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照明の切れかかった廊下は暗く深く続いている。カルパス、私の足音がその奥へ吸い込まれるようにして響いていた。
「ウドの大木でも壁にはなるだろう。」と言って、カルパスは私を先頭にして進んでいく。
重たく冷たい空気に肩が上がる。
何か、罠があっても何もおかしくない。そんな状況の中でいきなりの戦力減少には、カルパスも予期していなかったらしく、ブツブツと何か文句らしきものを言っていた。
分岐もあったが廊下を進んで行くと広い部屋につく。
何もない暗くて、コンクリで固められた質素で無機質な広い部屋だ。
「なんだ、ここは。」と呟き周囲を警戒しだすカルパス。
私も部屋を見渡すと「カメラがある」
天井の隅に小さいカメラのようなものがこちらを除いている。
「見られているということか?」少し早口にカルパスが言った瞬間に体中が急激に重くなり、耐えられずに地面に付す。
カルパスも同じように地面に這いつくばっていた。
「クソッ」カルパスが吐き捨てるように言うと同時に、来た道から人影が現れる。
「男一人…女一人。カルパスとやらは…聞いてるが…こいつは…誰だ…?」たどたどしい言葉で言葉を発するのは、黒いジャケットを着た背の高い男だ。
「誰だ!」というカルパスに対して「参謀…だ」と返す男。困惑したカルパスであった。能力を使おうとして、手を振り上げようとするのを見て私は警告を入れる。
「君の能力で力が掛かる方向を変えても天井に這うか、壁に這うかの二つだ!意味がない。」「グッ…あぁ!そうだな!」と、カルパスが大声をだす。
「喧嘩は…するなよ。」とその調子のままでいる男はカルパスをヒョイと持ち上げると。「お前は…生かしておけと言われているが…」と言い、こっちを見て「お前は…知らない…からな…済まない。」
すると身体にかかる重さが急激に大きくなり、明らかなキャパのオーバーに身体のあちこちが割れる音と共に尋常でない痛みに襲われる。
「あ、クラーラ…この男…そっちに…送って…」「おい!どうする気」と言い切る前にカルパスは黒い物に飲まれ、その場から消える。
その間に意識は数回飛びそうになっているが、朦朧と保っている状態。叫びはもう上がらないので、口だけ大きく開けている。
能力は、発動の兆しも見せない。
能力は、まだ出ない。
目を閉じ、呼吸を止めてみると、そのまま止まってしまいそうだったが、まだ少し体が動くことを確認して、息を止める。
すると、男は「死んだか?」と言って近寄ってくる。
まだ寄せる、まだ寄せる、まだ、嫌、来た。
指を、冷たい物体にかける。
体が、壊れる勢いで思い切り男に向かってその手を向ける。
向けたのは、拳銃。
「ぁ…ぁ…あ゛」と声を絞り出してから、引き金を引く。
理性ではなく、本能で。
パンッ、と乾いた音がなる。