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ちょっと死んでくる> =͟͟͞͞( ◜ω◝ ) ꒰ঌ尊死໒꒱
もうこの世に未練などない((爆死
【ATTENTION!!】
このお話は、漫画『ヘルドクターくられの科学はすべてを解決する』の、さらなる二次創作以上な派生創作物です。
実際の登場人物、結社、団体、呼称は似ている気がするだけです。実在の人物、団体等とは、一切関係ありません。
また、登場人物、団体等において、解釈違いが起こることもございますが、そういうものという広い心の持てる方のみ、先へとお進みください。
※科zm×科em💚🤎
※性的描写あり🔞
※暴力表現あり🔞
※流血表現あり🩸
ここまでの注意書きを理解した上で、少しでも『無理(ヾノ・∀・`)ムリムリ』と思われた方は、必ずブラウザバックをしてください。
テロリストの拠点の一つとなっていた廃ビルがある。
なっていた。
つまり、過去形だ。
テロリスト達は殲滅した。つい小一時間前ほどに。
たった二人…いや、たった一人の『最大の脅威』によって。
虚無となったハズの廃ビルの一室から、声が聞こえる。
苦しそうな、切なそうな、それでいて甘美な声。
「…ぃ、いやや…、もっ…ゆる…してや…、ゾム…ッ!さンッ!」
「アカン、許さへん」
「後生や…、堪忍したってや…ッ! ア!ひぃッ!」
「許さへん。許さへんからな、エミさん…」
武器商人のエーミールは、ちょっとした失策から、護衛のゾムと共にテロリストのアジトに捕らえられ、拷問を受けていた。
肉体的苦痛の伴う拷問は、キライだ。とはいえ、商売柄身近な行為であることは、致し方ないとは思っている。
エーミールがゾムより先に目が覚めたのは、恐らく毒に対する耐性ゆえだろう。仕事上、エーミールはどうしても服毒耐性をつけねばならなかったので、『彼ら』から飲まされた毒の効きはゾムより弱かった。
ただし、それが必ずしもいい方ばかりに転がるわけではなかった。
テロリストの尋問係の標的になったのは、エーミールだった。
先に起きたから。
随分頭の悪い安直な理由だ。
数分もせず、ゾムが目覚めた。
暴行は殴る蹴るだけではなかった。二人の見張り役は、交代でエーミールに性的暴行も加えていた。
暴行を受けている雇い主の名を叫ぶと、尋問係達の何かしらのスイッチが入ったことが、間近にいたエーミールにひしひしと伝わってくる。
が、それ以上に、ゾムの殺気が強い。
テロリストと黒幕である取引先の事を徹底的に調べ上げていたエーミールだからこそ、今の状況になることは容易に想像できた。だがそれで『味方』にまでスイッチが入るとは、エーミールの思考の枠にはなかった。
相方の眼前で凌辱されるというのは、覚悟はしていてもやはり辛かった。
ひどい光景見せつけてゴメンなぁ。お詫びに今度、A国のごっつい無修正エロ動画DVD詰め合わせあげるから。それで手打ちして?
慣らすことなくぶちこまれた尻の痛みに、エーミールの思考は明後日の方向へ飛んでいた。
『教授!』
全てを焼き尽くすマグマのような怒りを孕んだ怒声に、エーミールは我に帰ることができた。
エーミールができることは一つ。
『ゾムさんッ!』
たった一言。
だがこれこそが、彼らの反撃の合図だった。
ゾムの仕事は神速だった。
エーミールを凌辱していた二人を始末し、逃走経路確保という名の拠点殲滅をあっという間に済ませたのだった。
「さすがです、ゾムさん。殲滅は…まあ予定外でしたが」
「援軍が来るかもしれません。急いでここから離れましょう」
ゾムの仕事を褒め、撤退を促すエーミール。乱れた服を直そうとするエーミールの腕を、ゾムが力を込めてガシッと掴み上げた。
「いた…ッ! 何の真似ですか、ゾムさんッ」
「…でや…」
「……え?」
「なんでや…何であないなことされて、そんな冷静でいられんねん…」
「ゾム…さん…?」
「いやや! 俺、アンタんこと守れんかった上に、あんなん見せつけられて…ッ」
掴まれた腕を捻られ、エーミールは床に倒されると、彼の上にゾムがのし掛かって抑え込む。
「なに…を……ッ」
「いやや!許さへんッ!教授を…エミさんが他の男受け入れるなんてッ!」
ゾムの叫びを聞き、エーミールは愕然とした。
エーミールとゾムの関係は、雇い主と護衛。
確かに肉親以上に付き合いは深いが、肉体関係は考慮したことすらなかった。
商売柄、時には淑女のお相手をすることもあるし、取引先からの報酬としてゾムも含めて美女が宛がわれることもある。その場合、ゾムもかなり満更ではない様子だったので、ゾムが男に興味を持っていたとか、微塵も考えたことはなかった。
しかし何で矛先が私?
