コメント
7件
本当に、毎回思うけど昴さんの文才の凄さに私は吃驚しますよ....小説家なれますって.... 中也のキラキラ目とか絶対可愛い...!!!太宰さんも中也に惚れてるの本当に最高です.... 私もどっちも見たことあるんですけど私も『きたない君がいちばんかわいい』の方が性癖に刺さりました
太中
–✄—-✄—-✄—-✄—-✄—-✄—-✄—-✄-
私は金木犀の時代に生まれました
私は最初から衣食住に困らない家に育ちました
家の周りには、めいいっぱいに金木犀が咲き誇り、秋の朝は金木犀の香りで沢山です
辺り一面金木犀の香りで狂いそうになる程愛らしい季節に 私は不思議な男の子に会ったのです
私の家の周りの金木犀を見つめていました
私より小柄な男の子で、金木犀を中に閉じ込めた様な琥珀色の髪色に心奪われました
きっとこの子は、私と同じで金木犀を好んでいるのだろう、私はそう思うしか無かったのです
次の日もまた次の日も其の子は居るので、私はとうとう、声を掛けました
太「君は金木犀が好きなのかい?」
其の子は一寸驚いていましたが、時期に私に微笑み掛けて、こう云いました
中「否、俺は銀木犀の方が好きだ」
銀木犀と云う花を初めて聞いた私だったが、きっと名前からして、金木犀に似た何か何だろうと思いました
私は妙な親近感が湧いて、目の前にいる男の子に名を思わず聞いてしまいました
其の子は中原中也と云った
私は愛称として、其の子を名前で呼びました
其の子は一寸頬を緩ませ礼を云う、其の仕草全てが愛らしくて、また何処かに行ってしまった彼に手を振った
家に戻り、本草図鑑で銀木犀を調べました
矢張り金木犀と似ていて、花の色が違うだけでした
使い終わった本草図鑑を閉じ、そのままで置き、履物を履いて庭に出て行きました
振り返ると、縁側に書物が背側を此方側に向けて並び、硝子越しに月の光で照らされていました
まだ、まだまだ大人より一寸下ぐらいな私でも私の影にすっぽり嵌る彼は、私より遥かに小さく、とても同い年には見えなかった
明日も彼が金木犀の下に居たのなら、聞いてみる事を胸に誓った
朝起きると、ほんの一寸肌寒かったが、金木犀には調度良い気温になっていた
外に出る度にすれ違う家の中の人達は貴方はまるで❝其の子に巾箱之寵なのね❞なんて意味の分からない事を云いました
そして、微笑ましそうに綻びるのでした
其の言葉の意味には触れず、彼と関わっていきました
其のうちに、彼とは十八歳の同い年と云う事を知りました
しかも、私より二ヶ月も誕生日が早く、ひとつひとつの事に驚きを隠せませんでした
又、彼は私を目上の人だと思っていたらしく、互いに笑い合いました
ある日突然、中也が沢山の銀木犀の小さな花を硝子瓶に入れて持って来ました
其の瓶には琥珀色のリボンが巻かれていて、可愛らしく思えたのでした
中「もう直ぐ銀木犀が居なくなるからさ」
と云われた私は、彼の手を引き、同じ様な小さな硝子瓶を持って来て、中に金木犀を沢山入れました
其の瓶の蓋に白いリボンを掛けて、中也にあげました
其の瓶を見て中也はキラキラと目を輝かして、礼を云ってきました
そんな彼を見て私は心が銀木犀の微かな香りの様に暖かくなりました
それきり
金木犀が咲かなくなって、ぱたりと彼は来なくなった
–✄—-✄—-✄—-✄—-✄—-✄—-✄—-✄-
お疲れ様でした
「きたない君がいちばんかわいい」と、「みなと商事コインランドリー」を買いました!!
凄く面白かったです!
私的には、「きたない君がいちばんかわいい」の方が、自分の性癖に刺さりましたが、「みなと商事コインランドリー」も、絵がとても綺麗で何方も良かったです
長文失礼しました
最後まで見て頂きありがとうございました