テラーノベル
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月曜日。
朝の教室。
玲が席に着くと、すでに星羅が来ていた。
「おはよう、玲くん!」
「……おはよう」
星羅はいつも以上に嬉しそうだった。
「ねえねえ!」
「何?」
「土曜日、楽しかったね!」
「ああ」
「また行こうね?」
「……ああ」
「約束!」
星羅は小指を差し出した。
「子供かよ」
「いいから♪」
玲は少し迷ってから、小指を絡める。
「……これでいい?」
「……!」
星羅の顔が赤くなる。
「う、うん……!」
ほんの数秒。
それだけなのに。
星羅にとっては、昨日のデートよりも嬉しい出来事だった。
――玲くんと指切り。
その事実だけで、胸がいっぱいになる。
「……ふふ」
「何笑ってる?」
「秘密♪」
授業が始まる。
しかし星羅は、何度も玲の横顔を見ていた。
昨日より近くなった気がする。
もっと近づきたい。
もっと玲くんのことを知りたい。
そして――。
もっと私を見てほしい。
昼休み。
玲が弁当を開くと、星羅が隣に座った。
「今日も一緒に食べよ?」
「ああ」
「はい!」
星羅が弁当箱を開く。
「今日はね、玲くんが好きなものいっぱい入れたの!」
「……俺の好きなもの?」
「うん!」
卵焼き。
唐揚げ。
そして小さなウインナー。
「……よく覚えてるな」
「玲くんのことだからね」
「そんな覚えるほど話してないだろ」
「私、記憶力いいから♪」
もちろん――嘘ではない。
星羅は玲の言葉を一つも忘れたくなかった。
「……いただきます」
玲が卵焼きを食べる。
「どう?」
「美味い」
「よかった!」
星羅は嬉しそうに笑う。
そのとき。
「天城さん」
男子生徒が声をかけてきた。
「今日の放課後、暇?」
「ごめんね。玲くんと帰るから」
「……また?」
「うん♪」
男子は苦笑して去っていく。
玲が星羅を見る。
「最近、断ってばっかりだな」
「だって……」
星羅は少し頬を膨らませる。
「玲くんといるほうが楽しいから」
「そうか」
「うん」
星羅は玲の肩に少しだけ近づく。
「玲くんは……私といるの嫌?」
「別に」
「……ほんと?」
「ああ」
「じゃあ、これからも一緒にいていい?」
「好きにすれば」
「……大好き」
「何?」
「なんでもない♪」
放課後。
二人で校門を出る。
星羅はいつもより玲に近い。
肩が触れそうな距離。
「玲くん」
「ん?」
「今日、寄り道しない?」
「どこに?」
「カフェ!」
「……いいけど」
「やった!」
二人で歩いていると――。
「玲!」
後ろから声がした。
玲が振り返る。
「……佐伯」
同じクラスの男子だった。
「今日、一緒にゲームする約束してただろ?」
「あ」
「忘れてた?」
「……悪い」
「今から行こうぜ」
「……」
玲が少し考える。
その横で。
星羅の笑顔が消えた。
「……ゲーム」
小さな声。
「玲くん、今日……私とカフェ行くって」
「え?」
佐伯が星羅を見る。
「あ、そうだったのか。じゃあまた今度な」
「うん」
佐伯が去っていく。
玲は星羅を見る。
「悪かったな」
「ううん」
「じゃあカフェ行くか」
「……うん!」
再び笑顔に戻る。
けれど。
星羅は思っていた。
――嫌。
玲くんを取られたくない。
友達でも。
ゲームでも。
誰でも。
私より優先してほしくない。
そんな気持ちが胸の奥から湧き上がってくる。
カフェに着く。
「何飲む?」
「玲くんと同じのでいい」
「……俺、コーヒーだけど」
「じゃあ私も」
「苦いぞ」
「平気!」
一口飲む。
「……苦っ」
「だから言っただろ」
「……でも、玲くんと同じだからいい」
「……変な奴」
「ふふっ♪」
星羅は笑った。
――同じもの。
同じ時間。
同じ場所。
少しずつ。
少しずつ。
玲くんと同じになっていく。
それが嬉しかった。
夜。
自室。
星羅は今日撮った写真を眺めていた。
玲と一緒に歩いた写真。
カフェで撮った写真。
そして、指切りしたときの手。
「……もっと」
星羅はスマホを胸に抱く。
「もっと玲くんの隣にいたい」
そして、小さく笑った。
「……私だけの隣に」
机の上には、一冊のノート。
表紙には――。
**『玲くんのこと』**
好きな食べ物。
好きなゲーム。
好きな場所。
好きな時間。
苦手なもの。
今日の出来事。
そのページの最後に、星羅は新しく書き加えた。
**『玲くんは、私といることを嫌がらない。』**
その下に。
**『もっと近づいても、大丈夫。』**
そして最後に。
**『次は、もっと私を好きになってもらう。』**
ペンを置く。
「……絶対にね♡」
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コメント
1件
# 美月ゆめかからの感想🌸 きゃああああ!!🥺💕💕 第5話も甘すぎて胸が苦しい〜〜!! 星羅ちゃんの「玲くんのこと」ノート、マジで尊いんだけど?!😭✨ 指切りシーンも、便当の好み覚えてるのも、全部が全部“もっと近づきたい”っていう想いで溢れてて…最後の「私だけの隣に」のところでちょっとドキッとしたよ、、 玲くんも「嫌がらない」どころか、ちゃんと星羅ちゃんとの時間を選んでるのが伝わってきて、この距離感がじれったくて最高なんだよな〜〜!次の話も絶対読みます!!春さんありがとうございます🌸💕