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饅頭
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#風見裕也
#降谷零
「やはりな」降谷は鑑定書を見て頷く。
「何か?」と目を細める風見の肩を見て、首を振る。
「僕は定期的に薬を盛られてるな」
「えっ」風見は眉をひそめた。誰に?と聞こうとした。愚問だ。
「睡眠薬」ぴら、とグラフを指差す。
「飲んだことは?」と風見は聞かれ、首を振る。
「ひどい眠気が残るんだよ。目は覚めても、まるで風邪引いたみたいにからだが重い」
「彼女が降谷さんに薬を盛る理由は?」
風見は素直に尋ねた。
「そんなのは…言えない何かを、やってるんだろ……」
「降谷さん」と風見は静かに横から言う。
「あなたを信用していない、ということはまずないですよね?選択肢から外していいですよね?」
「じゃなきゃ困る」と目だけ動かす。
「ならなぜ?」と風見は困ったように聞く。
「それは…」降谷は前を見た。「僕が1番知りたいさ……」
高木は叫んでデスクに突っ伏した。「うるさいよ」白鳥が普通に書類を重ねる。
「だって白鳥しゃん…」うう…と高木は目を閉じる。「碧斗くんの誘拐の件だって…どれだけ報告書あげなきゃいけなかったと思ってるんれすか…」
ず、と白鳥は珈琲を飲む。
「仕方ないだろ」とん。と書類を差し出す。「…公安から指示されている分が狂ってるんだから」ほら見ろ、とばかりにコップをあげる。
所轄、の字の下は皆幽霊のような虚ろな動きしかしない。
「あう」額に手をやり、佐藤の席を見た。手伝うと言ってくれたが、彼女も寝ていないだろうし断った。彼女は他の刑事にも声をかけたが、皆同じだった。
「だめだっ」がたりと席を立ち、高木は帰る支度をする。「おい。逃げる気かよ?」と千葉が椅子を引いて出てくるが無視した。
「眠くて頭変になります。なってるんですよ!今僕に絡まないでくださいっ」
廊下ですれ違う知った交通課の面々に、挨拶もせずつかつか歩いて行く。
「なあに?高木くん…」
「機嫌悪そうでしたね…?」
「お箸…」と言うコンビニの店員に何も言わず首を振る。
がさっ、と袋をもぎとり早足で家を目指した。
あぁもうーー!本当なら佐藤さんも非番で電話くらいできたのにーー
ふわ。と目の前を出てきた碧い髪に、高木は口を開ける。
「ふふっ…」目の前から手を伸ばされ、高木は抱き締められ固まる。
「は!?」
「こんなところにいたの?ハニー…」
ちゅ、と頬にキスされ、ますます意味がわからずどさ、と袋を落とした。
「ーーつけられてるんだ」
耳元で言われてようやくはっとする。
「ふりでいい。どこへ行く?」
「う…」家に…と高木は辺りを見回して言う。
「ならそのまま…」名前は袋をとり、高木に思いきり腕を絡ませて微笑む。
「ええっ!」園子が道の向こうを指差す。「ええっ!」蘭も同じようにする。
「オーマイ…」と世良が首を振る。
「高木刑事と名前さんだ」コナンは言う。
「っていうかさ?あのプールの怪我…」
「うん、ね。大丈夫だったのかな」
「今はまったく大丈夫そうじゃないか」と鞄を背に世良。
「大丈夫だよ」
とっくに。とコナンは顎を引く。なぜ彼女が高木刑事に近づくんだ?
「ポメラニアンだから…だけど高木刑事…」
「ポリアモリだってば園子…だけど」
女2人は顔を合わせ、指差した。
「佐藤刑事がいるのに高木刑事…サイテー!」
はあ、とコナンは頭を下げた。
帰宅するなり、名前はつかつかあがっていく。「ちょっ…!」高木は靴を揃えてからバタバタ同じようにした。
勢いよく名前はカーテンを開ける。ベランダにあるバジルを見て、ふっ、と笑った。
「悪いな」肩越しに言われ、高木は首をかしげる。ばっ!と上着を脱ぐ彼女に「だあっーー!」赤くなりながらそれを止めようとするが遅かった。見ないようにして慌てて適当にシャツを出す。
「き、着てっ…」片手で顔を覆ったままそれを押し付ける。
「どうも」と名前がにやりとしたのが声でわかった。
はーっ!とバクバクする心臓を押さえる。「き、着ました?」声がひっくり返っていた。ぎ、とベッドが鳴る。
「うん」
「誰につけられーーあぁっ!」高木は再び顔を覆う。「なん…」「彼氏の家で無防備にいないほうが不自然だろ」
「彼氏っ!?」
思わず名前を見る。彼女は肩がさがったシャツを着て、下ははいていない。脱ぎ捨てられた上着とスカートがベッドの下にある。
だ、誰か助けて…!
