家から神社までの道程は、地味に長い階段含め5分程度。すぐそこなのだ。しかしながら、近いのは大変有難いのだが、毎朝急な階段を40段くらい登らなきゃ行けないのだ。女の私にはちょいときつい。いや、結構きつい。
「はぁ…」
深々とため息を零し、1段ずつ上がって行く。毎日の事だが脚が悲鳴をあげている。転職しようかな…といつも思うが、田舎すぎて駅まで遠いし、何より都会は五月蝿いから嫌い。
階段を上り始めてどれくらいだろう。20段くらい?長い。もう脚が痛い。脚の悲鳴に耐えながらも1段1段止まらずに踏みしめる。
35段辺りで神社が正面に見えた。毎朝見ている光景だ。神社は好きだけどノイローゼになりそう。巫女と言えど神社に特別な思い出がある訳では無いのだ。
40段目を乗り越えていつも通り神社に向かう。脚痛い。もはや筋トレである。唯一幸いな事は、巫女服に着替える場所は神社の中だという事だ。流石に巫女服で40段を上がれる自信は私にはない。私はいつも通りに神社の赤色のポストを開ける。すると、中には一通の封筒が入っていた。「(仕事かな。)」心の中でそう呟き、開封する。
その手紙には、こう記されていた。
「今日(こんにち) 巫女・祀沢 恵子様
私は、霧川市立泉沢小学校の校長をしている、泉沢達森と申します。先日、我が校の男子生徒が、3名ほど行方不明になりました。誘拐や監禁等も視野に捜査を進めておりましたが、3人は見つからず、我が校の多数の生徒の証言にて、我が泉沢小学校には、「七不思議」と呼ばれる現象が起こっており、上記が理由で行方不明になっているのでは無いか。との報告を受けました。
我々教員は真偽も疑わしく存じ上げますが、巫女様の存在を知り、添付させて頂きました。何卒、調査の方をお願い申し上げます。
霧川市泉沢小学校校長
泉沢達森より」
との事だ。
今時の小学校では、七不思議の噂が絶えないらしい。まあ無理もないか。その七不思議とやらは、実際に存在しているからだ。
そして、その七不思議はこの手紙のように、子供に被害を与える。近年では行方不明や死亡ニュースが絶えないのだ。
しかしその七不思議による被害を食い止めることが専門の職業もあったりする。
それが巫女のもう1つの仕事。
“七不思議の掃除”だ。
巫女。そう呼ばれた私たちは、子供たちからはこうも呼ばれている。
*“「英雄巫女」”*と。**