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注意
この物語は、あたたかくなるのメンバーに異能力があったらという作者の妄想です。
にわかなので口調がおかしい可能性があります。
あたなる異能力妄想の異能力よりも作者自身が考えた異能力の方が多いですが、一部あたなる異能力妄想で出てきた異能力を使わせていただいていたり、似たようなものを使っていたりします。
ノベルで小説をちゃんと書くのはほぼ初めてのようなものなので描写が下手だったりします。
世界観が強かったりしますが、なんでも許せる人だけ読んでください。
基本的に作者の完全自己満足です。
──prolog──
この世界は、異能力が全てだ。
だが、この世界には無能力者もいる。
異能力者は異能力者同士で集まり、日々争っている。
このお話は、とある1人の異能力者から始まる。
とある金髪の少年はこう言った。
「俺、国を創りたい!」
──高生紳士side──
俺の名前は高生紳士!どこにでもいる普通の一般男性……では無くて、実は異能力者なんだ。
自分で言うけど、中々に珍しい異能力を持ってると思う。
まぁ、この話は置いておいて…今俺が何をしているのかと言うと、国を創るための仲間を探してるんだ!
国を創るだなんて現実味が無いとか、出来るわけないとか思う人がほとんどかもしれないけど、そんなことやってみないとわかんなくない?
あと、夢はでっかくって言うしね!
という訳で、早速国を創るために何をしたらいいのかを考えてみたんだけど、めちゃくちゃ大事なことに気づいちゃったんだよ。
1人じゃ国は創れない!
そして、俺には友達がいない!!
致命的な問題だった。
いや、友達がいないは言い過ぎかもしれない。
そう、俺にはいるじゃないか!唯一の友達が!
そう思い、早速スマホを取り出して唯一の友達に電話をかける。
「もしもし?自由?」
「お、もしもし!久しぶりだな高生!」
端末から、クソでかい声が返ってくる。
そう、彼が俺の唯一の友達の水凪自由。
彼も俺と同じく異能力者である。
実力も十二分にある為、国を創る仲間としては最適な人物なのだ。
「あのさ〜、俺、国創りたいと思ったんだけどさ、手伝ってくれない?」
「国?!マジかお前!」
やばい、さすがに引かれたか…?急に軽く言いすぎたか……と思ったが、
「めっちゃ楽しそうじゃん!逆に俺で良いの?!」
予想外の反応が返ってきた。
思ったより好感触なことに驚きを隠せない。
「あ、あぁ…逆にも何も、俺お前以外に友達いねぇし…」
はは…と乾いた笑いをこぼすが相手はまったく気にしていない様子だ。
「もちろん俺でいいなら協力するぜ!」
「ありがとう、助かるよ!」
早速メンバーを1人確保した。これは幸先が良い。
「高生さ、今どこにいる?」
「え?家だけど」
「おっけ、今から行くわ」
「あ〜…了解」
と、言葉を発した瞬間に通話が終了される。
相変わらず活発なやつだな…と思いながら彼の到着を待つ。
数分経った頃
ピーンポーン
と、家のインターホンが鳴る。彼が来たのだろう。
はーい、と声を発し、玄関へ向かう。
ガチャリ、と扉を開けると、そこには鮮やかな水色の髪に顔に絆創膏を貼ったとても明るい青年、水凪自由が立っていた。
「お、相変わらず早いね」
「まぁ、今日は風があったしな!」
「風が無いことあんま無いと思うけど」
「じゃあいつも通りだ!」
と、笑顔で笑う。
本当にいつも明るくて良い奴だよな…と、唯一の友達の大切さを再確認する。
「まぁ、とりあえず入って」
「おじゃましまーす」
そのまま彼をリビングへと案内する。
リビングのソファーに2人で座る。
「でもその異能力便利だよな〜」
「まぁ便利だけど、高生の方が凄いと思うぜ?」
「あ、そう?俺はそうは思わないけどね〜」
「だって移動手段ってあるに越したこと無いじゃん」
「まぁ、それはそうか」
そう、こいつの異能力は
『水禍澎湃 whirling tides』
風や水などの波に乗って移動ができる異能力だ。
もう一つの異能力は
『軟風千波 breeze surfer』
簡単に言えば水を操る異能力。
つまり、とても相性の良い異能力を持っているということだ。
「でさ、国を創るわけだから、もっと仲間が要ると思うんだよね」
「確かに、それで俺か」
と、納得したように自分を指さす。
「そう、自由って陽キャだし知り合い多いだろ?だから頼むよ!いい人いない?」
「ん〜……そんな急に言われてもな〜…」
確かに、こんなに急に国を創ろうだなんて言ってすんなり受け入れてくれるやつの方が少ないだろう。