高木は叫びたくなる。
「お願い」と名前は声を変えて、一瞬窓の外を見た。「誰かにつけられてる。それを知りたいの……だから恋人のふりをして」
「ふりって……」
佐藤の顔が浮かび、高木は首を振る。
「わかってるけど」とまるで聞こえたように彼女は言う。「これは【事件】」にや、とまた彼女は笑う。「あなたは…刑事。そうでしょ?」
「っ…」
「わざとカーテンを開けた。ベッドがよく見える。だから来てーーあなたが私の恋人だとわかれば何か向こうから動きがある!」
「で、でも…」
「いいから言う通りにして」
高木の腕を引き、彼は目の前にきた。
ふっ、と息を吸い込むのがわかる。
「いっ…!」する、と腕をまわしベッドに引き上げる。
どさり。と2人とも倒れた。
なんて碧い目なんだーー高木は素直に吸い込まれそうになる。
「上に」きっ、とその瞳は鋭くなる。
「写真を取らせたい」
「ああっ!」高木はもう寝不足と急に現れた女でやけくそになる。
「首に顔を埋めて…」
す、とやると頭を抱かれてびくっ、としてしまう。
「力を抜いて…」する、と足が腰にまわり、「わあっ!」がばっと起き上がってしまう。名前は困った顔をした。
「風見よりひどいな…ちゃんとやって」
手をつかんでふんわりした胸の上に置かれて、高木はもうブンブン首を振る。
「やる!」ぐっ!と手を掴み名前は丸く回した。「あっ」「ーー!」
名前はわざとのけぞって顔を窓に向ける。
「…脱がせて」
「っむ…」
「無理じゃないーー」名前は低い声で言って起き上がる。「脱がせたらカーテンを閉めに行け。不自然じゃない…」
しばらく高木と見つめ合ったあと、彼はぐっと目を閉じてがばっと上にシャツを引っ張りあげる。
「もうっ…」だっ、と走りカーテンを引いた。「じょ、冗談もいいところですよ!」真っ白な背中に怒鳴りかける。
「聞いてます!?」と言う高木を見ずに、名前は前を見据えた。
FBIはすでにわたしを拉致しに降谷のところにやって来たーーだからわざわざつける必要はないし…アメリカ、もしくは他国の他の機関だとしたら、検討がつけられない……。
「兵器がほしい国など山のようだからな…」
「は?」高木は首をかしげる。
だが、と高木をベッドに引っ張り落とす。
上に乗り、寝転がった。耳まで真っ赤だ。
……これ以上、自分のせいで降谷と風見を危険にはさらしたくない……。
約束しろ、必ず帰ってくると…
あの手をとった責任は自分でとる。
「しばらくここに置いて【だんな様】」
「っはああ!?なに言っ……!」がっ、と高木の口を掴み、電話をかける。
「…風見」と言って左右に揺れる男を見た。「新しい【だんな様】を見つけちゃった。ふふふっ…」前髪が垂れる。「しばらく帰らないーー」
相手が誰か、わかるまで……。スミスは言わずに電話を切った。
コメント
2件
ありがとうございます!
わあ、第31話、めちゃくちゃ面白かったです……! 特に高木刑事が名前さんに翻弄されっぱなしなのが可愛くて切なくて、胸がぎゅっとなりました。降谷さんが薬を盛られている真相も気になりますし、「だんな様」発言のあの電話、風見さんの反応が想像できて笑ってしまいました。ベッドの上の心理戦、すごく丁寧でドキドキしました。続きが待ちきれないです!