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「やぁ、目黒君…この間はどうも」
目黒は、この間…夕食をご馳走になったプロデューサーの男に会ってしまう
「おはようございます。この間は、ご馳走様でした…」
目黒は礼儀正しく挨拶をするが…
「ふん…」
男の方は、何やら不機嫌で挨拶を返そうとはしない
「この間は、よくもやってくれたな…」
「一体何の事ですか?」
「しらばくれるな!人のモノを横取りしやがって…」
男の言う【人のモノ】とは、渡辺の事で間違いないのだろうか…
そもそも渡辺は元々、男のモノではないし…横取りした気もさらさら無い
「恩を仇で返されるとは、こういう事を言うんだな…」
オーバーなリアクションで、肩をガックリと落とす真似をする
確かに番組を作ってもらったという恩は有る…しかし、それはお互いに仕事の上での事だった
「あの、俺は…」
目黒が口を開きかけた、その時
「これは一体何の騒ぎですか?」
渡辺が2人の間に割って入って来た
「あぁ、良い所に来てくれたね渡辺君」
男は、態度をコロッと変えて…渡辺に向かって笑顔振りまく
「一体、何があったんですか?」
「聞いてくれ…私は、そこにいる目黒君に酷い侮辱を受けたんだ」
「侮辱、ですか?」
渡辺が眉をひそめる
「僕が決めた事に、彼が口を出して来たんだ…」
僕が決めた事とは【自分が酔った渡辺を送りたかった】という事だろうか…
「どういう事でしょう?」
「いや…詳しくは話せないが…。君は、素晴らしい才能があるのだから…こんな奴と同じグループなんかに居るべきでは無い…もっと他の所に行った方が身の為だよ…」
そう吐き捨てる様に男が言う
「こんな奴とは…目黒の事でしょうか?」
「あぁ…彼は疫病神だ。上の者に楯突いて…きっとその内、大変な問題を起こすに違いない…」
男は目黒を蔑むような目付きで睨みながらそう言った
「その言葉、訂正してもらえませんか?」
てっきり自分に同調してくると思った渡辺が、突然反旗を振りかざす
『翔太君…!』
言われた男と同様に、目黒自身も驚きを隠せない…
「彼は、そんな奴ではありません…。どちらかと言えば、グループ内では凄く真面目で手本にすべき存在です」
「なっ…!」
男が怒りに打ち震える…しかし、渡辺は止まらない
「貴方は目黒を侮辱しました。訂正していただけませんか?」
真っ直ぐに男を見据え、そう訴える…
その言葉に、目黒の胸が熱く震えた
「きっ…君は、この僕が嘘を付いていると言うのか!」
「貴方が嘘を付いているかどうかは僕には分かりません…。でも、目黒が人を侮辱する様な事を言う人間で無いのは理解しています。もし仮に…彼が、それでも侮辱したと言うのなら…それは相手が、それ相応の何かをしたと言う事だと思います」
はっきりと言い切った渡辺…騒ぎを聞きつけて、少しずつ人が集まってくる
「くっ…」
男は周囲を見回して…
「話にならん!」
そう叫んで、逃げる様に去って行った