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モヤモヤした気持ちのまま部屋に戻り、気付けば4時前になっていた。
中途半端な時間に目が覚めてしまい、喉も乾いたのでリビングにそっと降りていく。
扉を開けると、彼がソファで丸くなっているのが見えた。
「…ん…」
「あ」
うっすらと目が開く。
そこに笑顔は無く、眉間に小さくシワがよっている。
「…あ”ぁ…真、くん…おはよ…」
いつもよりワントーン低い声。
ふらりと立ち上がってキッチンへ向かう。
「水やんな…あい」
「え、うん…ありがと…う…」
そのまま二度寝ではなく、座ってボーっとしている。
普段とは違う、関西の方言…。
「…ねえへんの…?」
「いや、もう…4時だし。寝坊すんの嫌だし」
「よじ…はやいなぁ…」
「…お前何してんの?」
「おれぇ?んー…おきてる…」
俺??
いつものコイツと違いすぎて、別人なんじゃないかと思えてくる。
「あさ…ごはんだれつくっとる?」
「母さんだけど…」
「おれやったほうがええかなぁ…」
「やんないで良いよ」
「おこられんかな」
「怒んないよ、誰も」
「そっか…なら…いいか…」
そう言いつつ横にはならない。
「寝ないの?」
「あさよわいから…ねたらおきれん…」
「起こすよ」
「いいこできんから…」
瞼がゆっくり落ちていく。
…寝そうじゃん。
「ん…真くん…」
「何」
「えへ…なんもなぁい…」
「んだよそれ…」
目は閉じられたまま。
隣に座ると、体重をのせられる。
「おい」
「あったか…」
「…おい…」
「もおちょい…あと…で…」
寝息が聞こえる。
寝た?
退くこともできず、テレビをつけて水を飲む。
まだ4時20分か…。
面白そうな番組にして、自分も少し目を閉じた。
目が覚めたのは5時半だった。
両親…は、まだ起きていない。
「…ん…ん?ん???」
「おはよ」
「え、なん…は?何でおんの?…居るの?」
ガバッと起き上がる。
時計、俺、テレビ、全部を見回す。
「…え、何してんの…??」
「お前だよ」
「は?」
「隣座ったらお前が頭のせてきたんだろ」
「ッッ…!!!うーわまじごめん!重かった?!やんな?!よだれたれてない…?!ほんまごめん…!」
押し殺したような声で言う。
親が起きないよう気を使っているのか。
「別に。俺も寝てたし」
「えーっと…ん?隣…俺起きてた?僕、?」
「俺で良いだろ。別に作らなくていい」
「っ…作ってないよ、別に…」
「俺はさっきの方が好き」
一瞬フリーズしたと思えば、みるみる顔が赤くなっていく。
…面白い。
「だ、誰にも…言わんで…」
「ん」
「朝、苦手やねん…」
「見りゃ分かった」
「俺変やなかった…?」
「…」
さっきまでの光景がフラッシュバックする。
[真くん…][えへ…][おれぇ…?][もおちょい…]
「変…じゃない」
「絶対なんか変やったやん…!」
何があったん?!と肩を揺らしてくるが無視を決めこんだ。
「ねぇっ…!竹内くん?!」
「真」
「…?」
「さっき真って呼んでた」
「…ごめん」
「違う。もっかい呼んで」
「は?」
「真」
「…し、…いやでも」
「名字変わる。ってか変わってる」
「…し、真…くん」
「うん」
「なんやねんこれ…」
「仁」
「!!?」
「俺も仁って呼ぶ」
「い、いいけ、ど…」
「ん」
沈黙。
でも重くない。
嫌いだったはずなのに、なぜか干渉しすぎてしまっている。
多分、色々変わった。
「…めんどくさ」
「何が?」
「別に」
寝ている二人が起きてくるまで、隣どおしのままテレビを眺めた。