そう考えると、流石の自由でもそんな知り合いいないか…と思った時に、彼が何か思いついたかの様な表情をして
「あ、1人だけいたわ」
「え、マジ?!」
「マジマジ、戦力になるかはわかんないけど、絶対頼れるから」
「ちょっと連絡してくる!」
と言い、彼は廊下に出る。
やっぱり自由に頼って良かったと思う反面、どういうやつを呼んでくるのだろうという緊張とワクワクが渦巻く。
廊下から、電話をしている彼の声が少し聞こえてくる。
どれだけでかい声で電話をしているのだろう。
「うん、そうそう!マジでお願い!」
「え、マジ?っしゃ!ありがとう!」
「そうそう、大丈夫?じゃあ住所送るわ」
「うん、できれば一緒で、2回説明すんのは面倒くさいから」
「うん、じゃこの後!うん、ばいばーい」
少し経つと、廊下から彼が戻ってくる。
「OKしてくれたぞ!」
彼は満面の笑みでそう言ってくる。
「マジか…すげぇな」
「てかどんなやつなの?俺知らないから怖いんだけど」
「あ〜、めっちゃ優しくてしっかりしてて良いやつだよ!」
「へ〜…」
やっぱり自由は人脈が広いな…なんて思いつつその人物を待つ。
ピーンポーン
「あ、はーい」
インターホンが鳴り、俺達は2人で玄関へと向かう。
ガチャリ、と扉を開けると、そこには緑髪に眼鏡をかけた優しそうな雰囲気の男性が立っていた。
「よ、りゅーじ!久しぶり!」
「おう久しぶり自由!」
「いや〜急に呼び出してわりぃな」
「ほんとだよ…で、その人が言ってた人?」
「そう!」
そう言い、その男性はこちらに視線を向ける。
「初めまして、小日向りゅーじです」
「あ、ど、どうも、高生紳士です」
いきなり自己紹介をされて戸惑ってしまい、上手く言葉が出てこなかった俺を見て
「何キョドってんだよw」
と、自由が背中を叩いてくる。
「あのなぁ、俺初対面だぜ?」
と、自由にだけ聞こえるような声で伝えると
「え、知ってるけど」
思ってもいなかった淡白な返事が返ってきた
だから何?と言わんばかりの彼の視線が痛い。
「あ〜…とりあえず上がる…?」
「あぁ、そうですね、おじゃまします」
少し気まずい空気になりながらも彼をリビングへと案内する。
「んで!本題なんだけど」
と、自由が声を発する。
彼が仕切ってくれそうで心底安心した。
「国を創りたいから、りゅーじにも協力してほしいって話!」
「国を創るって言っても…なんで俺?」
とても困った表情をしながらりゅーじが発言する。そりゃそうだ、いきなりそんなこと言われたら誰だって困惑するだろう。
「え、りゅーじ真面目だし、頼りになるし、後何よりヒーラーは必要だろ!」
「ヒーラー…?治療ができるの?」
“ヒーラー”
その言葉に俺は思わず口を開いた。
だって自由の言う通り、戦場において怪我の治療はとても大事だからだ。
「え、自由なんも言ってないの?」
「あ、わりぃ、異能力とかは何も言ってないわ」
「はぁ…じゃあ、自己紹介からだな」
「俺は異能力が2つあって、1つ目は
『万物の癒し absolutely heals』」
「これは、簡単に言うと治療を行う異能力」
「怪我とか病気の重さによって魔力の消費量が変わったり俺の体に反動がきたりする」
「で、もう1つは……実際に見せた方が早いか」
《一心同体 another me》
彼がその異能力を使うと、さっきまでは何も無かったはずの空間に、彼とどことなく似た見知らぬ女性が立っていた。
「えと…どうも、小日向りゅーこです…!」
すると見た目通りの可愛らしい声が聞こえてくる。
「りゅーこちゃん!久しぶり!」
「あ、自由君!久しぶり〜」
2人は困惑する俺を置いて仲が良さげに喋り始める。
「えと、この方は……?」
状況が掴めず彼に説明を求めると、りゅーじは
「彼女はりゅーこって言って、いわば俺の女バージョンみたいな感じなんだけど、この異能力は”もう片方の自分を生み出す異能力”かな」
「だから、りゅーこが俺を呼ぶこともできるし、りゅーこと俺はほぼほぼスペック的には一緒で、異能力も2人とも使えるし、身体能力も同じくらいだけど、それぞれがちゃんと意志を持ってる」
「もし仮に2人が別で行動してたときに片方が死んでも、もう片方が異能力を使って呼べば生き返る」
「だから、ほぼ同時に2人を殺さない限り死なないんだよね」
と、詳しく説明をしてくれる。
りゅーじ、なんて良い奴なんだ。
「強…ある意味ヒーラー2人ってことか」
「まぁでも、2人で行動すると魔力量や体力が半分ずつに別れるから、大怪我や重い病気で魔力消費や代償が大きい治療は2人で治療しないと魔力が足りなくなったり、片方が倒れちゃったりすることもあるんだけどね」
