テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
3
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
生徒会室で行われた話し合いの末、
須藤健に対する疑いは晴れた。
Dクラスの努力と、
堀北さんの粘り強さ。
そして表には見えないところで動いていた、
綾小路清隆の存在。
それらすべてが、須藤くんを救ったのだった。
翌日の教室。
須藤くんはぶっきらぼうに頭をかきながら言った。
「……悪かったな。迷惑かけた」
照れ隠しのようなその言葉に、教室には温かい空気が広がる。
ひなもほっと胸を撫で下ろした。
「本当によかった……」
隣では桔梗ちゃんが嬉しそうに笑っていた。
昼休み。
ひなは窓際に立つ綾小路くんのもとへ向かった。
「須藤くん、助かってよかったね」
「ああ」
「綾小路くんも、たくさん動いてたんでしょ?」
彼は少しだけ視線を逸らした。
「大したことはしていない」
「でも、綾小路くんがいたから、みんな安心できたと思う」
ひながそう言うと、彼は静かにこちらを見た。
「……お前は、人のことをよく見ているな」
その言葉に胸が熱くなる。
放課後。
寮へ戻る途中、二人は並んで歩いていた。
夕暮れの風が、制服の裾を揺らしていく。
「ひな」
名前を呼ばれ、どきりとする。
「今回は、ありがとう」
「えっ?」
「お前が心配してくれていたこと、わかっていた」
思いがけない言葉に、ひなの胸がいっぱいになる。
「私、何もできなかったよ」
「そんなことはない」
綾小路くんは前を向いたまま、静かに続けた。
「お前がいてくれると、少し気が楽になる」
その一言に、ひなの足が止まりそうになる。
胸の奥が熱くなり、鼓動が速くなる。
「……ほんと?」
「ああ」
たったそれだけの返事。
けれど、ひなにとっては何よりも嬉しい言葉だった。
自室の前。
別れ際、綾小路くんは小さく言った。
「また明日」
「うん……また明日」
ドアが閉まったあとも、
ひなの胸の鼓動はしばらく収まらなかった。
綾小路くんの言葉。
“お前がいてくれると、少し気が楽になる。”
その一言は、どんな告白よりも特別に感じられた。
恋の答えはまだ見つからない。
でも確かに、
二人の距離は少しずつ縮まっていた。