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#高校生
第81話 「駆け上がる」
2023年7月。
夏の福岡大会。
柳城高校の初戦。
相手は北筑高校。
三年生にとって負ければ終わりの戦いが始まった。
だが。
柳城は落ち着いていた。
初回。
史陽のヒットから先制。
塁も安定した投球を見せる。
結果。
8対1。
七回コールド勝ち。
順調なスタートだった。
二回戦。
三回戦。
柳城は危なげなく勝ち上がる。
しかし。
準々決勝。
相手は古くからの強豪。
西海学園高校。
試合は接戦となった。
六回終了。
2対2。
球場の空気も重い。
相手の応援席も盛り上がる。
そんな中。
七回裏。
史陽が二死からヒットで出塁。
盗塁成功。
二塁。
打席には五番打者。
レフト前へ。
勝ち越し。
3対2。
塁は最後まで投げ抜いた。
ゲームセット。
柳城高校3対2西海学園高校。
苦しみながらも勝利。
試合後。
史陽が笑う。
「こういう試合の方が甲子園っぽいな」
塁も笑う。
「まだ県大会やぞ」
二人とも表情は明るかった。
数日後。
準決勝。
柳城高校。
対。
博多商業高校。
春の県大会で苦戦した相手だった。
しかし。
この日の柳城は違った。
打線が爆発。
史陽が三安打。
塁も完投。
7対0。
快勝。
福岡大会決勝進出。
試合後。
スタンドでは舞が拍手していた。
大学の試験期間にもかかわらず応援へ来ていた。
「本当に強くなったなぁ」
誰にも聞こえない声で呟く。
そして迎える決勝前日。
宿舎ではなく学校の部室。
三年生だけが残っていた。
静かな時間。
主将が言う。
「明日勝てば甲子園」
誰も笑わない。
その言葉の重みを知っていた。
塁は窓の外を見る。
夕暮れ。
あと一勝。
甲子園まであと一勝。
だが。
簡単ではない。
相手は。
九州第一高校。
昨年の決勝でも戦った宿敵だった。
最後の夏。
最後の福岡決戦。
運命の日が近づいていた。
第81話 終
コメント
1件
天海カオルさん、第82話拝読しました! 福岡大会、順調に勝ち上がってきた柳城高校ですが、準々決勝の西海学園戦は緊迫した好試合でしたね。3-2の接戦、特に七回裏、史陽選手の盗塁から勝ち越しの流れを作る展開が「甲子園っぽい」と言う通り、野球の醍醐味が詰まっていて熱くなりました。 そして博多商業戦での打線爆発、7-0完封!舞さんが「本当に強くなったなぁ」と呟くシーンにグッときます。最後の決勝、九州第一高校との因縁の対決。あと一勝、という静かな緊張感がとても良いです。