「色々難しそうな異能力だな……」
「まぁ、実際便利だけどね、ある意味死に戻りができるようなもんだし」
思ったより特殊な異能力の持ち主だな…と思いながらも自由の方を見てみれば
「え、りゅーこちゃん最近どうなの」
「どうって…何が?」
「りゅーじと〜とか、もしくは…彼氏とか?」
「彼氏?いないよ」
と、言われた瞬間、自由は心底ほっとした顔をした。
「あ、やっぱりまだつくってないんだ」
「まぁ、別に興味無いしね」
本人は隠してるつもりかもしれないが、俺から見たら自由がりゅーこちゃんに気があるんだろうなというのは一目瞭然だった。
俺と話す時と明らかに表情や声のトーンが違うのだ。
(あいつも恋するんだな…)
なんて思いながら、2人の方へと近づく。
「えっと…りゅーこちゃんだっけ、初めまして高生紳士です」
「あ、はい!りゅーこです!りゅーじの中で聞いてたので説明は大丈夫ですよ!」
と、こちらに晴れやかな笑顔を向けてくる
この一瞬でもとてもいい子なことが伝わってくる。
「自由とは仲良いの?」
「はい!前からお話したりしてます」
「へ〜そうなんだ」
チラッと自由の方を見れば、恥ずかしそうにこちらを見ている。
本当に分かりやすい。
「まぁ、これからよろしくね」
「はい!」
あれから3人…いや4人で様々なことを話し合い、本格的に国を創り始めた。
だが、まだまだ人手が足りない。
第一に城の建て方すらもわからない。
そこで、街で協力者を募集することにした。
「えっと…ポスターってこんな感じですかね…?」
と、りゅーこが大体の構造を書いた紙を持ちながら言う。
「おぉ!めっちゃいいじゃん!さすがりゅーこちゃん!」
「えへへ…ありがとう…!」
自由とりゅーこちゃんで募集用のポスター作りをしてもらい、俺とりゅーじで詳しい内容や計画を立てる。
「本当に協力する気のあるやつか、城を建てるのが出来そうなやつが最優先だから…」
「そうだね、今は強い人よりも国を創るために必要な人を集めたいね」
「人数が一気に増えすぎても大変だから、今回は採用しても数人だとして、条件は一緒に国を創るやる気がある人…とかで、あとは来た人の中からこっちで判断すれば大丈夫だろ」
「そうだね、じゃあポスターに書く内容をあの2人に渡してくるよ」
りゅーじは飲み込みが良く、しっかりしているから、 2人で考えるとどんどん話が進んでいくので 本当に助かっている。
「じゃじゃ〜ん!」
「できました!」
自慢げにポスターを見せてくる2人。
その出来栄えは中々なもので、ちゃんと目立つし大事なことはわかりやすく書いてある。
この2人に任せて正解だったようだ、コンビネーションもバッチリだし。
「おぉ〜!さすがだな〜!…うん、これでいこう」
「そうだね、自由もりゅーこもありがとうな」
「じゃあ、早速コピーして、街に行きましょう…!」
「おう!」
それから、街の掲示板などにポスターを貼ったり、みんなで配ったりし、これが「これから新しい国ができるらしく、そのメンバーを募集しているらしい」という噂になって広まっていった。
1週間後
「みんな〜!応募来てるよ!」
「え、マジ?!見して見して!」
と、俺が応募の紙を何枚か持って全員に見せる。
「じゃあ、ここから数人に絞って、実際に会ってみようか」
「そうだね」
「この人とかどう?」
そう言い自由が一枚の写真を見せると
「え〜…ちょっと怖そう…」
と、りゅーこちゃんが不安そうになった瞬間に
「よしやめよう」
と自由が一瞬で意見を変える。
本当にりゅーこに対しては甘いんだな……と思いながらその写真をしれっと候補から外すのを見た。
「よし……3人に絞れたな」
「なんならもうこの3人採用でもいいと思うけど」
「確かに」
「でも、実際会ってみたら全然違う人だったりしたら怖いし……」
「よし、とりあえず会ってみてから考えよう」
「はいはい……」
そして、実際にその3人に会ってみることにした。
「え〜っと…もう約束の時間だけど…」
時計を見ながら自由がそう呟く。
周りを見てみれば、それらしい人は2人しか見当たらない。
「1人遅刻か?もうそいつ不採用だろ」
「まぁ…すぐ来るかもしれないし、とりあえず2人と話してみよう?」
遅刻するやつがいるということに少し不機嫌になっている俺をりゅーじがなだめる。
「え〜っと…すまんこれもう時間やんな?いつ始まるん?」
そう声を発したのは、灰色の髪に赤のピンをつけた関西弁の中性的な男性、確か名前は……四宮伊織、だったはず。
「あ〜…ごめんごめん、1人遅刻してるみたいで…早速始めようか、君から自己紹介お願いできる?」
「はーい、まいど!四宮伊織です」
