そうすれば、今後もしょっちゅう会っていられるし、徹をどこかのもっと金持ちでもっと美しい他の女に取られてしまって、美鈴の息のかかる場所から連れ出されてしまうよりは私と結婚させて美鈴の監視下に私も徹も置いた方がいいと思ったのだ
いかにも冷徹で薄情に徹が、実は美鈴の言いなりだということに、私は次第に気付きはじめた
私は自分が徹に裏切られていたと言うより父の方が気になった、もし私が悲しい気持ちになったとしたら、それは自分のためと言うよりも父のためだろう、不思議と涙は出なく心は乾いていた
私はあの家を出て父の嫌がる男と結婚して父に復讐してやりたいと思っていた
でも・・・父をこんな目に合わせるつもりではなかった、父の心を引き裂くようなことは美鈴にさせたくなかった、父がどんなに切ない心で美鈴に全てを捧げていたか、私は自分の目で見て知っていた
いつも父は美鈴が自分を捨てないか怯えていた、美鈴が同じように自分を愛してくれているかどうか父には確信がなかったのだろう・・・父は常に美鈴の言いなりで不安定だった
しかし美鈴が父をまったく愛してなく、他の男を愛していて、父が死ぬのを待っているなんて知ったらどんなに打ちのめされるだろう・・・
私はこの事は永久に父に知られたくないと思った
徹には不思議と腹が立たなかった、彼は美鈴の言いなりに過ぎない彼が私を愛してくれていないのは当然だった、だって私も彼を愛していないのだから
これから先・・・この美鈴の裏切りを決して父に知られてはいけない・・・
環状線は7週目に入っていた
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