「ゾ、ゾムさん、落ち、おちついて!ほ、ほら、予定外の殲滅戦なんてしたから、興奮が収まらんとちゃいますか?」
「と、とりあえず、一旦この場離れましょ?!危険ですから!ね?!」
「まず落ち着きましょ?」
ゾムを落ち着かせようと説得を試みるエーミールだったが、逆にその冷静な判断がゾムをイラつかせた。
「何でそんな冷静でいられるんや!エミさんは!」
ゾムの拳がエーミールの顔面に向かって振り下ろされる。
あ。終わったわ。
エーミールが死を覚悟した瞬間、ゾムの拳は軌道をそらし、エーミールの真横を通り抜けコンクリートの壁にめり込んだ。
命は助かった。
だが、最大の脅威から逃げられない。
「ゾムさん…?」
「いやや!エミさんが…俺のエミさんが、傷つけられるん……見たないッ!」
怒気を孕んだゾムの怒声。
だがそれは、今にも泣きそうな、縋る者が見つからない、迷える幼子のようにひどく不安そうで今にも消えそうで。
どちらかと言えば、普段はゾムの方が冷静沈着で、的確に職務を遂行している。
だから、子供のように理不尽に泣きわめくゾムの姿を、ここまで間近にしていても、にわかには信じられなかった。
引っ掻き傷。火傷跡。手術痕。銃創。鞭の跡。刀剣による切り傷刺し傷。電流柵、有刺鉄線の跡。……。
どんな人生送ったら、こんなに傷だらけになるのか。
ゾムの身体も、もちろん傷は無数にある。だが、ゾムは兵士で、エーミールは商人。
いくら闇の世界の住人とはいえ、ここまで傷がつくものなのか。
ゾムは歯をギリ…と鳴らした。
怒りのゲージが更に上がる。
今までエーミールを傷つけたもの達に。
自分を傷つけることを是としてきたエーミールに。
一番大きく、一番目立つ胸から脇腹にかけての刀傷に目を付けたゾムは、ゆっくりと傷痕に舌を這わせた。
ぞわぞわする感覚に、エーミールは身体をビクリと震わせた。
「この傷は…誰が?」
「…大昔…。C国の…スパイ狩りで…」
震える声で答えるエーミール。
本能的に、嘘をついてはマズイという警告を察知し、覚えている限りの事は正直に話すと決めた。
「フーン。確かにこの傷は、C国の軍人さんが持ってる刀による傷やね。うん、間違いナシ。正解」
「はい。ご褒美や」
エーミールの傷痕に、ゾムは優しいキスを落とす。
上機嫌なゾムの正解の言葉に、エーミールは安堵の溜め息を小さく吐いた。
ゾムほどではないにしろ、エーミールも修羅場を重ねている。兵士ではない裏方ゆえの危険な綱渡りなど数えきれないほどあった。 当然のように傷は増えていく。些細な傷など思い出にすらならない。
それゆえに、突如始まったゾムとの傷当てゲームは、回答不能や不正解も多かった。
間違えたり答えられないと、ゾムは容赦なくその傷痕に噛みつき新たな傷痕を残す。
エーミールは、こんな茶番を早く終わらせたかった。
仲間からの連絡が途絶えたテロリストの拠点。不穏を感じた奴らの仲間が、いつ踏み込んでくるかわからない。
だとしても、ゾムはこの遊戯を止めないだろう。
頼もしい『テロリスト最大の脅威』は今や『エーミール最大の脅威』となってしまった。
突如ゾムは、エーミールの傷痕ゲームに飽きたようだ。
当のエーミールが自分の怪我に無頓着すぎて、自分で分かっている傷は、片手で足りる程度しかなかったからである。
「つまらんな」
ふてくされたゾムの声に、チャンスを見たエーミールは、ずっと懸念していたテロリスト再襲撃の提案を告げようと痛む身体を起こそうとした。
その時、
「教授さぁ、もっと自分のこと、大事にしぃや? 雇い主ないなったら、また俺、迷子になってまうやん…」
