「また空見てる 」
「聖」
「真夏、空好きだもんね」
そう言って聖はくしゃっとした笑顔で笑った。
「いつから好きなの?」
「もともと流れ星見たくて空見てたんだけどさ。気づいたら空綺麗だなぁって」
いつからとかじゃなく、気づいたら好きになってた。
「流れ星、見たいの?」
「うん」
「流星群とかで見たことないの?」
「流星群とかじゃなくて、一つだけの流れ星を見てみたい」
「なにそれロマンチスト」
別にロマンチックさを求めてるわけじゃないけど笑。
特別な感じがするなって思うからであって。
カシャッ。
横からシャッターを切る音がして横を振り向くと、聖が空にスマホを向けていた。
「写真撮ってんの?」
「うん。見て、これ」
「え、めっちゃ綺麗」
聖が撮った写真は日が沈み始めたオレンジ色と青色が層になった幻想的な景色が映っていた。
「我ながら上手く撮れた。空、好きになりそう」
「なりそう?笑」
「うん。こんなに綺麗なんだもん。そりゃ真夏も夢中になっちゃうよね」
スマホを見ながら満足げに笑う聖を見てると、俺もなぜか嬉しくなった。
俺も撮ろうかな。
「真夏。こっち向いて」
「ん?」
カシャッ。
「撮った?」
「ふふっ。うん、撮った」
「聖、写真撮るの好きだよね」
「ん?うん。思い出を形に残せるから」
「なにそれ。いつかいなくなるみたいな言い方」
「どうだろうね」
「いや怖いな。冗談でしょ?」
「………うん。冗談だよ」
でも、聖は突然姿を消した−。
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