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第8話 犬系女子、好きが溢れる

「……お前は俺のもんだから」

その言葉が頭の中で何度も反響して、ひよりは真っ赤になった。

「なっ……! そ、そんなの、勝手に決めないでよ!」

言いながらも、心臓は爆発しそうなくらいドキドキしている。

桐生はそんなひよりを見下ろし、ふっと口の端を上げた。

「勝手じゃねぇよ」

「え?」

「俺が決めたんじゃなくて――お前がそうだったんだろ?」

ひよりは言葉を失った。

だって、図星だったから。

ずっとずっと、桐生のそばにいて、彼のことが好きで――

気づけば、桐生のことばかり目で追っていた。

「それとも、違うのか?」

桐生が静かに問いかける。

その視線に射抜かれて、ひよりはどうしようもなく顔を伏せた。

「……ち、違わない、けど……!」

「じゃあ、もういいだろ」

桐生がぽんっと、ひよりの頭を軽く撫でた。

犬系女子の本能が、その手の温もりに喜んでしまう。

しっぽがあったら、たぶん今、ちぎれるくらいに振ってる。

「桐生くん、ずるい……」

小さく呟くと、桐生はくすっと笑った。

「犬は単純で助かる」

「むっ……! 単純とか言わないで!」

「でも、そういうとこ、嫌いじゃない」

「~~~っ!」

耳まで真っ赤になったひよりは、たまらず桐生の腕をぎゅっと掴んだ。

「……責任とってよね」

不満げに言うと、桐生は少し驚いた顔をして、すぐに目を細めた。

「言われなくても」

静かに囁かれたその言葉に、ひよりの心は完全に撃ち抜かれた。

――もう、この猫から離れられない。

犬系女子の本能が、そう確信した瞬間だった。

猫系だったら愛したそうです

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