息を吹き掛けるように、ゾムはエーミールの耳元で、そう囁いた。
「あんたは俺を捨てへんよな?なあ、エミさん…?」
甘い声での囁き。耳の中に吹き掛ける息遣い。すがるような相手への依存の言葉。
「あ、あ、…ゾム…さ…ん…」
エーミールの思考が、春の淡雪のようにじわりじわりと蕩けていく。
「そういやあのクソ野郎共さぁ、エミさんのケツにぶちこむ時、ほぐしも慣らしもナシで、いきなりぶちこんでたやん?やっぱ痛かってん?」
「あ、え、は、はひ…」
えもいわれぬ不可思議な甘さと恐怖、素肌をまんべんなく滑るゾムの指のせいで、エーミールはうまく口が回らなかった。
それでも自分の問いに答えてくれたことに、ゾムは満足げに口を大きく開け、破顔してみせた。
「そんなんされたら、ケツの穴裂けてまうやんなぁ!ほな、俺が診てやろ!」
「え?あ、ぁ、ぃ、ぃゃ…」
拒否権など、エーミールにはなかった。だがそれでも、言わずにはいられなかった。
「あ”?」
ゾムの声が不機嫌に染まる。
が、すぐに満面の笑みを浮かべ、エーミールに顔を近付ける。
「『いや』ってことはないよなぁ?だってエミさん、メッチャケツ痛い言うてたやん!なぁ!」
「大丈夫!傷はな、舐めればすぐに治るんやで!」
「ゑ。あ、は、はぁ…」
「よし、じゃあエミさん。俺にケツ向けな!」
分かっていた事ではあるが、この場においてエーミールには拒否権はない。
言われるがままに四つん這いになって、ゾムの前に尻を向けた。
「あ、あの…ゾムさん…無理にせんでも…あひぃん?!」
何度も説得を試みようとするエーミールだが、やはりゾム相手には通用しない。
おまけに、変な声まで出てしまって、恥ずかしすぎて死ねる。
「ひッ、やッ、やめッ、ましょ、よッ、ゾ…ッ、さん…んふぅッ!」
「そない気持ちよぅよがりながら、何言うてんの? ちょっ、エミさん!そんなねだるように腰ふらんといて?」
「は、はひッ、い、や、や…ッ!し、死んじゃうッ!は、はずッ!いッ」
「あのエミさんが恥ずかしゅうて死ぬ?なにそのかわいいセリフ。たまらんわ」
ゾムに穴まで丸見え状態でケツ突き出している状態というだけでも死にたくなるのに、その穴の襞ひとつひとつを嬲るように舌を這わせられる。
行きずりの相手やビジネスライク、今回のようなレイプを含め、一期一会の相手なら、掻き捨てる恥で済む。
だが、今回の相手は、よりによって相棒であるゾム。
長年一緒にいた相手だからこそ、こんな醜態を晒すのは
「いややぁ…、ゾムさん…、も、許してぇ…」
「何もう根をあげてんねん。こんなヒクつかせといて。女かて、もうちょい我慢できるで?」
「いややもぅ…やぁ…」
エーミールが小刻みに身体を震わせ、ふるふると震える肉棒の先端から、ダラダラと白濁した液体が溢れ、床に滴り落ちる。蕩けきったような顔と声で、ゾムに終わりを懇願する。
腕を突っ張って維持していた四つん這いの姿勢も、ゾムが腰を支えていなければ維持できないほど、エーミールは弛緩していた。
「ようやっと力抜けてきおったな、エミさん、せやけどまあ、いきなりブチこまんよ。辛かったんやろ?アレ」
ゾムは笑ってそう言うと、エーミールを抱き上げ、弛緩した身体を抱き寄せた。
すっかり蕩けきったくすんだ紫色の瞳は、虚空を漂わせながらもゾムの方へ向けようとしていた。
「ああ、エミさんって、こんなかわいかったんやなぁ…。今まで見て見ぬふりしてきたけど、エミさんホンマかわいい…」
恍惚とした、それでいてどこか狂気を孕んだゾムの台詞。