「異能力は2つ持ってて…簡単に言えば、心を読める異能力と、正と負を反転さすことができる異能力やな」
と聞いた途端に
「え、心読めんの?!すげー!」
と言い自由がはしゃぎ出す。
「おぉ…えらい元気やな…」
それはそれとして、面接らしいことを始める。
「じゃあ、質問してもいい?」
「どうぞ?」
「今回応募した理由は?」
「楽しそうやったからやな」
そう淡白に答えると
「え、そ、それだけですか…?」
と、困惑気味にりゅーこが問いかける。
「なんや偉い綺麗なお姉さんやな、せやで?逆にそれ以外何があるん?」
彼は自分の回答に何の違和感も抱いていないらしい。
まぁ、逆にわかりやすくて助かる。
「まぁ、じゃあ最後の質問をするよ」
「国を創るにあたって四宮さんは何が出来る?」
と言うと、四宮は少し困った顔をしながら考え始める。
「何が出来る…?せやな……頼まれたことは基本なんでもやるけど…あとは…心が読めるから外交とか…?まぁ、初対面の人苦手なんやけど…w」
「オッケー、ありがと!」
これ以上聞けることも無いので、2人目に移る。
「じゃあ次、そこのお兄さん?」
「えー初めまして神辰J威弦って言います〜よろしゅうな」
そう声を発したのは、赤髪に髭を生やしたかっこいい男性だった。
「え、ジョニーさんやないっすか!え〜気付かへんかったわ〜」
すると、知り合いだったのか四宮さんが驚いた表情をしながら彼に話しかける。
「え、てっきり気づいてて気にしてないもんやと」
「んなわけないやん!気づいたら声ぐらいかけますって」
「逆に気づいとったならジョニーさんが声掛けてくださいよ〜」
「あぁすまんすまん」
と、親しげに話す2人を見て、なんとかしてりゅーじが進めようと声を出す。
「えっと…異能力の紹介などお聞きしても……?」
「あ〜すまん、邪魔してもうたな、続けてどうぞ」
「そうやね、異能力の紹介……異能力は…無いってのが正解か…?」
「ジョニーさんはあるっちゃあるけど無いっちゃ無いな」
「えどっち??」
2人ともが少し困ったような顔をしながらそう言うので、状況が掴めず疑問を直接投げかける。
「正確には、謎の特性的な…異能力的な感じだけど異能力じゃない力を持ってるみたいな……」
「えっと…その力っていうのは?」
「1つが、思い込んだことならなんでもできるねん。例えば、電車より速く走ったり、めちゃくちゃ高くジャンプしたり」
「え、チートじゃね?」
「あともう1つは、俺に異能力が効かんようにできんねん 」
「いや最強すぎん??」
「まぁ、ジョニーさん、二つ名が『最強の無能力者』やからなぁ……」
「えぇ…凄い人来ちゃった…」
そう四宮が説明するくらいなのだから、本当に凄いのだろう…と思いつつ面接を進めていく。
なんだかんだ進めずらいときにりゅーじが進めてくれるのでとても感謝している。
「えっと…じゃあ、応募してくださった理由ってなんですか?」
「ん〜、シンプルに暇やったし楽しそうやったからやな」
つい先程聞いたような内容に少し唖然としつつも、そういう方が一緒にやりやすいだろうと思う。
逆に楽観的な人じゃなきゃこんな現実味の無い募集に応募しないのかもしれない。
「楽観的なやつしかいねぇな」
「まぁそういうもんだろ」
「それはそうか」
「じゃあ最後に、国を創るにあたってできることは?」
「んー基本的になんでもできるで。力仕事がメインやと思うけど」
やっぱりとても頼れそうで助かるな…と思っていた時に、 遠くから誰かが走ってくる音が聞こえてくる。
「はぁッ…はぁッ…やばいッ…遅刻した…!」
すると、紫髪に黒い眼帯を右目につけた男性が近づいてきて
「お、遅れましたー!!」
「えっと…ヨシヅキさん?」
「応募してくださった紙と印象が大分違うような……」
と、りゅーこちゃんが訝しげに彼を見る。
「あ、やべっ…」
「ふっ、我が名は芳月 廻…いや、今の俺は違うな……ヨシヅキ参謀と呼ぶがいい。あくまでもこれは世を忍ぶ仮の姿……」
と、明らかに先程とは話し方も声のトーンも変わっている。
「いや今からキャラ付けしても遅いねん」
「はい、え〜……この度は遅刻してしまい大変申し訳ございませんでした…」
と、深々と頭を下げる。
「まぁ別に怒って無いし大丈夫だけど……」
「じゃあ、自己紹介お願いできます?」
「はい、ヨシヅキ参謀です。本名は芳月廻なんですけど、参謀の方で呼んでもらえると嬉しいです」
急に真面目に話されて、根は真面目なんだろうか…?と疑問に覚える。
「じゃあ、参謀さんの異能力は?」
「なっ、貴様…もしや俺の情報を盗みに来たあの組織の者か…?!」
「なんかまたスイッチ入ってもうたけどw」
