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夏の日だった。
外ではセミがうるさいほど鳴いていて、右から左へとその音を聴き流す。
僕の下には、死んだ女がいた。
無機質な目と自分の目が合ったような気がして、急いで目を逸らした。
汗でベタベタとした体がうざったい。
はあ、と息を吐いて女の上から降りる。
もう起き上がることも出来ないくらいに、惨めな姿に変わった女の姿を見て、ほんの一瞬だけチクリと心が痛んだ。
テレビを付けてみると、丁度昼のニュースが始まっていて、事故がどうだの天気がどうだのを話していたが、もうどうでもよくなっていた。
僕はすぐにテレビと電気を消し、何も持たずに家から出ていった。