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#転生
コシ
103
耀聖(ようせい)
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『偽りの無能、真の覚醒〜転生皇女はすべてを奪い返す〜』
国境の砦を襲撃した本物の魔族を、私はただの一撃で、
跡形もなく粉砕した。
しかし、消滅した魔族の残滓が空中へと残した不気味なメッセージ――
『また会おう、シャルロット』
の文字が、私の胸に冷たい棘のように突き刺さったままでいた。
「ローゼマリー、体調はどうだい? 無茶な魔力の使い方をして、
身体に障っていないか?」
帝都へと帰還した翌日。皇宮の奥深くにある、
最高位の皇族と一部の魔導師しか立ち入りを許されない
『禁忌の地下書庫』。
山のように積まれた古い古文書を前に、アルベルトお兄様が私の顔を覗き込み、ひどく心配そうな声を出す。
「ええ、お兄様。私の魔力は完全に最適化されていますわ。
それよりも……国境の魔族が残したあの言葉が、どうしても引っかかるのです」
私がそう言うと、アルベルトは手元にある分厚い革張りの魔導書から視線を上げ、その美しい銀髪を揺らしながら深くため息をついた。
「やはり、君もそう思うかい。
……僕も気になって、国境の魔族の魔力特性と、
あの紅い魔言(メッセージ)の波長を徹底的に解析したんだ。
そうしたら、人族の歴史の裏に隠された、とんでもない禁忌に突き当たった」
アルベルトがおもむろに指し示した古文書のページ。
そこには、色褪せたインクで、禍々しい漆黒の角と
『血のように紅い瞳』を持つ一人の男の肖像画が描かれていた。
それは、私が数日前に魔導水晶越しに感じた、
あの底知れない狂気的な視線の主と完璧に一致していた。
「この男は……?」
私が息を呑むと、アルベルトは声を潜め、
凍りつくような冷徹なトーンで告げた。
「彼の名はディルク。……今からちょうど100年前、
大陸の半分を焦土に変え、当時の人族を滅亡の寸前まで追い込んだとされる、伝説の『魔王』だ」
魔王、ディルク。
お兄様の話によると、100年前に当時のガルディニア帝国とバロア王国の始祖たちが命を賭して戦い、大陸の最北端にある『永久凍土の古城』へとようやく封印したはずの存在だという。
「封印されたはずの魔王が、なぜ今になって目覚め、
しかも私の前世である『シャルロット』の名を知っているの……?」
疑問が次々と頭を駆け巡る。
前世の私は、バロア王国のしがない悪役令嬢であり、
魔法無能と蔑まれていたただの人間だ。
100年前の魔王と接点があるはずがない。
すると、アルベルトはさらに古い、バロア王国の建国史に関する隠蔽された記述をめくった。
「ローゼマリー、君が前世で持っていた、測定不能と言われた本当の魔力の波長……。
あれは、ただの突然変異じゃない。バロア王国の初代聖女であり、
100年前に魔王を封印する決定打となった女性――『聖女シャルロット』の魔力と、完全に同一のものなんだ」
「……え?」
頭を強く殴られたような衝撃が走った。
私が前世で「シャルロット」と名付けられたのは、
ただの偶然ではなかった。
バロア王国の王族の血筋の奥深くに眠っていた、100年前の聖女の魂が、私の中に巡り巡って転生していたのだ。
つまり、あの紅い瞳の魔王ディルクは、
自分を封印した100年前の宿敵(聖女シャルロット)の魂が、
現代にローゼマリーとして生まれ変わったことを察知し、執拗に狙ってきているということになる。
「なるほどね……。すべての点と線が繋がったわ」
私はふっと、冷酷な笑みを唇に浮かべた。
私の胸の奥で、前世のシャルロットとしての記憶と、
100年前の聖女としての因縁が、パチパチと音を立てて共鳴していくのを感じる。
「ローゼマリー。魔王の力は、先日の魔族とは文字通り次元が違う。
奴が完全に復活すれば、この世界そのものが崩壊しかねない。
皇帝陛下にもすでに報告を入れた。帝国は総力を挙げて君を守る。
だから、君は――」
「いいえ、お兄様」
私はアルベルトの言葉を遮り、毅然とした態度で立ち上がった。
深紅の薔薇のようなドレスをなびかせ、紫の瞳に絶対的な強者の輝きを宿す。
「奴が100年前の魔王だろうと関係ありません。
私は今、最強の皇女ローゼマリーとしてここにいます。
私の大切な新しい家族と、この幸福な居場所を脅かすというのなら……、100年前の聖女がやり残した『完全なる消滅』を、この手で執行してあげるまでですわ」
その瞬間、地下書庫全体が、私の圧倒的な魔力圧によってガタガタと激しく震動した。
世界を滅ぼす魔王が相手だろうと、今の私には一切の恐怖などない。
あるのは、這い出てこようとする悪意を極限の氷で粉砕してやるという、
冷徹なまでの決意だけだ。
「……やはり、君は僕の自慢の妹だね」
アルベルトはおののきながらも、実に見事な、そして不敵な笑みを浮かべた。
「分かった。ならば僕が、その魔王討伐の道をすべて整えよう。
まずは、魔王の復活を阻止するため、奴の力の源を絶つ『封印の楔』を探す必要がある」
因果の歯車は、いま完全に回り出した。
カイルたちへの復讐を終えた私は、
世界を揺るがす伝説の魔王を叩き潰すため、
次なる戦いへとその一歩を踏み出すのだった。
コメント
4件
なんか国語がすごくできそうだね??? 語彙力がすごいね??? 私国語オワテルからすごい、、!
うわ、一気に世界観が広がったね。100年前の魔王と聖女シャルロットの因縁が、ローゼマリーの前世に繋がってたのか……しかも「偶然ではない名前」って設定、めちゃくちゃ好きだよ。伏線が回収される快感がたまらない。それをお兄様が丁寧に紐解いてくれる構成も分かりやすくて、そこから「今の大切なものを守るために魔王ごと粉砕する」って決意に繋がる流れが気持ち良すぎた。設定の整合性に唸る一話だった!