エーミールの脳内で警鐘が鳴り響くが、逃げる術も抵抗する術も、もはやない。
「エミさん…好きや…エミさん…」
そう呟くとゾムはエーミールの顎を掴み、食らいつくようにエーミールに口付ける。
体勢を変えられた。
ゾムはエーミールを背後から抱き直し、頬を押して自分の方へと向かせると、もう一度キスをした。
「ん、ぅ…ッ」
激しく舌を絡めるキスと、乳首を弾くゾムの指。
腰の辺りが鈍くもどかしく痺れる。
「ふッ、む…ぅんッ」
耐えられない。
押し寄せ続ける快楽の波に。身体が弾けて飛ぶような激しい快楽を求める。
何とか頭の片隅にしがみつくかすかな理性が、何かしらの警鐘を鳴らすが、理解できる容量は溢れ続ける快楽に侵食されていく。
「んッ、は、ぁ…ッ」
「かわええなぁ、エミさん!こないに全身でおねだりとか、エロいやん!」
長く深いキスのせいで酸欠になっているエーミールの頭に、ゾムの声だけが響く。
「こないエロい身体んなったの、何で?エミさんの中、どんだけの奴らのモンで満たれとんの?」
テンションの高い声でゾムが尋ねるが、狂気を含んだその言葉の意味を、酸欠のエーミールには理解できなかった。
「あ…」
とりあえず何か喋らなければと、エーミールの口が動く。その瞬間、ゾムはエーミールの前髪を鷲掴みにして身体を持ち上げ、がら空きの腹部に拳を叩き込んだ。
短い呻き声を上げ、エーミールは床に崩れ落ちた。
「やっぱええわ。嫉妬で狂いそうになってまう」
エーミールは激しく咳き込むと、たまらず胃からこみ上げるものを吐き出した。
誘拐されてから飲まず食わずだったので、吐き出された胃酸はエーミールの食道と口腔を焼いた。
身体に力が入らず、吐き出した胃酸の上に倒れこみそうになったエーミールの身体を、ゾムが抱き寄せた。
「大丈夫か、エミさん」
エーミールの口回りに残る胃酸を手近にあったゾムのパーカーで拭き取ると、ゾムは力強くエーミールを抱き締めた。
「ごめんなぁ。過ぎたことでエミさん責めてもしゃーないもんなぁ」
「エミさんだって、今回みたいに好きでしてたんとちゃうこともあったやろし」
ゾムによる甘い甘い囁き。
まずい。
短い経験則から、エーミールは理解した。
「エミさんの中、俺のモンでいっぱいにしてやんよ」
エーミールの身体を床面に突き転がすと、ゾムはエーミールの足を掴み、大きく割り開いた。
「ひっ…!」
先ほどまでゾムがねっとりと舐めていた肛門を、彼の指がこじ開けていった。
「大丈夫や。さっきの奴らの汚ねェせーえき、掻き出したるからな」
「エミさんかて、あいつらのモン、腹ん中入れっぱなしはイヤやろ?」
節くれだったゾムの長い指が、容赦なくエーミールの中に侵入し内壁を掻き回す。
「ぃ、あ…ッ! あひッ!」
掻き出したるから。
そう言った通り、一本、二本と増えていくゾムの指が、エーミールの中の残滓を掻き出していった。
こぽり…
と、エーミールの中から零れていく。
二度、三度と掻き出しても出てくる白濁の液体に、ゾムはほんの少し顔をしかめた。
思えば二人分の体液が、エーミールの中に注ぎ込まれたのだ。しかも、そいつらはゾムが戒めを解いて二人を動けなくするまで、何度も何度も、交代でエーミールを嬲っており。
「……アカンわ、エミさん。俺、やっぱアンタを許せそうにないわ」
「ゾムさん…?」
「エミさんが悪ないのは分かっとる。アンタは被害者や。アンタのせいやない」
「けど、許せへんねん!何でか自分でもわからん!八つ当たりや思う!」
「それでもやっぱり許せへんねん!」
「アンタが!他の男を!受け入れてたという事実が!俺はどうしても許せへんねん!」