「ふっ、まぁいい、教えてやろう…どうせあの組織に知られたところで、この力の前ではどうもできんのだからな」
「俺の異能力は『時空の理 gravity control』と、『常世の傀儡師 world is mine』」
「つまり、俺はこの世の全てを支配しているということだ!」
「はしょりすぎやろ説明下手か」
「あとなんやねんそのテンションw」
応募者の2人にツッコミを任せつつ面接をどうにかして進めていく。
「えっと…テンション戻してもらっても?」
「あ、はい、すいません」
「じゃあ、応募した理由はなんですか?」
「えっと〜…ただ単に仕事も決まんなくてやることなくて、これなら役にたてるかな〜って思ったんで……」
「意外と真面目やな」
「ただの厨二病の社不やん」
「そこまで言わなくてもよくないですか…??」
「いや図星の顔しとるやん」
「ま、まぁまぁ……」
可哀想になってきて見てられなかったのかりゅーこちゃんが止めに入る。
「じゃあ最後に、国を創るにあたって参謀さんは何ができますか?」
「ん〜…なんでもします!!」
「ほんまかいな…」
「けど異能力的には出来てしまうんよな…」
面接が終わったところで
「ちょっと3人とも来て?」
と言い、りゅーじ、りゅーこ、自由の3人を呼ぶ。
「全員合格で大丈夫?」
と、3人に切り出すが、
「え、参謀ってやつも?」
と、りゅーじは不安な様だ。
「いや、変なやつだけどやる気はありそうだし、なんなら異能力的には1番役に立ちそうだし」
「まぁ、俺は全然いいぜ!」
「わ、私も…参謀さんはちょっとよく分からないけど……」
「りゅーじは、どう?参謀やめた方がいい?」
「いや…まぁ、とりあえず合格でいいや、またなんかあったらその時だな」
「おっけー…じゃあ戻ろ」
意見もまとまったので応募者の3人の方に行き、
「じゃあ、全員合格!これからよろしく!」
と告げると
「よかった〜……」
なぜか参謀がめちゃくちゃほっとしているが、他のふたりは純粋に喜んでいるようだ。
「まぁ、ジョニーさんがいたら安心やな」
「いやいや…そんな頼られても困るで?」
そこから、他の3人も新メンバーに話しかけに行く。
「俺、水凪自由!よろしくな!」
「ん、よろしく〜」
「せや、合格したってことは、これからこの7人でやってくってことやんな」
「確かに、他の人らの名前とか聞いとかなあかんね」
自己紹介の流れになりそうなので自分から切り出す。
「あ〜そうだね、高く生きる紳士と書いて高生紳士です!この国創りたいって言い出したのは俺で、一応リーダーっぽいことしてるよ〜よろしく!」
「リーダーっぽいことってなんやねんリーダーちゃうんけ?w」
「なんか高生と一緒にリーダーっぽいことしてる小日向りゅーじです。なんか最近は高生のサポートとかやってたら副リーダーみたいな立ち位置にいました、よろしく〜」
「あ、あと、俺の異能力でできた分身?的な子がこの子で、」
「はい、小日向りゅーこです!よろしくお願いします…! 」
「可愛ええな、これが異能力なん?」
「まぁ、そんな感じだけど、りゅーこはりゅーこ自身の意志を持って行動してるので、1人の人間として接してあげてください」
「はえ〜なるほどな、よろしく〜」
「はい、よろしくお願いします!」
ある程度みんなが話し終えた所で全員に声を掛ける。
「みんな!早速なんだけど…
今の課題はお城…つまり拠点をどうするか、って話なんだけど、何か案がある人いる?」
と言うと全員がお互いの顔を見合わせるが、 四宮がすっと手を挙げ
「それこそ参謀の異能力ちゃうん?だってなんでもできるんやろ?」
「あ〜確かに!参謀どう?」
と参謀に振ると、少し不安そうな顔をしながら
「まぁ、できなくは無いけど…そもそもどこに建てるの?」
「確かに」
「なんか、ここら辺で誰の所有地でもない場所って無いん?空き地とかじゃなくても森とか」
「あ〜、森なら広いところあるよ、ちょっと遠いけど」
と、りゅーじが発言すると、それを遮るように
「でも、森じゃ建てらんなくない?」
と、参謀が発言する。
「さすがに、森を消して城も建てて…っていうのは俺の体力が持たないっていうか……」
「それに関しては僕がどうにかできると思うから、大丈夫やで」
と、少し自信気に四宮が言う。
「なんか、めっちゃ頼もしい人達が仲間になってくれたな!!」
と自由は笑顔を浮かべそう言う。
確かにそうだな、と俺も内心で思った。
「じゃあ、早速そこに向かおうか」
「着いたよ」
りゅーじの運転で着いた先は、青々と茂った広大な森だった。
「お〜めっちゃ広いな!!」
「すげ〜……」
「これなら確かに、十分過ぎる広さやな」
