梶保 結花 かじほ ゆか
黒倉 影琵 くろくら えいひ
◁ATTENTION▷
・死ネタ百合
・恐らくバッドエンド
・倫理観はない
× × ×
最愛の貴女は呆気なく散ってしまった。美しくも儚く。そんな貴女に──⋯。
× × ×
私は死化粧師だ。常日頃亡くなった方を相手する。仕事内容は至ってシンプル。亡くなった方を綺麗に飾る。シンプルに、美しくを大切に。
冷たい肌に少しづつ明るみを足してゆくとまだ生きているかのように美しく化ける。親族の方も複雑ながらも最期に顔が見れ懐かしさと淋しさで涙を落としていく。
──だから、私はこういった習慣が大好きだ。同時にこの仕事に誇りを持っていた。
その日も私はいつも通り仕事をこなしていた。空が紅く染まりだし、私は帰りの準備を始めていた。
もうすぐ職場を離れる、といった時に携帯に一通の電話が鳴った──病院からの電話だった。
× × ×
私はなるべく早くと駆け足で病院へと向かった。
「っ──ふ、あ、あの─結花は──」
息を整えつつ、とある病院の一角で私は言う
「……非常に残念ですが─」
医者は重々しく私に告げた。彼女の顔には打ち覆いが…その意味は──言わなくても分かる。ただ彼女が死んだと。一つの事実を伝えるには十分すぎた。
「………すにません、二人だけに、させてください。」
そう言うと医者は同情との眼差しとで重い扉を開いてこの部屋から出ていった。
× × ×
二人きり。小さな箱の中。電灯が乳白色に箱の中を照らしていた。
心に決めていた貴女はとても強く、芯がある憧れの人でもあった。でもそんな貴方も一人の人間だ。呆気なく散ってしまう。
駄目だ、と。駄目だと分かっていた。でも私はいつもの化粧道具を鞄から取り出した。
彼女は美しかった。まるでまだ生きているかのように…あぁ、駄目だ。君との思い出が脳内に浮かんで浮かんで。視界がだんだんと歪んでいくのがわかった。
大好きだよ。死んでも…死んでいても貴女のことを愛すから。
「天国で会おう、約束だから─」
それが彼女に贈る最期の言葉。
『もちろん』
といつもの憂いに帯びた彼女の声が聞こえた気がした。絶対だよ、と呟くと窓辺の一輪の花がふわりと風で揺れた。彼岸の花だった。
End___
コメント
5件
好きぃぃぃぃ…!!!!((( 花言葉がオシャレすぎる…()
アァスキ…(※熱が下がったのでコメントしてます) もうね…好きしか言えない(??)
彼岸花には「また会う日を楽しみに」、「想うはあなたひとり」といった花言葉があるそうです…✾