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数日間、入院することになった。
少し入院して問題なければ退院だから、そんなに大きなことではない。
そういえばあのぶつかった相手ってどうなったんだろう…
ちょうど考えている時だった。
トントン
病室に誰かが来た。
こんな夜遅くに誰?
開けると、車椅子に乗った松井健太郎だった。
クラスの野球部で、1番おとなしい男子。
話したことも、目を合わせたこともなかった。
「松井…くん?」
彼はそっと頷いた。
話したことがないと何ともいえない気まずさで仕方がなかった。
とりあえず病室に入ってもらった。
いつも無口な松井くんが、果たしてなにを話すのだろうか。
彼の心配よりも、彼の話の話題が気になった。
「あの、ごめんなさい」
いつも坊主だから気にならなかったが、包帯を巻いて謝ってきた。
その後、なにがあったかをゆっくり教えてもらった。
話によると、松井くんは教室に忘れ物をして撮りにきた最中に私とぶつかってしまった。
そして私が血を流しているのを見て慌てた松井くんは、そのまま私を背負って階段を駆け降りたらしい。
その時、思いっきり転んで今度は松井くんが怪我をしてしまったのだと…
お互いが走っていて出会い頭にぶつかったこと、階段で私を落としてしまったことに対して謝ってきた。
にしては…私は全然軽傷だった。
「助けてくれてありがとう。私こそごめんなさい」
この傷で済んだのも、もしかしたら松井くんのおかげなのかもしれない。
松井くんの気持ちや行動に、愛を感じた。