そう叫ぶなり、ゾムはエーミールの中から指を乱暴に引き出し、興奮でいきり立つ己のイチモツをエーミールの中に容赦なく突き入れた。
「!! あ”ッ!あ”ぁ…ッ?い”…ッ!ひッ!」
質量の大きなモノを一気に突き入れられ、エーミールは目を見開き、喉を締め上げられたような声で悲鳴を上げた。
「なあ、知ってるかエミさん。チンコのカリってさ。先に中に入ってるせーえきを掻き出すためにあるらしいで?」
「よう知らんけど」
「せやから、俺のチンコで、エミさんの中のせーえき、掻き出したる」
「んで、エミさんの中、俺のだけでいっぱいにしたるから」
ゾムの動きは、のっけから激しかった。
ゾムが奥に突き入れるたびに、エーミールは短い嗚咽を洩らし、戦慄く。
「……ッ、ハァッ!気持ちええ!エミさんの中、最高やんけ!!」
「他の男がエミさん狙うのも、わかるわぁ!!」
「せやけど、もうコレは俺のモンやッ!俺だけの…ッ」
「せやろ?!なぁ!エーミール!!」
激しすぎる動きに、エーミールは声も出せない。息もできない。酸欠の魚のように、空気を求めてひたすら口をパクパク動かしているだけ。
ゾムが何を言っているかもわからない。ただ、早く終わって欲しい。
そう祈ることしかできなかった。
「……ッ!ふッ!う、ぉ…ぁあッ…」
ゾムが達したのは、思った以上に早かった。狂気レベルの興奮による激しい動きに、絶頂が早まったのかもしれない。
とはいえ、これ以上続けていたら、エーミールが酸欠で失神してしまっていたかもしれない。
「エミさん……エミさん……」
息を弾ませながら、取り憑かれたようにエーミールの名を呼ぶ。
ようやく呼吸ができる程度に落ち着いたエーミールは、必死になって酸素を取り込むのに精一杯だった。
「……エミ、さん…?」
何度も名前を呼んでも返事をしないエーミールに、ゾムは苛立たしげに声をかけた。殺気のような気配がエーミールの脊髄を走る。エーミールは瞬時に状況を理解した。
「ご、ごめんゾムさん…!呼吸できひんくて、苦しかったんや…」
「フーン…?」
「決して無視してた訳ちゃうねん。逆に…その…ゾムさん以外の事、考えられへんくて…」
半分嘘である。
無視した訳ではないのは本当。ゾムだけ、ではなく、何も考えられなかったという点が嘘。
長い前髪の向こうから、訝しげにエーミールを見つめる金緑石の瞳が、深淵の奥底を見透かしているようで。些細な嘘も見透かす眼光に、エーミールは必死に、静かに、抵抗した。
「フーン…。まあ、ええわ。俺だけの事しか考えられんくなったとか、ホンマ、エミさんかわええ事言うなぁ」
それはそれはにこやかに、長い前髪に半分隠れた顔いっぱいの笑顔をエーミールに向けた。
何とかやり過ごせた。
エーミールは内心で、胸を撫で下ろす。
「でも、嘘やろ?」
にこやかに。けれども邪悪にゾムの金緑石の瞳が光る。
『嘘やろ?』
見抜かれていた事に、エーミールは心臓が鷲掴みにされた気分になった。全身に冷水をぶっかれられたような。そんな感覚が、全身を包んでいた。
計算高いエーミールの思考が止まった。
「ええねんで、別に。だってエミさんメッチャ苦しそうやったし、だから早よ終わらせた方がええかなって、ちょい無茶してもうたから悪かったなって」
「そんなんでマトモな思考できるわけないって、俺でもわかるわ」
「でも、嘘でも嬉しいわ。俺のことしか考えられへんかった、とかな」
「でも、嘘は嘘なんだよなぁ…」
純粋で邪悪な笑み。
これ以上ない比喩を持ったゾムの笑顔。
「嘘つく子はお仕置きや」
