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誰が好きで、誰が嫌いか。

そんなこと普通は分からない。教えてもらわないと。……隠されたらもっと分からない。


────俺は焦っていた。


従兄弟の創の婚約に。親戚の期待の眼差しに。

順番が回ってくるんだ。他人事じゃない。俺にも必ず、その“選択”がやってくる。

親の為に会社を継いで、結婚して、子どもをつくる。今の立場を次へと繋いでいく。

それが理想だ。その理想の為に奔走しなくちゃいけない。

……でも無理だ。それこそ理想論。俺にはとても、異性を恋愛対象に生きてくことなんてできやしない。

自分が同性愛者である事を創に打ち明けて、彼にはいつもそう語っていた。

口ではそう言うけど、いざその選択を迫られたとき、俺に決断する勇気があるだろうか。


“今”は永遠じゃない。自由気ままな生活を捨てなきゃならない日が必ずくる。

分かってる、けど。

何でもいいから、誰でもいいから捜さなきゃ。

求めていたんだ。心の拠り所、って言ったら恥ずかしいけど。一緒にいて安心できる存在を。

アタフタして、そのくせフラフラしていた。


『……俺に任せてください。必ず、貴方が恋人をつくれるようにサポートしますから!』


そんな時に、あいつは現れた。

涼成哉《すずみせいや》。俺の現状を、心境を見透かしてるかのような顔で近づいて来た。


創が玲那と婚約したのは一ヵ月前。

涼と出逢ったのは、その翌日のことだった。





ファナティック・フレンド

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