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テラーノベルの小説コンテスト 第3回テノコン 2024年7月1日〜9月30日まで
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お久しぶりです。


今回も読んでいただきありがとうございます。


前回コメントくれた方々、ありがとうございます。

書き上げなきゃ!と自分の尻を叩けるので助かります()。


今回は、佐野さんの早口で捲し立てる喋り方が大好きでちょっと心掛けました。

そのせいかセリフばっかりになってしまって悔しいですが。

吉田さんのINTPらしいひねくれた喋り方も大好きなんですが、残念ながらこのシリーズでは登場させられなさそうです、、。


いやー悲しい限りです。


そういえば、また新しいお話も構成だけ考えてるので、いつか表に出せればうれしいです。


あと昨日のラジオ!3号車さんとのINTP会話とかJUNのおもろムーブとか、赤すぐ出身モデルとのアミーゴ話とか、最高でした。

YJ地上波もたのしみですね。


ではこの辺で。

今回もお手柔らかにお願いします。








今日も昨日と同様、あの人のことを考えていたらいつの間にか放課後で、音楽室に向かって歩いていて、かなりの重症だな、と自分でも思う。


なぜこんなに惹かれるのかわからない。

すきになったことに理由なんてない。


ただ目が合ったときに、俺はこの人とともに生きるんだと、本能的に思った。


もともと恋愛対象は女の子だ。


中学生の頃は彼女もいて、自分で言うのも恥ずかしいがかなりデレデレしていたと思う。


だから自分が男に、しかも一目惚れするなんて考えたこともなかった。


でも自分の想いに気持ち悪いとかそういうことは感じない。

あの人のことをもっと知りたい。

そういう純粋な気持ちが頭を支配している。


俺はこれから彼に会いに行く。


いきなり告白なんてことはしないけど、それでも少しでも仲良くなりたい。


昨日のことは覚えてるかな、覚えてるか、さすがに。


音楽室からはいろんな楽器の基礎練みたいな音が聞こえていて、あの人はどんな楽器を演奏するんだろうと想像する。


かわいいからクラリネットとか?

ホルンやユーフォニアムも捨て難い。

いや、意外とバスクラも似合うなあ。


これから会えるかもしれないと思うと自然と心拍数は上がる。


到着した音楽室の扉は解放されていることもあり、様々な楽器の音が響き渡るその周辺の廊下や教室も含めて吹部という雰囲気に、部外者がこんなところまできてよかったのか、という気分になる。


この扉を覗いたら、彼はいるんだろうか。


緊張して今すぐにでも走って逃げたくなるけど、今日はこの為に朝から髪の毛もばっちりセットしてきたんだ、もう引き返せない。


柔太朗の「言い寄られたら堕ちない子はいない」という言葉をお守りに抱え、身なりを確認して、意を決して扉を覗いた。


音楽室には部員がたくさんいて、みんながそれぞれの楽器の準備をしているところだった。



あの子は………………………………あっ。



そのうちの1人、扉の近くにいた女子生徒と目が合った。



「えっ……と、なにか……、?」


「あ、ヨシダサン……って、います?」


「吉田先輩ですね!呼んできます!」



そう言ってその子は、見えない奥の方へ駆け足で入っていった。


いるのか。やばい。会えてしまう。話せてしまう。


何を言おう、いきなりすきなんて伝えても困らせるだけだ、まずは友だちになって……。


そんなことを考えているとすぐに彼が来て、俺の顔を見るなり固まった。



うっっっっわ、かわい……。



「………え、佐野先輩、、?!…………あ、ご、ごめんなさい!」


「え、」



勢いよく頭を下げた彼の姿に、頭が真っ白になる。



フラれた、?


まだ何も話していないのに。



バカ正直に柔太朗の言っていた噂を信じて、 順調に進む想定しかしていなかった。



なんだよあいつ!嘘つき!!



