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#高校生
第81話 「開幕」2023年7月。
夏の福岡大会。
開幕の日。
朝早くから球場には多くの高校球児が集まっていた。
晴天。
真っ青な空。
照りつける日差し。
夏が始まった。
開会式。
整列する各校の選手たち。
柳城高校の列の中に塁と史陽の姿があった。
二人とも三年生。
最後の夏。
行進しながら塁はスタンドを見る。
保護者。
卒業生。
地域の人たち。
たくさんの人が見守っている。
ふと。
舞の姿が見えた。
大学の友人たちと一緒だった。
目が合う。
舞が笑顔で手を振る。
塁も小さく手を振り返した。
開会式終了。
いよいよ大会が始まる。
柳城の初戦は二日後。
学校へ戻った野球部は軽めの練習を行った。
その後。
ミーティング。
福間監督が選手たちを見る。
静かな部屋。
誰も話さない。
監督が口を開く。
「三年間」
全員が顔を上げる。
「長かったですか」
少し間が空く。
「短かったですか」
誰も答えない。
監督は続ける。
「どちらでも構いません」
「ただ」
監督の視線が三年生へ向く。
「終わった時に後悔だけはしないでください」
部屋が静まり返る。
「勝っても」
「負けても」
「やり切ったと思える夏にしましょう」
それだけだった。
しかし。
選手たちの胸には深く残った。
夜。
寮ではなく自宅から通う塁と史陽。
夕食後。
二人は家の前に座っていた。
蝉の声が聞こえる。
史陽が言う。
「とうとうやな」
塁が頷く。
「ああ」
去年の夏。
春のセンバツ。
色々なことがあった。
嬉しかった日。
悔しかった日。
全部ここへ繋がっている。
しばらく沈黙。
するとスマートフォンが鳴った。
メッセージ。
送り主は啓介だった。
『開幕やな』
それだけ。
史陽が笑う。
「相変わらず短い」
塁も笑った。
『楽しめ』
続けてもう一通。
たった三文字。
塁は画面を見つめる。
そして返信した。
『任せろ』
送信。
夜空には満月が浮かんでいた。
最後の夏。
柳城高校。
全国制覇への挑戦。
その幕が上がった。
第81話 終
コメント
1件
おお、開幕したね…!すごく静かで、でも熱い空気が伝わってきた。特に福間監督の「後悔だけはしないで」って言葉、胸にグッときた。選手たちの緊張とか覚悟とか、行進中の舞さんの姿とか、一つひとつの描写が丁寧でじわじわ沁みる。最後の「任せろ」と満月のシーン、めっちゃカッコよかった。この夏、どこまで突き進むのか本当に楽しみだわ!🔥