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ジリリリリリリリ…
「・・・」
朝からうるさいな。そんなにうるさく鳴かなくても俺はもうとっくに起きてるっつーの。ずーっと、ただぼーっと見つめてただけで。重い体を起こして、窓を開けようと動く。
よし。いつもの顔、変わってなくて良かった。
そばにある、ピンクの花の植木鉢。ちょっと前に買った花だ。花屋で見て、気づいたらいつの間にか買っていた花だ。
ピンクの花、つぼみ・・・連想されるものは・・・
「はぁ・・・」
あいつの心が俺になくても、俺は…あいつのことが好きだ。でも、そう思えば思うほど心に穴が空いていく。・・・ずっと、取り繕っておきたかったな。俺には笑うことしか大した取り柄がないから。そうしなかったから、あいつは別のやつを選んだのかな。
そのまま、虚無のまま一日をただぼーっと過ごして、あっという間にもう夕方。
寝れないな・・・寝たいけど。寝たとしても明日起きる理由が何一つない。・・・でも、もし朝が来たら俺はどうしようか。
ジリリリリリリリリ…
あの文字盤が、うるさく鳴く。
それに、一歩、また一歩後ずさり。
「……また、明日な」
そう、目の前にいる彼に、ポツリと呟いた。
「うん、わかった。またな」
バタン……
あぁ、良かった・・・
彼と一緒にいる喜びより、彼と離れた安堵の気持ちが先にくる。
なんか、もう、辛いな。
自分の気持ちを隠しておかなくちゃ。ちゃんと、取り繕わなきゃ。ちゃんと、笑わなきゃ。
もし知られたら、今の関係が壊れちゃう。それに・・・あの2人の関係にもヒビが入っちゃうかもしれない。
俺はあくまでもあいつの「親友」だ。「思い人」なんて思っちゃいけない。
・・・本当は俺と一緒に幸せになってもらいたいのにな。そう思えば思うほど、俺の孤独はどんどん深くなって、まるで・・・底なし沼のようだ。
服をぎゅっと掴む。あいつのことを想えば想うほど、切なさが込み上げてきてしまう。
ポツポツ・・・ザァァァァァァァァ・・・
「ぁ、雨・・・」
雨が、降ってきた。
・・・今の俺の感情みたいだな。
「ぁ、虹だ・・・」
空に、虹がかかっている。・・・純粋に、綺麗だな。って、思えたらな。
いくらあいつに想いを寄せたところで、そんな事叶わない。
苦しくて苦しくてたまらないのに、どうせそんなの、他のやつから見たらどうでもいいんだろうな。
きっとあいつらにも「くだらないことだ」って思われてる。
でも、俺にとってはどうしようもないくらいに苦しくて悩んでることなんだ。
「・・・」
ふと、窓を見ると、あのピンクの花のつぼみは枯れていた。
それがとても汚らわしく、でも・・・いじらしく見えてしまう。
あーあ、呪いみたいになっちまうよ。・・・俺の気持ち、バレてないよな?って、ずーっと考えちまう。
早く、「あきらめた」って言わなくちゃ。でないと頭の中で「好きだ」って、ノイズが鳴り止まなくなる。
もしあいつに、俺の空っぽが埋まらないこと、バレてたらどうしようか。
やっぱり、あいつの言うとおり終わりなのかなぁ・・・
あぁ、このまま言っちゃったら、きっと幸せになっちゃうんだろうな。あいつはそういうことへの配慮はしてくれるから、OKしてくれるんだろうな。失うのが辛くなちまうじゃねぇか。OKもらったところで、どうせすぐ離れちまうからな。
・・・もし、全部無駄になったら、俺があいつのこと愛した罰を受けるからさ。
・・・もし、お前の胸で泣けたなら。…どうしようかな。本当にそうなってくれたら、いいのにな。
「エピック!」
「ッ…!bruh?」
ギュッ
「!?」
「・・・辛いなら、泣いてもいいんだぞ」
「え・・・」
「いつでも、俺が受け入れてやるから」
「b、bruh、それって・・・」
「パチッ))・・・・・・夢・・・か・・・」
・・・最期にこんな夢見るなんて、辛いなぁ。
少し、心を落ち着かせるための仮眠のつもりだったんだがな。
あいつのことを頭の中から消し去ってしまいたい、忘れたい、この恋心を諦めたいっていう思い。
でも、
ちゃんと告白したら、俺はあいつの隣にいれるようになるんじゃないか?っていうどうしようもない期待と、どうしても諦められないっていう思いで、板挟み。
もう・・・どうすればいいんだよこんなの・・・
矛盾だらけの気持ちを抱えて、気持ちがちゅうぶらりんだ。
こんなに苦しむならいっそのこと・・・
俺も、宙吊りになっちゃおうかな、って。まさかその直前に、あいつと幸せになる夢を見るなんて、ツイてないな。
俺の脳は一体どれだけあいつに染まってしまっているんだろうな。
自覚してからというもの、想えば想うほど辛く、悲しく、苦しくなる人生も今日で終わり。
「さようならだぜ、bruh」
アイツと、末永く幸せにな。