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一旦バレンタインのことから離れるつもりで、白衣の胸ポケットに差しているボールペンを抜き取った。
バインダーボードに挟んだカルテに、診療で気づいたことをペンで書き込んでいく。
だが途中で思考が止まり、再び頭を占めるようにチョコレートの波が押し寄せてきた。
「ダメだ…」と、頭を振る。
どうにもそのことが頭から離れない──。
そう言えば、彼女とはバレンタインにデートの約束はしていただろうかと、再びデスクに頬づえをつく。
明日のことを考えてみるが、特に会うような約束はしていない気がした。
彼女に連絡をと思うが、バレンタインの日に急にそんなことを言い出せば、どうにもあからさまなようにも感じた。
落ち着かなければと、ふーっとため息をついて、
私はどれだけ彼女に魅了されてしまっているんだと、デスクで頭を抱えた……。