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〜side叶〜
市役所に着き会議の準備をしていた
全く今の時代リモートって言葉を知らないお偉い方々には困ったものだ
僕は貰った資料を市長室に運ぼうとした時、1階から叫び声とガラスが割れる音が聞こえた
資料を床に投げ捨て階段を降り、踊場手前で銃を構える
エントランス内に倒れた警備員が1人、そして開いている扉の向こうに倒れている足が見える
中にいる人達には鍵付きの部屋から出ないように伝えてある
ゆっくりと1階に降り、中で倒れている警備員をすぐそばの部屋に引き摺りながら隠す
あとは外で倒れている警備員
早く助けなければ‥‥
扉の隙間から銃で狙い、頭を撃ち抜く
そばに見えていた4体のゾンビは動きを止めた
体の大きな警備員の両脇に手を入れ、中に匿おうとした時だった
「いっ!‥‥‥‥痛‥‥」
しまった!
中にもう入っていたのか⁈
肩に熱い激痛が走る
振り向きながら肘で奴の体を振り解く
簡単に離れたゾンビの頭めがけて銃を撃つ
もう1人の警備員も入口の中に入れようとした時、物凄い数のゾンビに囲まれていることに気付いた
「‥‥いや、無理だな‥‥これは」
そう言いながらも建物を背にこちらに向かうゾンビを倒していく
咬まれた場所から何か入ったのか、体が痺れ重く感じる
とりあえず建物の中に入り、扉の内側に背を預けた
壊れた扉を塞げるものはここにはない
“誰か市役所まで来てほしい!急に凄い数のゾンビに囲まれて‥‥市長達を助けて欲しい。僕はちょっと動けないみたい‥‥”
“叶さん⁈待ってて、今すぐ向かう!”
ローレンの声
「‥‥マジですぐ来て欲しい」
背中に感じる扉を開こうとするゾンビの力は、すでに僕1人じゃどうにも出来ない
とうとう圧に負けて扉が開いてしまった
雪崩れ込んだゾンビ達が僕の体に群がって来る
「‥‥!やめっ‥‥痛っ!‥‥」
拳銃を持つ腕や脇腹
もうどこが痛いのかわからない
その時、中途半端に開いていた扉が物凄い音で開け切られる
上に乗っていたゾンビ達が奥へと吹き飛ばされていく
激しい銃弾の音
僕の腕にしがみついていたゾンビを見下ろしながらロウが頭を撃ち抜く
「っロウ!」
「‥‥‥‥‥‥」
ロウは僕を警備員達がいる部屋の中に連れていく
外にはまだまだゾンビがいる
集まった仲間達が応戦してくれているのが分かった
先ほどの警備員達は大ダウンになり、気を失っていた
「ロウ‥‥ありがとね」
「‥‥クゥーン‥‥」
僕の側にピッタリとくっ付き手を握りしめる
その手の甲に鼻を付け、またゴロゴロ喉を鳴らす
ここに来る前もそんな事してたな
でもなんでだろう
甘えてるだけだよね?
なんで悲しげな顔で僕を見るの?
「‥‥ロウ?」
「‥‥クゥーン‥‥」
「何考えてる?‥‥ロウ」
「‥‥‥‥クゥ‥‥」
「やだ。‥‥何かわからないけど嫌だ」
ロウがこちらにイタズラするような顔で背中を向け、僕の顔に尻尾をパタパタさせる
「‥‥やめてよ、それ。やだ、ロウ‥‥」
「‥‥クゥ‥‥ン」
ロウは背中を向けたまま立ち上がる
「‥‥行かないでよ」
「‥‥‥‥」
「行くなって!」
「‥‥‥‥‥‥」
行くなって言ったのに
ロウは振り向く事なくこの場を走り去って行った
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