テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
※異世界パロ
※全部捏造
キルシュトルテ▶︎エクソシスト
弐十▶︎勇者
ニキ▶︎王子
しろせんせー▶︎学校の先生
シード▶︎普通の村人
キルシュトルテ視点
「シュヴァルツベルダー・キルシュトルテです。」
友人のいる城に向かい、門番に名を名乗る。
今日は町で市場があるから、偵察も兼ねて一緒に行く約束をしていたのだ。
「キルシュトルテ様ですね。ただいま、王子をお呼びいたします。」
「ありがとうございます。」
城内を見渡す。宝石のゆれるシャンデリアに、繊細な美しい刺繍の施されたカーペット。何度来ても、この空間に自分の身を置くことには慣れない。本当に、凄いところに住んでるな、あいつ。
「キル〜」
「ん、お疲れ」
友人であり、この城に住む王子のニキ。
「あれ、いつものマントはしなくていいの。」
「いや、今使用人が持ってきてくれる。」
「あーね。」
王子はいつ命を狙われてもおかしくないから、お忍び用のマントが必須だ。外に出る度に毎回そんなものを着用しなければいけないなんて、王子も随分と面倒くさいものだなと思う。
「ニキ様、こちらどうぞ。」
「ん、ありがとう」
「じゃ、キルちゃん行こ」
「うぃ」
町へ降りてすぐ、人々の賑やかな声が耳に入る。
「賑わってんね」
色とりどりな屋台が並び、香辛料の匂いや焼きたてのパンの香りが漂う。
あまり好きな雰囲気でもないが、偵察も兼ねているので、致し方なく足を運ぶ。
「最近は魔物も出てるらしいから、キルちゃんもちょっとは警戒しといてね」
「はいはい、こんな人だかりの中で出たら面倒くさそうだな、絶対出てくんなよ」
「はは、それが一番だよね」
適当な話をしながら市場をまわっていると、人混みの中から1つの声が聞こえた。
「勇者が人を殺したらしいよ。」
「…は?」
ニキ視点
友人のキルシュトルテと市場に来ていた。
最近の仕事の愚痴とか、共通の友達の話とか、適当な世間話をしながら歩いていたら、商人と客が会話していたのが聞こえた。
「勇者が人を殺したらしいよ。」
ん?
俺とキルシュトルテの共通の友達にそのまさに勇者がいた。
だから、その会話を聞いた時、俺は一瞬頭が真っ白になってしまった。
あいつが?そんなまさか。あるわけない。
そんなことを考えていると、隣からは?と声が聞こえた。
キルちゃん、めっちゃびっくりしてるじゃん、やば。え、なにそれ、怖い顔。
「あの勇者様が?信じられない。本当なの?」
「本当らしいわ。この前の討伐で、一緒に行った人がしっかりと見たらしいの。」
市場を暫く進んだが、辺り一帯は勇者の話で持ち切りだった。みんな、信じられないだとか、呆れたとかそんなことばかり言っていた。
暫く歩いたけど、キルちゃんは一言も喋っていなかった。
「……キル?」
「………ニキくんさ、ちょっと裏路地の方行かない?」
うわ、すごい怖い声。顔は見れないけど、怒ってんのかな。
「そうだね、ちょっと休憩しよ」
ー裏路地
キルシュトルテ視点
「なにあれ。」
なんなんだあの空間は。みんなでコソコソ喋っていて、居心地の悪さと言ったら尋常じゃない。
「……あれ、本当なのかな」
ニキが呟いた。
「…ッ」
あれ、とは、あいつが人を殺したということだろうか。まさか、そんなことあるのか。
あいつは、確かに人の心は無いけど、人の命だけは、何としてでも守り抜いてきた。そんなやつが、人を殺すのか。
ニキと俺の間には、しばらく沈黙が続いていた。
「あれ、ニキとキルくんいる。」
「え、シードとボビーじゃん」
「は、なんでいんの」
「いや市場くらい行かせてくれよ」
しろせんせーとシード。2人ともまた友人である。
しろせんせーは学校で子供たちに剣術を教えているらしく、小さい子供なのだろうか、顔に傷がついていて湿布が貼ってあった。
「あれ、せんせーまたなんか増えてんじゃん、傷」
「いや、最近入ってきた1年生が扱いクソほど難しいんよ。すぐ顔引っぱたかれる。」
「ボビー子供との相性悪そうだもんね。」
「おい、俺はじゃあなんで教師やっとるん」
シードは村人で、よく近所の酒場に行った時に仲間うちで賭け事をしているのを見かける。
「お前この前負けてたじゃん。こんなとこ来て大丈夫なの。」
「大丈夫、安心して。今日帰り増やして帰るから。」
「負ける気しかしない」
そんな適当な話をしといて、ニキが思い出したように話し出した。
「ねえ、この辺の市場の雰囲気見た?」
2人の肩が少し跳ねる。
ああ、やっぱり2人も聞いてきたのか、あれを。
「…弐十ちゃん、なんかしたん?」
「ッ!」
「ちょっとキルちゃん。」
「…ッごめん。」
しろせんせーが名前を出した途端、やっぱりあいつの事だったのだと事実を目の当たりにして、思わず身を乗り出してしまった。
しろせんせー視点
噂の勇者、弐十の名前を出すと、キルちゃんの身体がビクッとなったのを見て、やべ、っと思ったが、ニキが何とかなだめてくれた。
キルは弐十ちゃんのこと大好きやもんな。
「あれなに?噂?すごいキモかったんじゃけどあの空間。」
シードが愚痴るかのように呟く。みんなも怪訝な顔をしている。そりゃそうだ。友達の変な噂を聞いて、いい気持ちな訳がない。
「弐十ちゃん、この前ちょうど討伐言ってたよね、あれかな。」
「あー、なんか行くって言っとったな。」
「あの後だれか弐十くんに会ったりした?」
「いや、会ってない。」
「誰も会っとらんのか…じゃあもう何も分からんなぁ」
「あ、そういえば」
「今日、市場があるから基本どの職業も休みなんだよ。父さんが言ってた。」
「だから、弐十ちゃんも休みだと思う。」
「なら、弐十くんのことやし、家にいそうちゃう?」
「弐十くんち言えば、色々聞けんじゃない?」
「確かにそうやな。」
「本人に言質取っといた方が楽やろ」
そうだな、とお互い同意をし、弐十ちゃんの家へ行って確認を取ることに決めた。
こんなよく分からない噂を聞いたままでいるのも気持ちが悪いので、しっかりと白黒付けよう、といざ弐十ちゃんの家へと向かった。