渡辺side
気分が重い、ずっとずっと
今までも、こうして落ち込むことは色々とあったけどなんとかやってきたのに、今回はやたらと引きずる
大好きなサウナに行っても、焼肉に行っても、全く効果はない
モヤモヤとしたまま家に帰ってきて、どこか上の空のまま、SNSを見たりブログを書いたりして時間が過ぎていく
ダメージが大きいのは、長年の恋が何も言えずに終わったからなのか
でも、伝える勇気なんてゼロだ
振られることは100%分かってるけど、決定的な一言を告げられると思うと生きた心地がしない
それに優しいあべちゃんのことだから、すごく申し訳ない顔をされるのは容易に想像できる
そんなの、絶対に嫌だ
別れるのを待つなんてこともしたくない
2人の幸せそうな姿を見て胸が傷むのは確かだけど、恋愛うんぬんの前に2人ともが大事な仲間だから、幸せでいて欲しいのも本当の気持ちだ
それに佐久間がいい奴なことなんて俺だって充分に分かってるし、あの2人が喧嘩をすることなんて想像が付かない
というか、喧嘩されたら、それはそれで普通に困るし
仲良くないあべさくなんて、俺にとっても需要がない
よく分からない方向に思考が飛びながらも、やっぱりあべちゃんの笑顔を思い出して胸が痛い
寝てしまおうと思ってベットに潜り込んでも眠りにはつけず、ぼーっと部屋の窓から夜空を見つめる
都内じゃ星なんて見えないよな、という小さな呟きも静かな部屋には大きく響く
ふいにめめの声が聞きたくなった
こういう時、めめはいつも傍にいてくれた
自分から距離を取ったくせに、とすぐさま自分を責める声が頭の中に響く
そうだよな、調子が良すぎるよな
大丈夫って自分が線引きしといて、勝手に気まずくなって距離を取って、落ち込んで寂しくなったら、会いたいなんて
周りからの愛を人一倍求めるくせに、誰かと近くなりすぎることを怖がって
自分の面倒くささが本当に嫌になる
寂しさに蓋をするように、無理やりに瞼を閉じる
浅い睡眠を繰り返して、漫然と夜を越した
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