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──そうして、バレンタイン当日が訪れたが、彼女からプレゼントをされる気配はなかった。
やがてクリニックの終了時になり、チョコレートのことでひとり気疲れをした挙句、「ハァ──…」と息をついて、オフィスチェアーに足を組んだ。
「何をしているんだ、私は……」
これでは中学生と変わらないと感じる。
ハァ…ともう一度ため息を吐いて、メガネのブリッジを指で押し上げた。
するとデスクの上に置いていた携帯がバイブで振動をして、メールの着信を知らせた。
画面には、「今日、部屋に行ってもいいですか?」という彼女からのメッセージが表示されていた。
OKな旨を伝えると、「では、後でお邪魔しますね」と、返信があった。
彼女の方からということは……もしかしてとも思うが、そのことばかりを考えるのもいい加減どうかと思う。
先にマンションへ帰り、あまり何も手につかないまま彼女が来るのを待っていると、
程なくしてインターホンが鳴り、訪れた彼女を部屋へ迎え入れた──。