エーミールの全身から、一斉に血の気が引いた。
未だ繋がっていたままだったエーミールの穴いっぱいに、はち切れそうになるほどゾムのモノが膨らんでいくのが、嫌でもわかった。
ゾムのワイヤーで両手首をまとめて縛られ、床に突き刺したナイフにワイヤーを引っ掛け、エーミールの両腕は頭の上に固定される。
何をされるのか。
訊ねることは、許されないだろう。それがエーミールの不安を更に煽り、呼吸が浅く早くなる。
不安を募らすエーミールを尻目に、ゾムは楽しそうにエーミールのネクタイを、シュルっと外す。
「エミさんさぁ」
ゾムの手が、エーミールの頬を優しく撫でる。
「さっきも言うたけど、俺、エミさんの嘘、嬉しかってんよ」
「俺のことしか考えられないとか、嘘でもかわええ事言うやん」
「でもな」
ゾムの声が急にトーンダウンした。
エーミールの背筋に、ぞくりと嫌な感覚が走る。
「やっぱ嘘はアカンと思うねん!」
そう叫ぶなり、ゾムはネクタイをエーミールの首に巻き直しキツく締め上げた。
「ガッ!? あッ…」
「今度こそ、ホンマに俺の事だけ考えてやッ?!」
ゾムに突き上げられる激しい快楽の波。気道を締め付けられ酸素を取り込むこともままならない。
生命に関わる危機に抵抗しようにも、両手は拘束され動かせない。
「…ぁ、ぁ…」
意識の糸が細くなる。
それでも…
「ぞ…むさ…」
「おっ。ちゃぁんと俺のこと考えとるんか? エミさん、ええ子やなぁ」
「ええ子にはご褒美や」
ゾムはエーミールの頭を抱えて引き上げると、エーミールの唇にキスをした。
混濁する意識の中で、それでもエーミールが自分の教えた通りにしてくれた事に気を良くしたゾムは、エーミールの気道を圧迫していたネクタイを弛めてやった。
「…ッ!はっ!はっ、ぁ…」
気道が戻り、一気に空気が戻る。体内に溜まった二酸化酸素を一気に吐き出し、浅く早く呼吸を繰り返す。
「エミさんの首絞めてた時さぁ、メッチャ俺のチンポ締め付けててな。すごかったで?チンポ千切れるかと思たわ」
ぞわ。
エーミールの頭に絶望が走る。
「い、いや……」
「な、なあ、エミさん。もっぺんやってもええか?」
子供のような純粋な笑顔。
言ってる事が最悪でなければ、ずっと見ていたい笑顔。
そう。ゾムの言ってる事は、エーミールにとって最悪なのだ。
あの苦しみをまた味わえと、子供のようにねだってくる。
拒否はできない。
それでも、それでもエーミールは、言わずにいられなかった。
「い、いやや…! それだけは…、それだけは…堪忍して…?」
あの冷徹で非情な武器商人が、自分の一言で怯える様に、ゾムは愉悦のようなぞわぞわした感覚を覚えた。
「もう…もう…許して…ください…」
「おねがい…」
エーミールの両の眼に飽和する涙。
潤んだエーミールの表情がまた、ゾムの加虐心を更に煽る。
「フーン…?」
考えるフリをするゾム。
こんなエーミールの表情を見せつけられたら、もっと虐めてしまいたくなる。
元よりまだ止める気はなかったが、エーミールの懇願で更に火が付いた。
「せやなー。エミさん、しんどかったやろぉ。ごめんなぁ」
ゾムはエーミールの頬を優しく 撫で謝罪の言葉をかけると、ネクタイの結び目をひとつ解いた。
思いの外あっさりと願いを聞き入れられた事に、エーミールは安堵と同時に一抹の不安を覚えた。
ネクタイの結び目は解かれたが、未だエーミールの首から外す様子はない。
不安が大きくなる。
ゾムはニヤリと笑うと、エーミールの首のネクタイを別の結び方に絞め直した。その結び方に、エーミールは絶望した。
エバンスノットやないか…!!