と、全員が森を見渡していると
「じゃあ…いっちょやりますか」
と言い、四宮は少し前に立ち腕の裾を捲る。
「あ、ちょっと離れといてな?危ないかもしらんから」
そう言われたので、みんなで少し離れて様子を見ることにした。
「ふぅ〜…久々やから上手くできっか不安やけど……」
《陰陽遷移 cosmic dual forces》
すると、四宮が発光しだし、段々と眩い光が視界を覆い、目を閉じる。
光が落ち着いたころ、目を開ければ、そこには森があったはずの場所にぽっかりと丸い空間が空いていた。
森の中の木を一部くり抜いたかのような光景が広がっている。
「こんなもんかな〜!上手くいって良かったわ…」
と言うと、力が抜けたのか、ドサッという音とともに地面に座り込む。
「はぁ〜…こんなに思いっきり異能力使ったのはひっさびさやったな〜…疲れた〜…!」
「え、す、すげー…!!✨」
と、参謀ははしゃぐ少年の様な目で森を見て
「マジか……」
「すっご…」
自由とりゅーじは驚いており
「さすがやな〜…」
「四宮さん、凄いね!!」
俺とジョニーさんは四宮を見る。
十人十色の反応に四宮は少し笑い、
「ほな、次は参謀の番やで?」
と、笑顔で彼に、見えないバトンを渡す。
「っし…任せな!」
自信満々な顔で意気揚々と数歩前に出る。
「宇宙の理を掌握し、この世界の創造主となる神よ、天からの命を授かりし参謀、この芳月廻の名のもとに、力を与えたまえ」
《常世の傀儡師 world is mine》
その瞬間、地面が大きく揺れだす。
全員、立つのもやっとという状況で、なんとか耐えていると、森の空き地を中心に強い風が巻き起こる。
何人かは風圧に負け、地面に倒れていく。
少し時が経ち、風が止み、地面の揺れも収まった頃、ふと前を向けば
そこには、大きい城が建っていた。
「お〜!!……ん??」
……が、しかし…少し想像とは違った風貌だった。
少し古めかしい様子の箇所もあれば、色や素材がツギハギになっている箇所だってある。
造りやスケールこそしっかりしているが、その外観はまるで幼稚園児が描いた絵のようだった。
その瞬間、参謀は力尽きたように地面に倒れ込む。
「あ〜…もう無理……限界…」
どうやら相当魔力を使って疲れたようだ。
「いやいや、ちょ、ツッコミたいこと多すぎるんやけど…まずあの城はどないなっとるん??」
少し回復したのか、四宮が立ち上がって参謀に問いかけるり
「え?なんか失敗した?」
一切心当たりが無いですと言わんばかりの声色でそう答える。
「お前あの城見えてへんのか??あきらかにおかしいやろ、色も、素材も」
「幼稚園児の工作ちゃうねんで?」
そう言われ、彼は城をチラッと見る。
すると、少し驚いたような、察したような表情をし、
「あ、あ〜……あ、あれはああいうデザインっていうか!決して異能力が上手く扱えてないとかではなく!想定通りで!」
「やとしたら参謀の感性を疑うわ!w」
「あと、異能力発動前の詠唱ってあれ必要だったん?」
と、ジョニーさんが問いかけると、参謀は少し動揺した様子で口を開き
「そ、そりゃもちろん必要…」
「いや?ただかっこいいしそれっぽいって理由の即興で作った文言やで?」
と、四宮は言葉を遮り参謀の発言を否定する
「ちょちょちょちょ!!」
と、彼は四宮を必死に止めるが、参謀をおちょくるように、少し悪い笑顔をした四宮は話を続ける。
「本当はあの異能力は制御しきれてへんくて、なんとかなればええやって思ってノリで使ったらああいう失敗したってだけやろ?」
「あと、相当体力も魔力も使うから何回も使ったり大きい改変はできない、そんでこれらを全部かっこ悪いって思ってるから隠しててそのためにいつもは…」
「ごめんなさいもうやめてください…ッ」
自分の秘密を全部バラされるのが怖かったのか恥ずかしかったのか、まぁその両方だろうが、参謀は顔を真っ赤にして少し苦しそうにしながら四宮にそう告げる。
「ッ…てか!なんで全部分かって…ッ」
「え?あぁ、そういや最初おらんかったんやったな、実は僕、人の心読めるんよ」
「えっ…チートじゃん…」
驚いた様な絶望した様な表情で参謀はそう言う。
「それ君が言う??」
なんでもできる異能力を持ってるやつに言われたくないと言わんばかりに四宮はそう突っ込んだ。
「…とりあえず、結局城どうする?」
痺れを切らして、みんなへ向けそう発言する。
「まぁ、この城をリフォームして普通の城にしたらええんちゃう?それやったら俺でも協力できそうやで」
と、頼もしい回答がジョニーさんから返ってくる。
「せやな、まぁみんなで協力したらできるやろ…あぁもちろん参謀もやで?」
