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【一次創作】ノベル短編集

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【一次創作】ノベル短編集

1 - 青空の下、物語は紡がれる。

♥

143

2023年01月16日

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夕焼けに染まった教室を見渡す。誰も居ない教室。そこは、普段のうるささからは考えられない程の静けさに包まれていた。

「…これで、今日で、終われるのかな、」

1人呟いた言葉は静かに溶けて、余韻を残した。それがやけに寂しく感じられて、悲しく思えてしまって。すぐにここから離れてしまおうと、足を進めた。


















扉を開けば、そこは最期の舞台───屋上。

1歩1歩足を進め、柵に手をかける。そこから見える景色は、全て夕焼けに支配されていた。


柵に登ろうとしたところで、背後のドアが開いた音がした。


「あれ、先客が居たのかぁ」



そこに居たのは、











「…なんで、天音(あまね)が…」

私の親友───天音だった。


「なんでって、そりゃぁ、…飛び降りようかな〜って」


「…同じなんだね、私たちは、結局……」


「まさか伊都(いと)が居るなんてな〜、どうりで探しても居ない訳だわ」


2人、手を繋ぐ。柵に登って、下を見下ろして。


「案外怖いね」

なんて言ってみたり。


「なんか青春っぽいわ〜」

とか、


「馬鹿じゃない?何処に屋上から笑って手繋いで飛び降りる青春があるってのよ」

「ここにあるでしょ」


なんて、いつものように、馬鹿みたいに、くだらないことを話す。







「…考えてる事は似てるのに、伊都と私って全部正反対だよね」


「確かにね。お互い無いものねだりして、お互いがお互いを羨んで…」



勉強ができた私。世渡り上手で友達の多い天音。



どんなに頑張っても人間関係で悩んだ私。どんなに努力しても勉強が苦手で、どこにも進学出来ないと言われた天音。




「まぁ、お互い精一杯頑張ったのは同じだけど」


「…でも私たち、もう1つ同じところあるじゃん」


「なんかあったっけ?」






「人間関係で悩んでも、勉強出来なくても、上手く生きてくことは出来ないでしょ?どっちにしろ、2人とも生きるのが下手だったじゃない」


「…そっか」


「まぁ、私たちが巡り会えたのが不幸中の幸いってことで」


段々と日が落ち始めた。辺りが暗くなり始め、1番星も輝いている。



「来世のお願いでもしとく?」


「天音は勉強出来ますようにって願うの?」


「いやいや、もっとお願いしたいことあるからさ」


少し驚いた。勉強でものすごく悩んでた天音なら、勉強ができるように願うと思っていたから。


「そういう伊都は?コミュ力お化けになれますようにって?」


「なにもお化けまでいかなくていいよ。というより、それはお願いしないかな。」


「えー!意外!」


私はもう、決まってる。ずっと、ずっと、決めている。そんなの、一択しかなかった。


「せーので言う?」


「おっけー」


「せーのっ」


















『来世も天音/伊都と親友になれますように』
















「やっぱ天音とは考えてる事同じだね」


「もうこれには神様もびっくりだよ」


「それは言い過ぎ」



なんだかんだ言っていれば、もう夜空は星でいっぱいだった。地上も同じように点々と光が広がり、綺麗な夜景を作っていた。



「そろそろ、行こうか」


「夕焼けも夜空も夜景も見れて大満足だわ」


「隣に親友がいるところも含めて、最高の終わりになったわ」







「じゃあ、最期は笑って」


















『さようなら』



















夜に溶けた2人の少女。正反対なのに、一心同体でそっくりな2人。お互いがお互いを羨み、支え合い、儚く散った。それでも、来世は報われることを願うのではなく、来世も一緒に居ることを願った2人。誰よりも互いを思いあった2人の願いは──────。






















「ねぇ、こんなとこに1人で居るの、寂しくないの?」


1人の幼い少女が話しかける。


「…誰?」


話しかけられた少女は冷たく返す。それでもなお、少女は声をかけた。


「私、蒼空(そら)!あなたは?」


「私は、紡(つむぎ)…」

















青空の下、2人の少女の物語は紡がれ、再び動き出した──────。


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コメント

18

ユーザー

余談ですが、 伊都→糸 紡→紡ぐ 糸+紡ぐ=糸を紡ぐ 天音→「天」が着く 蒼空→空 天≒空 頑張って名前に関係性を持たせました✌️ と、言ってもほぼ即興なので適当でs(((

ユーザー

一次創作ガチ上手いやん 涙出すぎて海できちゃうよ(?)

ユーザー

なんか雰囲気で押し切ったところもあるけど許して(((

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