「でも、お仕置きはまだ終わってないねん」
ゾムは笑ってそう言うと、ネクタイを少し強めに引っ張った。
「あッ!ぐ…ぅ…」
「ハハッ。これなら、片手で簡単に絞められるわ」
「片手でエミさんの首絞めれるようになったから、もう片手空いてもたなぁ」
「せやから、コッチはエミさんのチンポ擦ったるわ」
首を絞められ、下からは突き上げられ、その上…
一度解放されたおかげで、苦しくはあるが意識はハッキリしていた。だからこそ、エーミールはゾムの提案に寒気を感じた。
苦痛と快楽は紙一重。
過ぎた快楽は、苦痛でしかなくなる。
そんなことはお構い無しに、ゾムは力なく項垂れているエーミールのモノを握り締め、擦りあげ始めた。
「いやや……いやや……」
「ぞむさ…ゆる…し…」
快楽と苦痛の荒波に溺れそうになりながらも、エーミールは必死にゾムに懇願する。
…アカン…もう…
呼吸も
快楽も
エーミールは自分の身体の感覚が、すぅっと離れて行きそうになっていくのがわかった。
もう、手放してもいいか…
そう思ってすべてを放そうとしたその時
み さ n!
誰かが呼んでいる、ような、気が
突如、ドン!という衝撃が、エーミールの胸部に響いた。
一拍置いて、何かの潮流が一斉にエーミールの中になだれ込む。
溺れる!?
いや、これは…
エーミールは全身全霊かけて叫んだ。
ゾ さん!!
ゾ
「がはッ! …ッはッ!」
「気がついたか、エミさん!」
「…はぁッ!…ゾム…さん…?」
エーミールの意識はまだ混濁しているが、ゾムがエーミールに心臓マッサージを施していたらしいのは、理解できた。
「すまんエミさん!やりすぎた!」
憔悴したゾムが叫ぶ。
声にあの狂気も子供っぽさもない。
どうやら、戦闘とセックスによる、ゾムの興奮の爆上がりスイッチは切れたようだ。
「どのくらい…、飛んでました?私」
「おおよそ40秒」
「それなら、脳へのダメージは、少なそうですね」
「ほな、動けるな」
そう呟くと、ゾムはエーミールを拘束していたナイフを抜き取り、部屋の入り口に投げつけた。
同時にエーミールもまた、両手首に巻き付けられたワイヤーを外し、ゾムの脇をすり抜ける。転がっていたカラシニコフを拾い上げると、ゾムの投げたナイフに刺された男とその背後の男に向かい、銃弾を掃射させた。
奴らが到着したのは、エーミールが蘇生してすぐだった。
人質のいるアジトからの連絡が途絶えたテロリスト集団送ってきた増援が、再びビルを制圧していた。
一度拠点制圧したはずの人質達が、脱出もせず呑気にセックスに興じているとは、テロリスト達も思ってはいなかっただろう。それだけに、反撃は予想外だったかもしれない。
ゾムが投擲したナイフは、突入をしてきた男の眉間を貫いた。異変を察知した仲間が突入をしようとすれば、エーミールのAK-47が掃射され、侵入者達は斃れた。
二人はすぐさま二手に分かれ、入り口の壁を背に張り付く。
ゾムが少しだけ頭を外に出し、クリアリングを行う。
「左右オールクリア。エミさん方向から階段駆け上がる音。四人」
「服着る余裕は?」
「諦めてどうぞ」
「全裸での戦闘は性に合わないんですよ」
「増援想定してない方が悪い」
「何度も何度も増援来るって言いましたよね!私!」
「シラナイニャー」
二人のいる階に上がって来たテロリストに、エーミールがAK-47を範囲掃射し、取りこぼしをゾムがTT-34で止めを刺す。
第一波を殲滅した後、エーミールはようやくスラックスを履くことができた。近付く喧騒と共に、ゾムが小さく舌打ちする音がエーミールの耳に入った。
