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嘘だと思ってました、今でも辛い
──里見弴の証言
その日は、雨でした
梅雨、というとお兄ちゃんが心中したのも同じ頃でした
だから、この時期は苦手です
その日、10時ぐらいになったのにお兄ちゃんはまだ起きないから寝てるかなと思って起こしにいきました
でも、返事はなかった
この時点で気付けばよかったと今も後悔している
その後、お昼頃に司書に呼び出されました
誰かの…魂の反応が無くなったとかでした
緊急撤退した潜書メンバーは誰も絶筆してなかったですし、太宰も、芥川も、織田作(ヒロポンを愛用してたらしいとこの時知った)も死にたがってる人は全員生きていました
じゃあ誰がしたのでしょうか?
この時、僕の頭にあったのはそれだけでした
「なんで…こんな時に武郎兄が…いないの…?」と
その一言で直哉兄が気づいた
僕ら3人は走りました
まさかとは思いました
守るって誓ったお兄ちゃんがするとは思えない
すれ違った乱歩さんの顔は…嫌なモノを見た後でした
部屋に入った瞬間…足元が血だらけでした
そして…有島武郎は…お兄ちゃんは…お亡くなりに…
どうして守れなかった
どうして気づかなかった
どうして
どうして
どうしてお兄ちゃんを!
自責の念だけが残る
気づいたら泣き出していた
またできなかった
また置いてかれた
もう僕は何をすれば良いの?
守れない、守られるだけの人が何したって意味ないじゃん
ねえ返して
僕のお兄ちゃんを
それから僕は引きこもりがちになってしまった
武郎兄がいない世界に僕は不要だ
knockされる
嗚呼また志賀が来てる…
「元気出せって!そんなメソメソしてるとオメーのにいちゃんは死んでも死にきれねえぜ!」
それ、何回言うんだよ…
もうやだよ…
今日も味のしないご飯を食べる
どうせ後で吐くのになんで食べてるんだろ
あーあ、もうやになっちゃう
外から武者さんと徳冨さんが畑仕事してる声がする
ああ僕はいつになったら笑えるのだろうか
補修室の天井、消毒の匂い、もう何度も聞いたやめて
無理だよ…
ねえ誰か…
あの時は取り憑かれたかのように薬物摂取していた
もう一度会いたい
その想いから
でも、致死量寸前まで薬物飲んで、死ぬ寸前を太宰君が止めてくれたことでやっと世界に色が戻った
「アンタの兄さんはそんな死に方望んでたのか?」
「違うだろ」
死にたがりの君にそんなこと言われると思わなかったよ
「…って、井伏が言ってた」
「行ってこい、渡す物があるらしいぜ」