「今の…」
「兄さん?どうかした?」
「いや、なんでもない」
「そっか…」
「もう出るぞ」
今の、窓の外に一瞬見えた紺碧の髪は…酷く懐かしい気がして、でも、どこか違う気もして。ひとつの希望が…崩れ去る予感がした。
ーーー
前と後ろに2人ずつ、街の役員がつく。
先頭にいる重役であろう男に先導されながら歩いていくと、もうとっくに見なれた川沿いの崖に立つ。
暫く待つと人がどんどん集まってきて、その中には紺碧の髪をした…母が、居た。
「母さん、?」
「ぇ?おかあ、さん?」
母は、うっとりとした表情をうかべ、此方に緩く手を振っている。
母なはずなのに。目の奥が、根本的な何かが…違っていた。
「母さん。なんで」
母が役員に連れられ近づいてくる。
「狐絃、譜弦。久しぶり」
「どうしたの?なんか変だよ!」
「母さんはね。神様を信じようと思ったの。」
「…なんでだよ」
「簡単な事よ、神様は居るの。私の元に現れてくれたわ。」
「神様?お母さん、信じてなかったじゃん!」
「えぇ、そうね。昔は」
「神様は居ないって、信じなくていい、そう言ったのは母さんだよ!」
「ーー。ーーーーーーーーー?」
「ーーーーー!!ーーーーーーー!」
音が遠くなる。譜弦と母さんが言い争ってる。悲しい。心に穴が空いたように。
だけど、曇り空の様な心で、とても悲しいのに涙は何故か、出てこなかった。
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名前は
兄が狐絃 こいと
弟が譜弦 ふげん です。
アリウム…無限の悲しみ 正しい主張
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