「何ですか、今の舌打ちは」
「さぁ?」
すっとぼけた返答をする相方に苛立ちを覚えつつも、エーミールはジャケットを羽織り臨戦態勢に戻る。ジャケットどころかワイシャツのボタンを留めている暇もないが、こればかりは仕方がない。
襲撃の波の時間が、段々と短くなっているのだ。
「キリがないですね」
「ああ。増援部隊も増えとるわ」
「撤退ですね。壁に穴開けるしかないですが…。ゾムさん、何か爆弾あります?」
「手持ちはない」
「は?」
「さっき一辺制圧した時、ビル中に全部仕掛けてきた」
しれっととんでもない事を言い放った相方の方を向き、エーミールは目を見開きぽかんと口を開く。
が、すぐに愉快そうで邪悪な笑みをゾムに向けた。
ゾムもまた、同じ笑顔をエーミールに向け、スイッチ機器をエーミールに差し出した。
「使う?」
爆発が続くビルを背に、テロリスト達から強奪したジープに乗って、エーミールとゾムは速やかに現場を離れた。
「ハッハー!スッキリ!」
「やっぱり爆発はロマンですよねぇ!ゾムさん!!」
「おう!」
エーミールはジープのハンドルを乱雑に切りまくり、街中を縦横無尽に走り回った。
しばらく走り回ったが、追手の様子はない。
ゾムは助手席にどかっと座り込み、改めてエーミールの顔を見る。いつもの冷徹な武器商人の顔に、若干の愉快そうな笑みをのせて。
戦闘の時には、意外と愉しそうな顔をする。
学校では、問題児達相手に眉吊り上げて怒鳴ったり。
思てた以上に表情豊かやな、この人。
そして今日、エーミールの新しい顔をゾムは知った。
「なあ、エミさん」
「何ですか?」
「あんな蕩けきったエロい顔、いっつもしとるん?」
ゾムの忌憚ないぶっ込んだ質問に、エーミールは思わず急ブレーキを踏んだ。突如かかった制動にゾムは前方に飛ばされそうになり、あわててフロントガラスに腕を突っ張らせた。
「あっぶな!運転ヘタか、この三流ドライバー!」
返事はない。
運転手はハンドルを持ち、両腕の間に顔を埋めて突っ伏している。
「エミさん…?」
「そんな顔…してたんですか?私…?」
「? お、おん…」
エーミールの表情は見えないが、声が小刻みに震えている。
下からそっと覗いて見ると、エーミールの瞳孔は開きまくり、顔どころか耳まで真っ赤に茹で上がっている。
「エミさん…?」
「そんな顔…絶対しない…」
「いや、してたやん」
「うそ…マジ…?」
「マ」
ゾムの追い討ちに、エーミールは更に身体をハンドル下に埋め込んだ。
更に身体を伏せて微動だにしなくなったエーミールに、ゾムは意地悪そうに身体を寄せて、耳元で囁いた。
「エミさんの懇願する顔も、メッチャエロくてかわいかったで?」
「!!」
完全フリーズして動かなくなったエーミールの姿が面白すぎて、ゾムは更に質問を続けた。
「なあ、エミさんって、いっつもあんなエロかわいいん?」
「~~~~~!」
「どうなん?なぁ」
「…………よ…」
「ん?」
散々からかわれ、ガバッと顔を上げたエーミールは、半ばキレ気味に大声で叫んだ。
「ですから!ゾムさん相手が!初めてですよ!あんな醜態ッ!」
「マジ?」
「思い出させないでくださいよ!もう!」
口を尖らせ子供のように拗ねる顔。
これも初めて見る顔や。
ゾムは嬉しくなった。
他人には絶対見せない、ゾムだけが知るエーミールの顔。
何だか無性に嬉しくなって、ゾムはエーミールに飛びつき抱き締めた。
【終】