学生らしく妄想していた彼といちゃいちゃする幸せなビジョンは、ガラスのようにひび割れ、崩れ落ちた。



…………………っていうか。



「え、なんで俺の名前知ってんの?」



彼が名前を知ってくれていて、発音してくれた。


その事実に今更気がついて、胸がとくんと鳴る。


もっと呼んでほしい、あわよくば下の名前も、という気持ちは、望みの消えかけている今もまだ健在だ。



「いや、だって、佐野先輩のこと知らない人なんてこの学校にいませんよ……」


「…そうなの?」


「そうです。昨日もぶつかってしまったあと、いつもは話しかけてこないくせに、噂になってるってクラスのみんなに話しかけられて……あの、本当にすみませんでした……」



再びサラサラストレート髪がかわいい後頭部とご対面する。


あーもう!この人は全身のどこでもかわいいな!!


うっ、顔上げてもかわいい。

女の子より女の子みたいだ。


って、今更気づいたけど…。



「あえ、もしかしてさっきから、ぶつかったこと謝ってる、?」


「はい。それと噂になってしまったことも……」



まって?

え、ほんとに、??

俺もしかして俺フラれてなかった……?!


もういっそのこと、望みがなくてもアタックしようとまで思っていたのに。


理解した途端、軽くよろめく程安堵した。



「っ!よかっ、た〜……。ぶつかったのなんてなんでもいいよ!まじで!!」


「そう、なんですか、?え…っと、よかったってのは……?」


「いや、仲良くなりたいと思ってたからさ、嫌われたんだったらどうしようって、、」



大丈夫、突っ走らない、まずは仲良くなるところから。



「なんで俺なんかと…」


「あのとき、なんかこの人となら、って思って。いやなんか変な意味じゃなくてさ、なんか、あるじゃん、?あ、波長合うかも〜みたいな。そんな感じで、波長が合うかはわかんねぇけど、なんかずっと仲良くできそうって思ったんだよね」



自分が勢いだけでここに来ていることを自覚して、少し恥ずかしくなる。

でもこれは紛れのない事実で、伝えるべきだ。



「っあ〜、なるほど、、。俺は嫌いじゃないとは言ってないですけどね……」


「えっ」


「っはは、冗談ですよ」


「………ッ!」



そこで初めて見た無邪気な笑顔に、釘付けになってしまう。

これはずるすぎる、昨日はあんなに怯えていて小動物みたいだったのに。



「じ、じゃあ仲良くなってくれる、?」


「はい、なれると思います。俺いつもは人見知りなんですけど、佐野先輩とはなんか話せるし…」


「そっ、か」



これは…。

これは脈アリじゃないか……?!

だって俺が特別ってことでしょ、?


失ったはずの希望が帰ってきて、舞い上がりそうなほど嬉しい。


こんなに短い時間で一喜一憂させられるなんて。

あの出会いは運命だったのかもしれない。


そう思わないと不自然なほど、この2日でもう彼のことばかりだ。



「ただ、ほんとに俺でいいんですか、?いままで友だちとかほとんどできたことなくて……」


「そうなの?!こんなにかわ……好かれそうなのに!え、じゃあさ、名前教えてよ」



あっぶねーー、今はまだ友だち…今はまだ友だち…今はまだ友だち………。



「あ、吉田仁人です、けど…さっき後輩が呼びに来たのって先輩が俺の名前知ってたからじゃないんですか、?」



仁人くん……なんか……たしかに仁人くんって感じ(?)



「いや、あれは、、昨日俺が一緒にいた後輩に聞いたら、ヨシダサンっていうんだって教えてくれたのよ」


「その人はなんで…」


「ああ、なんか吹部の姫みたいな噂を知ってたらしくて…ごめん、もしかして嫌だった、?」



少し気まずそうな表情に、急いでフォローする。



「嫌っていうか…昔は女の子っぽいって言われてたけど、今はあんましっくりこないみたいな、、」


「あーそっか……。俺柔太朗って友だちがいてさ、あ、さっき言った後輩なんだけど。そいつも部活入ったばっかの頃サッカー部の姫って呼ばれてて、でも柔太朗はおもしろがってふざけてたんだよ。んで、俺もそのタイプだから気づけなかったんだけど、揶揄われてそうやって乗っかれる人のほうが少ないよね、ごめん、」


「あ、いや、そこまで気にしてるわけじゃないです、しょっちゅう言われるとかでなきゃ、、なんていうか、気遣われすぎるとどうすればいいかわかんなくて…」



友だちが少ないとか言ってたからか、?