と言い参謀の方を見ると
「えっ…いや…もう魔力すっからかんだし…キツいんですけど……」
呼吸も荒く体に力も入っておらず、本当に協力できる体力や魔力は残って無さそうだ。
「ま、まぁまぁ…無理は良くないし、少し休んでもいいんじゃない…?」
少し困ったような呆れたような表情をしたりゅーじがそう言い、参謀を少し離れた木陰で休ませる。
「じゃあ、具体的にはどうリフォームする?素材とか色とか…」
自由はめちゃくちゃやる気らしく、積極的に案を練ろうとしている。
「えっと…素材とか、色を塗るのとか、道具がそもそも無くない?」
そこにりゅーこが欠陥を突きつける
確かに!!といった表情で自由もりゅーこの方を見る。
「町の方まで買いに行くしかないんじゃない?」
「でもここからじゃえらい遠いで?」
「あ、じゃあ俺買ってくるから欲しいものまとめといて!」
と、自由は元気に手を挙げて言う。
「え、いやりゅーじくんが車で来てるんやからりゅーじくんに頼んだ方がよくない?」
「大丈夫大丈夫!りゅーじに頼むのも申し訳ないし…ちょっと時間はかかるかもだけど行けるから!」
「あ、じゃあ俺手伝おうか?今日はそんなに風も無いだろうから雨降らすよ」
「え、いいの?助かる〜!まぁ失敗しても俺の異能力で雨降らすしな」
と、自由と2人で話していると
「あ、えっと…お2人は分からないと思うので説明すると…」
と言ってりゅーこが四宮と神辰に説明をし始める。
「自由君は、水とか風の波に乗って移動をすることができる異能力を持っているので、その異能力を使うことで速く移動をすることができるんです」
「はえ〜なるほどな、便利な異能力やな〜」
「んじゃ、やるよ?」
「まぁ、高生の今日の運試しってとこだな!
大体いつも失敗してる気がするけど」
「まぁまぁまぁ、なんか今日はいける気がするし!」
と言い、異能力を発動する。
《運命改変 Judgment》
この異能力は高生の異能力の1つで、あることがらに対して成功確率が決まり、それに成功するとそれが起こったり何かが変わったりする。
ある意味、戦略と運が試される異能力なのである。
【成功確率 50】
(半々か…頼む!!)
【結果 23 成功】
「よし!!」
その瞬間、肌にポツリ、と水が触れる。
それはだんだんと勢いを増し、数十秒後にはザーザーと雨が降った。
「ナイス〜!」
「ま、まぁこんぐらいは普通っていうか?」
「さっき、よし!!って言ってたの聞こえてたけどなw」
「あっ…恥ずかし〜……」
「ま、まぁ…とりあえず!これで行けるようになったわけだから、買いに行ったら?」
「そうだな!じゃあ行ってくるわ!」
《水禍澎湃 whirling tides》
【逆巻く漣 aqua road】
すると、地面へ向かって落ちていた雨の一つ一つの挙動が変わり、町の方の空へ雨の道が延びていく。
《軟風千波 breeze surfer》
その道を自由は、波に乗る様にすいすいと進んでいく。
数十分後
再び雨の道から自由が見えてくる。
どうやら買い物が終わったらしい。
手にはいくつかの袋を抱えていた。
「お〜い!!」
と、自由の元気な声が森中に響く。
だんだん地面に近づいてきて、雨の道から降り、スタッと地面に着地をする。
「買ってきたぜ!!」
「お〜速かったな」
「自由君、お疲れ!買ってきてくれてありがとう!」
「あ、うん!全然大丈夫だよ!」
りゅーこの優しい言葉に対して、少し恥ずかしそうな嬉しそうな表情を見せる
「は〜ん…なるほどな〜」
自由とりゅーこの会話を見て四宮は何かを察したらしい。
きっと心を読んだのだろう。
まぁ、自由は分かりやすいから心を読まなくても分かったのかもしれないが。
とにかく、これで材料が揃ったので城のリフォームに取り掛かれる。
「え〜っと、ペンキとか、木材とか、あとこれとかこれとか……」
ガサゴソと袋の中から買ってきたものを取り出す。
「結構買ってきたね…」
「何が必要かよく分かんなかったから使えそうなの買ってきたぜ!」
と自信満々に言う。
まぁこれだけあれば足りないことは無いだろう。
「んで…どうやってやるん?僕はあんま協力できそうにない気ぃするけど、それこそジョニーさんとか」
「せやな、俺は全然やるつもりやったし」
「まぁ、俺もやるぜ!」
「俺と四宮さんで指示出しとかかな〜」
「確かに、そっちの方ができそうやわ」
「後は……」
と言いながら四宮は木陰にいる参謀の方を見る。
「あいつにも手伝ってもらうか、もうそろ大丈夫やろ」
すると、視線を感じたのか参謀もこちらを向き
「え〜…やっぱり俺も?」
「そりゃそうやろ、よし、もう大分動けそうやな」