なかなか人付き合いが苦手なのかもしれない。


距離感はもっと仲良くなってから探るか…。



「そっか…、じゃあその話はまた今度ね!嫌な気持ちはしてほしくないから、なんかあったらすぐ教えてほしい!俺のことでも他の人でも!あと俺、人の呼び方とか安定しないタイプなんだけどさ、なんかノリで変えちゃう!みたいな…なんだけど、こう呼んでとかある、?」


「特には……」


「じゃあなんか仁人くんとか仁人とか呼ぶわ。てか敬語やめようよ、先輩後輩とか関係ないから!」


「タメ口、でいいんですか…?」


「もちろん!友だちに敬語使いますか?!使わないでしょ!!」


「友だちいないので……」


「っあ〜そうだった、」



他に例えがあるか真剣に考えていると、ふはっと仁人が破顔した。



「タメ口でいいなら、気楽に話せるかもしれない笑」



うわ〜〜〜〜〜〜〜かわいい!!!!!



目尻に皺を寄せた目元から、控えめに口元をおさえた手から、それによって竦められた肩の小ささから、上品な愛らしさが溢れている。


なんか、もう、いま話せてるだけで幸せっていうか。



……しんじゃうかも。



「俺はなんて呼んだら…」


「え、なんか“さの〜”とか“さのはやと〜”とか…でも“はやと”はやっぱ嬉しいかも」


「じゃあ、はやとくn「はやちゃーん!!!!」」



仁人が初めて俺の名前を呼んでくれる、とドキドキしていたところで、ここにいるはずのない柔太朗の声が聞こえた。


クッッソ、あと少しで綺麗な音声を脳内に保存できるとこたのに……!!



「はやちゃん、なにやってんの!無断で練習休んだからコーチが怒ってるんだけど」


「ぇ……………あっ!!!!!」


やばい。まじでやばい。


部活の前にと思って来てたのをすっかり忘れてた。


まだまだ話したいのに……。

どうしよう。



「佐野さん、行ったほうが…」



わかってる、わかってるよ!!

でもせっかく話せたんだからもっともっとって思っちゃうじゃん!!



「ほら、はやちゃん行くよ!!」



柔太朗に手を掴まれ無理やり引っ張られたとこで、仁人の右手が俺の左肩を掴んだ。



そして左耳に顔を近づけて……………


「………は、はやちゃん、がんばって……//」


「っえ?!?!!?!」



小さいけれど聞き間違えるはずのないその言葉が信じられない。


急いで仁人のほうを見てももう俯いていて顔は見えなかったけど、艶のある黒髪から除く耳の先が赤く染っていて、こちらまで顔が熱くなる。


あとはもう放心状態で、ただ柔太朗に引き摺られるしかできなかった。

────────────────────



「はやちゃんがまさか本当にヨシダサンと話してると思わなかったよ…」



呆れたように柔太朗が呟く。



「いや、俺もね、自分で自分の行動の早さに驚いてる。だって聞いた?!さっきの。俺の耳元で、“はやちゃんがんばって”って!!!!」


「っえ゛、まじ?それはさすがに脈アリでしょ」


「やっっぱそうだよな〜」


「そんな脈アリのはやちゃんはコーチにちゃんと怒られてもらうからね」



柔太朗のその言葉通り、今までになく怖いコーチにたっぷり怒られ、コーチの機嫌を損ねたお詫びとして部員全員にアイスを奢らされた。


でも仁人のあの言葉のおかげで、プレーだけは絶好調だった。




サッカー部のエースと吹部の姫

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コメント

2

ユーザー

まっっじで最高ですね?!次も楽しみにしてます!!(何度もごめんなさい🙇‍♂️🙇‍♂️)

ユーザー

ありがとうございます🥰🫶

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