と言いながら参謀の方へ近づく。
「え……無理」
「無理ちゃうやろ、僕に嘘はつけへんで」
「別に体動かせ言うとるわけやなくて、今考えてる通りでもええねん 」
「はいはい…あれも魔力消費激しいんだけどな……」
「あんたがそもそも城を完成させられてたらこんなことなっとらんのやからね?」
「う”ッ……は〜い…」
──神辰J威弦side──
「んじゃ、始めますか」
そう言い、道具を持って城の方へと向かう。
【無敵の戦士 unequaled】
(まずは…屋根からやな)
そう思い、上を見上げ、屋根に目掛けてジャンプをする。
高さ何十メートルか上の屋根まで。
人間技では無いのは分かっているが、俺ならできる。
なぜなら俺は、”最強の無能力者”だから。
「お〜!ジョニーさん凄いね!」
後ろから声がして振り向けば、そこには自由が浮いている…いや、空中にある雨の道に乗っていた。
確かにそれなら色々なところに移動できて便利だろう。
「自由君も、それ便利そうやね」
「まぁな!でも、雨でペンキが落ちないようにしないとな」
「確かにそうやね、頑張ってな」
「おう!ジョニーさんも落ちないようにな!」
彼はニカッと笑い、別の場所へ泳ぐように移動していく。
俺も頑張らなきゃな、と思い作業を始める。
──四宮伊織side──
各自それぞれが自分のやるべき事を見つけたようなので、自分もやるべき事を始める。
《総てを見透かす者 read all minds》
常に発動しているが、普段はあまり気にならないように効果を弱めている。
だが、今は全員の考えをまとめて指示を出す必要があるため、本来の威力まで戻す。
本来は視認している範囲の人物の考えや心の声が全て聞こえるため、街中なんかで使ったら大変なことになるのだ。
〘えと…ここは白でいいか、ここは木材で……〙
〘えと…参謀は回復してきたから、あとやること……〙
〘あそことあそこはジョニーさんが終わらせてて、あと残ってるのは……〙
と、ここにいる全員の声が聞こえてくる。
これらを聞き分け、適切な指示をだすのが今の目的だ。
その時、
〘あ、木材足りないかも…今から降りて取りに戻るのもな〜…〙
と、自由の声が聞こえる。
なので僕はすかさず参謀の方へ向き
「参謀、自由君のとこに木材飛ばしてくれへん?」
「え〜…飛ばすってなんだよ…」
〘多分重力を軽くして屋根の上まで運べって話なんだろうけど…魔力消費キツイんだよなぁ…ここで使ったらもう『常世の傀儡師 world is mine』を使う魔力も残らないだろうし……〙
「別にそれ使わんくていいから、わかってるんやったらさっさとやってもろてええ?」
「はーい…」
〘あ、そうだ心読めるんだった…え〜考え全部バレてんの恥ずかし……〙
渋々だが参謀も協力してくれるようだ。
《時空の理 gravity control》
【浮遊夢重 anti gravity】
参謀が木材に向かって手をかざすと、ふわりと地面から離れ、そのまま上昇していく。
〘え〜っと…どこに置けば良いんだっけ…〙
「あっちの屋根の上に自由君がおるから、あそこ」
「ん、了解」
〘え、意外と遠…魔力足りるか…?〙
相当魔力消費が激しいのと、さっきの使った魔力がまだ回復しきって無いんだろうな…と思いながら最後まで見届ける。
木材はだんだんと城の方へ浮かび、屋根の上に着地する。
「自由君!追加の木材置いといたで!」
と、できる限りの大声で叫ぶが、自由には届いていないようだ。
水の音でかき消されたのかもしれない。
どうしようかと困っていると、ジョニーさんがこちらに気づいたようだ。
「自由君、四宮君が呼んでるみたいやけど」
「え、マジ?ありがと!」
と言い、こちら側に少し近づいてくる
「自由君!そこに追加の木材置いといたで!!」
と、もう一度叫ぶと、今度は伝わったようで
「お!ありがとうな!!」
と、倍ぐらいの声量で返ってくる。
なにはともあれ、とりあえずはなんとかなったようだ。
「ありがとう参謀、助かったで」
「あ、うん……」
〘ちょっと…また休みたい…疲れた…〙
「あ〜…意外と魔力使うんやな…?また休んどき」
「ありがとう、そうする…」
疲れきった表情でまたりゅーじがいる木陰に戻っていく。
今までコンプレックスだったこの異能力は、使い方さえ考えれば誰も傷つけることなく誰かの役に立てるのだと、初めてそう感じたような気がした。
この仲間達なら、こんな自分でも上手くやっていけるかもしれない…と、出会って数時間なのに、なぜだかそう感じる。
それは、この異能力を使っても、誰からも悪意を感じないからだろうか。
そう考えながらも、また自分の仕事を再開していく。